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伊藤健太郎&寛一郎、“別れた恋人”を演じて生まれた関係「久しぶりに『友達できた』って感じ」2026/05/25 18:00

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伊藤健太郎&寛一郎、“別れた恋人”を演じて生まれた関係「久しぶりに『友達できた』って感じ」

 理想の同性カップルの100日間を、ドキュメンタリーカメラが追う。5月26日よりMBS・TBSドラマイズム枠でスタートする「100日後に別れる僕と彼」(MBS=火曜深夜0:59、TBS=火曜深夜1:26)は、2023年に急逝した浅原ナオトさんの最後の著作を原作にしたドラマだ。

 伊藤健太郎寛一郎がダブル主演を務める本作は、性的少数者のためのパートナーシップ宣誓制度についてのインタビューがSNSで注目を集めた同性カップル・春日佑馬(伊藤)と長谷川樹(寛一郎)が、すでに破局していながらも、カメラの前では“理想の恋人”を演じ続ける100日間を描く物語。2人を取材するディレクター・茅野志穂を鳴海唯が演じる。

 “多様性”という言葉だけが先行しがちな今の時代に、その内側にある人間そのものを見つめ直していく本作。佑馬と樹という対照的な2人を演じた伊藤と寛一郎に、原作・台本を読んだ時の率直な印象、撮影現場で築かれていった関係性、そして役への向き合い方について聞いた。

伊藤健太郎&寛一郎、“別れた恋人”を演じて生まれた関係「久しぶりに『友達できた』って感じ」

――“理想の同性カップル”として注目を集める一方で、その関係の裏側には複雑な感情が横たわる本作。原作や台本を読んだ時、お二人はどんな印象を受けましたか?

伊藤 「原作は知らずに、同性愛を描いたお話だという情報だけを前提に読み始めましたが、シンプルに面白いなと感じました。同性愛という部分を抜きにしても、作品として非常に魅力を感じる部分があったので、『やらせてもらいたい』と思いましたね」

寛一郎 「僕も原作を読んで、台本を読んで、シンプルに本が面白かったんですよね。偏見も含めて、人に対しての一つのアンチテーゼだと感じました。多様性であったり、ダイバーシティであったり、さまざまな言葉が世の中で広がっていく中で、僕はあまりその言葉だけが先行している感じがしていて。どこかで、『そういうことじゃないんじゃないか』という感覚をぼんやり持っていたんです。そういった意味で、この作品はそこの核心に触れていると感じましたし、樹の考え方にも共感というか、近いものがあったので受けさせてもらいました」

――出演にあたっては、どのような思いがありましたか?

伊藤 「そうですね、わりと。即決というか、もちろん考えはしましたけど。でも、これを求めてくださっているのであれば、自分なりの表現の仕方でやれたらいいなと思いました」

――寛一郎さんが先ほどおっしゃっていた“ぼんやり抱えていた違和感”というのは、どこから来ていたものだったのでしょうか?

寛一郎 「この作品に出てくる志穂も、僕の中では“分かりやすく書かれている人”なんです。なんというか、いいか悪いかを押し付けられている感じがするんですよ。多様性がいいか悪いか、そういうことじゃない。ただの状態であって、マイノリティかマジョリティかも、別にどっちがいい、悪いではないんです。ただの状態というか、数でしかないから。もちろん認めなきゃいけないところもあるし、認めた方がいいところもある。でも、言葉だけが先行して、中身が伴っていない気がしていて。そういった意味でも、やる意義のある作品だなと思いました」

伊藤健太郎&寛一郎、“別れた恋人”を演じて生まれた関係「久しぶりに『友達できた』って感じ」

――役柄についても伺います。お二人が演じた佑馬と樹について、役を深める上で意識したことや、心に残った考え方、セリフなどがあれば教えてください。

伊藤 「僕は特に6話の最後の方ですね。佑馬がバーッとしゃべって、樹もバーッと一気にしゃべるというか。1話から6話までを生きて、100日間を通して感じたことを、それぞれ最後に言葉にするシーンがあるんです。特に佑馬は、そこで大きく考え方が変わる部分もあって。潜在的には多分分かっていたけど、口にすることはできなかった思いを、最後にちゃんと口にするんですよね。そこは印象的でしたし、学ぶことも多かったです」

――寛一郎さんは、樹をどう捉えていましたか?

