高良健吾&原田琥之佑、「手塚治虫の戦争」で漫画の神様の原点描く「諦めない姿勢を体現したい」2026/05/09 05:00

NHK総合で8月に放送予定の特集ドラマ「手塚治虫の戦争」(日時未定=NHK大阪放送局制作)の制作発表取材会が兵庫・宝塚市の手塚治虫記念館で開催され、高良健吾、原田琥之佑、田島彰洋プロデューサーが出席した。
本作は、手塚治虫の短編漫画「紙の砦」「ゴッドファーザーの息子」を原作に、連続テレビ小説「舞いあがれ!」(2022年)の桑原亮子氏が脚本を担当。1973年、会社の倒産と連載打ち切りによりどん底に追い込まれた手塚(高良)が、自身の戦争体験をもとに再び漫画を描こうとする姿と、その主人公・大寒鉄郎(原田)が戦時下の大阪で漫画への情熱を燃やし続ける1945年、二つの時代が交錯する構成で描かれる。
手塚治虫を演じる高良は、本作を通して自身の中にあった手塚像が大きく変化したことを明かす。小学生の頃、図書室で読んだ「ブラック・ジャック」や「火の鳥」の印象から、「穏やかでクールな人」というイメージを抱いていたというが、作品に向き合い人物像を掘り下げていく中で、「この作品に携わって強く感じたのは“闘争心”だった」と振り返る。「生まれた時から色あせないピュアさがあって、だからこそのチャーミングさもある。でも今回、自分が大事にしたいのは、その闘争心という部分」と役への思いをにじませた。
中でも高良が強くひかれたのが、手塚の創作に向き合うすさまじい熱量だった。連載を10本抱えながらアニメ制作にも携わり、平均睡眠時間は3時間とも言われた過酷な日々。それでも描くことをやめなかった姿に、「漫画の神様、天才という言葉だけでは片付けられない」と圧倒されたという。
「常に何かを抱えながら漫画を描き、アニメを作り続けていた。その姿勢に、自分もものづくりをする人間として重ねてしまう部分があった」と語り、「闘争心と言っているけれど、それは誰かと争うものではなく、ずっと自分自身に向いている戦い。尋常じゃない強さと強度がある。手塚治虫さんは、手塚さん以外には無理というレベルのことをやり続けた人だと思う」と改めて感銘を深めていた。
また、高良が本作の見どころとして挙げたのは、すべてを失いかけた状況でも揺らぐことのない、手塚の創作への執念だった。会社が傾き、連載作品も次々と失われていく中でも、「それでも目の前の漫画と向き合い続ける。その姿勢が自分には“闘争心”として映ったし、“諦めない”ということなんだと思う」とコメント。「どんな状況でも漫画に向き合い続ける姿を、このドラマの中でしっかり体現したい」と意気込んだ。
田島プロデューサーは高良の起用理由について、「今回描かれる手塚さんは、孤高で孤独な人でありながら、ずっと少年であり続けている。その二面性を同時に表現できる方だと思った」と説明し、高良に強い期待を寄せる。
これを受け、高良は「手塚治虫さんを演じられる機会なんてなかなかないですし、最初で最後かもしれない」と率直な思いを吐露。「調べれば調べるほど、“こうありたい”と思わされる人。ここまでのレベルに届くかは分からないけれど、ものづくりに対してこれほどの気持ちで向き合いたいと思える」と敬意を示す。
役作りについては、当時の手塚プロでアシスタントを務めていた人物から、漫画の描き方や背景の入れ方などを直接学んでいる最中だといい、「技術的な部分も含めて、自分なりに身につけていこうとしているところ」と地道な役作りについて触れた。
一方、手塚の分身ともいえる主人公・大寒鉄郎を演じる原田は、鉄郎について「周囲の空気を読まず、人にこびることもないけれど、なぜか人が集まってくる少年」と表現。「やりたいからやる、描きたいから描く。特に理由なんかなくて、衝動的な“漫画力”というか、純粋な少年の遊び心を表現できたらと思っています」と役柄への理解を語った。
さらに鉄郎の魅力について、「漫画を描いて大金持ちになってやろうとか、誰かを驚かせようとか、そういうことは1mmも考えていない。ただ自分が満足するために描いている。でも描いても描いても描き足りなくて、描きたいことがどんどんあふれてくる。そのハングリー精神が魅力的」と、純粋な創作欲への憧れをのぞかせた。
役作りでは、戦時中の訓練に加え、手塚独特のペンの持ち方や絵柄も研究。「手塚さんのキャラクターは“丸”からできているものが多いので、とにかく丸をいっぱい描いています」と笑顔を見せた。また、13歳の頃に出演した同系の特集ドラマ「軍港の子〜よこすかクリーニング1946〜」(2023年)で、田島プロデューサー(当時は監督)とタッグを組んだ経験にも触れ、「自分が表現したかったものをうまく出せず悔しかったので、今回はそのリベンジができたら」と力を込めた。