寛一郎 「樹は、どこかずっと孤独なんですよね。ずっと一人ぼっちみたいな感覚がある。多分、佑馬と一緒にいてもそうなんです。むしろ、一緒にいればいるほど、そう思ってしまうところがある。でも、それって他者の問題ではなくて、彼自身でしか解決できないことなんですよ。この作品の中でも、彼はまだそこを解決できていないと思います。そういう部分には、僕自身も共感できるところがありました」

――伊藤さんは、佑馬という人物の変化については、どんなところに魅力を感じていましたか?

伊藤 「佑馬がどんどん人間っぽくなっていく感じが、僕はすごく好きでしたね」

――寛一郎さんは樹のビジュアル作りにもかなりこだわったとか。

寛一郎 「そうですね。僕が“樹としてどうなるか”を考える上で、一番時間をかけたのはビジュアルだったかもしれないです。原作には茶髪やひげ面といった説明はあるんですけど、今回はそこに寄せる感じではなかったので、最初は全然イメージが浮かばなくて。衣装合わせも何回か重ねて、現場でも相談しながら作っていきました。それが決まってから、ようやく樹という人物が自分の中に入ってきた感覚がありましたね」

――樹の考え方について、特に印象に残っている部分はありますか?

寛一郎 「最初に話したこととも近いんですけど、『なんか違うよね』っていう感覚は、僕の中にもあるんです。例えば『ゲイ』という言葉一つを取っても、その中にはいろんな人がいる。でも、属性だけでその人を判断してしまう瞬間ってあるじゃないですか。『ゲイだからこう』『ADHDだからこう』『鬱(うつ)だからこう』って、それ以外の部分が見えなくなってしまう雑さというか。そういうものには違和感がありました」

――佑馬のように、社会に理解を求めていく考え方については、どう受け止めていましたか?

寛一郎 「佑馬みたいに、自分たちが苦しい思いをしてきたから、今後はそういう人たちに同じ思いをしてほしくない、そのために社会に理解してもらう必要がある、という考えも分かるんです。それもうそじゃない。だからこそ、この作品で描かれていることって、パラドックスなんですよね。樹は、その中でかなり核心を突いたことを言っている人物なんじゃないかと想像し、僕自身、非常に共感できました」

伊藤健太郎&寛一郎、“別れた恋人”を演じて生まれた関係「久しぶりに『友達できた』って感じ」

――お二人はこれまで面識や共演はあったのでしょうか?

伊藤 「共演はないです。ただ、お仕事の現場ではない場所で、一瞬お見かけしたくらいでした」

――では、実際に現場で芝居を交わしてみて、印象は変わりましたか?

寛一郎 「言ってやりなさい(笑)」

伊藤 「久しぶりに、『友達できたな』って感じでした(笑)。現場でそこまで仲良くなることって、そんなに多くないので、普通にプライベートで飲みに行きたいなと思う人ができた、という感覚があって。もちろん芝居に対しても真摯(しんし)なんですけど、ちゃんとたわいない話をしてくれる人なんですよ。僕は、現場を作る上でそういう時間って大事だと思っていて。それが現場の雰囲気にもつながるし、作品の空気感にも絶対に少なからず影響すると思うので。そういった部分を同じ感覚で共有できたのは、ありがたかったですし、助けられました」

寛一郎 「僕も近いですね。最初はもっと取っつきにくいイメージがあったんですけど、知っていくうちに、やっぱりお互いバカなところがあるというか(笑)。バカな男の子みたいな感じで。あと、ゲラだから、何をしても笑ってくれるんですよ」

伊藤 「楽しくなっちゃって(笑)」

寛一郎 「でも、くだらないことで笑い合っている時間と、パートナーとしての関係性って、まったくしゃべっていない状態とはやっぱり距離感が全然違ってくると思うんです。それが共有できたのはよかったです。本番の寸前までこうやってしゃべっていて、本番になったらビシッとやる。そういうメリハリがちゃんとあった。朝4時まで撮影していたような日も、みんなドロップアウトしていくんですけど、僕らは最後まで元気でした(笑)」

伊藤 「ずっと笑っていましたね。お互いに笑わせ合っていた感じでした」

――芝居以外の時間は、現場でどんな会話をされていたんですか?

伊藤 「取るに足らない話ばかりですよ(笑)。僕らでもそうですし、志穂役の鳴海さん、山田健太朗役の山田健人も含めて、4人でいる時間も結構長かったので。たわいない話をしている時間がたくさんあったと思います。山田健人が、よく言えばムードメーカーみたいな存在だったので、そういう空気を作ってくれていましたね」

――志穂とともに2人を取材するAD・山田健太朗を演じた山田さんの存在も大きかったと。

伊藤 「めちゃくちゃ大事です」

寛一郎 「僕は共演2回目なんですけど、この役は彼のキャラクターに合っていると思いますし、面白いと思います。まだ完成を見ていないので、映像になった時にどう見えるんだろうって、一番興味があるかもしれないですね」

――佑馬と樹の関係性だけでなく、周囲の人物たちが入ることで物語が動いていくんですね。

寛一郎 「そうですね。実は僕ら2人の関係性自体は、そこまで難しくないんです。鳴海さんや山田健人たち、外側の人たちが入ってくることで変化が生まれる話なので。しかも、彼らが一番変化する存在なんですよね。初日、2日目で、1話から6話までの「ライジング・サン」(志穂が働く制作会社)でのシーンをまとめて撮っていたんですけど、その変化を作るのは大変だったと思います。志穂というキャラクターが一番変わっていくし、視聴者目線で勉強していくキャラクターでもあるので」

――そうした周囲との関係性も含めて物語が変化していく中で、佑馬と樹の距離感については、事前に細かくすり合わせたわけではなかったのでしょうか?

伊藤 「していないよね。順撮りってわけでもなかったですし」

寛一郎 「うん。現場に入ってからですね」

――別れた後のシーンと、恋人だった頃のシーンが入り混じる撮影で、難しさはありませんでしたか?

伊藤 「そんなに難しいと感じることはなかったですね。彼がやってくれたからこそだと思うんですけど。もし現場が、ああいうふうに、わちゃわちゃ楽しめる感じじゃなかったら、過去の仲良かった時のシーンをいきなり撮ろうとなった時に、ぎこちなくなっていた部分もあったかもしれない。でも、そういうのがなかったので、やりやすかったです」

寛一郎 「2人で話し合うことは……なかったこともないのかもしれない。今思い返してみると。基本、樹が佑馬の揚げ足を取るんですよ。揚げ足を取るところばっかりですから、この佑馬ってやつは(笑)。でも、自分たちも30年くらい生きて、恋愛も経験してきているので、もちろん同性愛者と異性愛者という違いはあるけど、『これあるよね、こういう時って』みたいな瞬間はあるんです。そういう話をお互いにしていました。やっぱり自分たちの中に経験や疑似体験があるから、けんかの後の感じとか、その内容も含めて、リアルな会話が多かったかなと思います」

伊藤健太郎&寛一郎、“別れた恋人”を演じて生まれた関係「久しぶりに『友達できた』って感じ」

――草野翔吾監督との作業で、特に時間をかけて撮ったシーンや、細かい調整を重ねた場面が気になります。

伊藤 「結構、俺らのパートはサクサクいっていた気がしますね。もちろん技術的な面でのやり直しはありましたけど、芝居的な部分で何回も『こうして、ああして』というのは、1、2回くらいだったと思います。チューニングというか。でも、そんなに多くはなくて、割と自由にやらせてもらえたのかなという感じです。インする前に監督ともいろいろ話していたので、そこが噛み合っていたんだと思います」

寛一郎 「順撮りじゃないから、どこをどれくらいの強度でやるのか、客観的に分からない時はあるんですよ。どれくらいのテンション感なのか、笑顔の感じとか、監督が客観的に見て、『ここはもうちょっとこうした方がいいかな』という調整はありました。でも、健太郎が言ったように、ほとんどそこだけでしたね。逆に不安というか、大丈夫かなという気持ちはありましたけど、そこはチームを信じてやっていました」

――劇中で印象的な江ノ島ロケについても伺いたいです。どんな現場でしたか?