戦争をテーマに据えた本作について、高良は、自身の祖父との記憶を重ね合わせながら胸の内を打ち明ける。幼い頃から、九州に残る戦争の爪痕を実際に見せてもらい、本や映像を通して繰り返し戦争体験を聞かされてきたという。「“繰り返してはいけない”という言葉を祖父からずっと聞いてきた」と記憶をたどり、「実際に戦争を経験し、それを語り継いでくれる方が少なくなっている今、ドラマや映画として伝えていくことには大きな意味がある。自分も関わりたいと思える作品」と思いを寄せる。
さらに、「この『手塚治虫の戦争』は、単なる戦争体験の話ではない」とし、「手塚さんが経験した戦争と、平和な時代になってから、もう一度その記憶と向き合わざるを得なかった“内なる戦い”でもあると思う。そういう意味が、このタイトルには込められているのではないか」と作品タイトルに込められた意味にも踏み込んだ。
原田も「実際に戦争を経験した方から話を聞く機会は少なく、教科書や授業で知ることがほとんど」としながら、「それでも、当時の子どもたちがどれだけ強く生きようとしていたのか、その思いは絶対に忘れてはいけない」と言葉を紡ぐ。「“生き延びたい”という強い気持ちを持っていた少年たちの存在を、この作品を通して感じてもらえたら」と続けた。
原作の一つ、「紙の砦」について高良は、「鉄郎は手塚治虫さん自身そのものだと思う」と読み解く。空襲で大阪の街が燃える中でも漫画を描き続け、終戦の瞬間に「漫画家になれるかもしれない」と希望を見いだした少年時代の手塚。「いろんなものが失われていく中で、希望を持てるというのはすごいこと。その感覚に、どん底だった時代にもう一度向き合いたかったんじゃないかと思った」と自身の考えを述べる。
さらに、「戦争の悲惨さや失われていくものを描きながらも、終わりに近づくにつれて決意のようなものも感じられる」とした上で、「だからこそ“原点”という言葉がふさわしい作品だと思う」と位置付けた。
原田も、「大寒鉄郎という少年は、本来少年が持っているべきものを持っている子」と話し、「寝る時間を削ってでも夢中になれるものがあるというのは本当に素晴らしいし、自分もうらやましいと思った」と共感。「手塚治虫さんの原点とも言える作品を、あれだけコミカルに描けるのがすごい」と感心もしていた。
取材会が行われたのは、手塚治虫が幼少期を過ごした兵庫・宝塚市。高良、原田ともに今回が初めての宝塚訪問となった。原田は「バスの車窓から街を見ていたんですけど、街全体がすごくきれいで、建物の色も普段あまり見ない感じだった。“宝塚ってこういうところなんだ”と思いながら見ていました」と声を弾ませる。高良は、「宝塚歌劇団のイメージが強かったけれど、実際に来るのは初めて」とし、「まだちゃんと街を歩けていないので、これから自分の目で見て感じてみたい」と関心を見せた。
田島プロデューサーは、本作について「“漫画の神様・手塚治虫”になるまでに、どんな原点があり、どんな熱量で描き続けてきたのかを見つめるドラマ」と紹介。手塚が自身初の戦争体験を描いた「紙の砦」を軸に、執筆に至る1970年代の手塚パートと、戦時中を生きる大寒鉄郎のパートを交錯させながら描いていくとした。
もともとは2028年の生誕100年を視野に入れた企画だったというが、手塚について調べる中で、その印象が一変したという。「にこやかな笑顔や優しい絵柄のイメージが強かったけれど、実際には生涯を通して戦争と向き合い続けてきた方だった」と振り返り、「未来の子どもたちが戦争をしないために、戦争の悲惨さや怖さを伝え続けてきた。その思いは、今の時代にも確実につながっている」と訴える。
さらに、「戦争は遠い出来事として描いてしまうと、どうしても他人事になってしまう」とした上で、「今回は手塚先生を通して、戦争が“かけがえのないものを奪うもの”だということを、身近な感覚として受け取ってもらえる作品にしたい」と制作意図を説明。「紙の砦」が描かれた1970年代も中東戦争の時代だったことに触れ、「戦争に向き合うことは、生誕100年という節目よりも、今だからこそ意味がある。この作品を見て、“今見る意味がある”と感じてもらえたら」と願いを込めた。
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