伊藤 「楽しかったですね。とにかく人が多かったので、撮影的には『橋が崩れるんじゃないか』ってくらいで(笑)。人を止めていたので申し訳なかったですけど、撮影終わりに貝を食べたりして、楽しい時間を過ごさせてもらいました」

寛一郎 「でも、江ノ島は大事なシーンですね。終盤に撮影したんですけど、初めてお互いが向き合うシーンなんですよ。いいシーンになっていると思います」

――物語で描かれるのは100日間ですが、その先の佑馬と樹の人生について考えることもありましたか?

伊藤 「僕、割と考えるんですよ。作品って、その人物のある程度の部分しか描かないじゃないですか。でも、そのキャラクターの人生自体は続いていくので。今回も結構考えましたね。どこかですれ違ったりして、お互い別の恋人がいて、街中ですれ違う瞬間もあるのかなとか。また戻ったりするのかなとか。いや、それはないか、とか。そういうことは考えました」

寛一郎 「原作では、タイに行くらしいですね(笑)。旅行というか、でも樹自身がまだ人間として完成されていないですし、彼自身が解決しなきゃいけない問題なので。やっぱり一人で旅をして、いろんな人と触れ合って、いろんなところを見て、さらに成長していくんじゃないかなと思います」

――劇中では、日常の会話として、コロッケに何をかけるかというやりとりも出てきます。最後にそれにちなんで、お二人はコロッケに何をかけて食べますか?

伊藤 「いいですね(笑)。僕は、本来は何もかけないですけど、まあソースですかね」

寛一郎 「何をかけてもおいしいですけどね」

伊藤 「うまいね。カレーをかけてもうまいし」

寛一郎 「でも、そのままで食べてうまいものは、何かけてもうまい(笑)。でも僕もソースですね」

 たわいない食べ物の話にも、2人らしい柔らかな空気がにじむ。そのやりとりに、佑馬と樹のささやかでいとおしい時間がふと重なって見えた。何げない日常の奥にある切なさや複雑な感情を、2人がどう紡いでいくのか。100日間の物語を、放送でじっくりと見届けたい。

伊藤健太郎&寛一郎、“別れた恋人”を演じて生まれた関係「久しぶりに『友達できた』って感じ」

【プロフィール】
伊藤健太郎(いとう けんたろう)

1997年6月30日生まれ。東京都出身。2026年の出演作は、ドラマ「TYPEなに?性格診断で人生決めちゃいます」(ABCテレビ)、「北方謙三 水滸伝」(WOWOW)など。また、現在放送中のドラマ「102回目のプロポーズ」(フジテレビ系)に出演するほか、6月7日からは、主演ドラマ「コンサルタント-死を執筆する男-」(WOWOW)が控えている。

寛一郎(かんいちろう)
1996年8月16日生まれ。東京都出身。近年の出演作に、「グランメゾン東京」(2019年/TBS系)、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年)、連続テレビ小説「ばけばけ」(26年/ともにNHK総合ほか)、映画「爆弾」(25年)、「たしかにあった幻」(26年)など。5月29日から映画「箱の中の羊」が公開される。

【番組情報】
ドラマイズム「100日後に別れる僕と彼」
5月26日スタート
MBS 火曜 深夜0:59~
TBS 火曜 深夜1:26~
※TBS放送後、TVerにて1週間無料見逃し配信
※FOD見放題にて独占配信

取材・文/斉藤和美

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