最終回目前、福士蒼汰主演・異色の社会派警察ドラマ「東京P.D. 警視庁広報2係」を激推し!2026/03/28 12:00

ミラノ・コルティナ冬季五輪やワールドベースボールクラシック(WBC)など、多くのスポーツイベントに彩られた1月クールもそろそろ終わり。連続ドラマもさまざまな野心作が覇を競った1月クールだが、中でも特に記憶に残った良質なドラマが福士蒼汰主演のフジテレビ系連続ドラマ「東京P.D. 警視庁広報2係」(火曜午後9:00)である。正直放送前から大きな注目を集めるには至らず、残念ながら見逃してしまったという方もいるかもしれない。それはもったいない! そこで、あらためて“激推し”しておきたい。
「東京P.D. 警視庁広報2係」は、所轄から警視庁広報課2係に異動してきた今泉麟太郎(福士)を主人公に、これまであまり描かれることのなかった警視庁広報課を舞台に展開する異色の警察ドラマ。さまざまな業務を担う広報課の中でも“2係”は、報道担当として警察内部と外部メディアの窓口役となる重要かつ多忙な部署だ。

まずこうしたあまり知られていない警視庁広報課の活動が映像化されること自体が面白い。記者会見が必要となる事件はすべてここを通るのだから、扱う事件の範囲は果てしなく広いし、情報の中枢に触れる機会も多い。広報課にあるリモコン室は110番通報のすべてにアクセスできるということにも驚いた。ある意味すべての情報を握ることのできる立場にある。
ただし“捜査の権限はない”というのがミソで、正義感あふれる主人公・今泉がここで感じる矛盾や義憤が物語を進めるエンジンとなる。

このドラマが優れているのは、事件解決をカタルシスとする、あるいは警察内部の腐敗が暴かれたり(暴かれなかったり)する、これまでの警察ドラマのストーリーを広報の視点から再構築した、というような単純なドラマにはなっていない点だ(まあ、そういう側面も多少はあるけれども)。熱血主人公の今泉には、暴走しそうになっても寸前で立ち止まる冷静さがある。
一言で言えば、これは警視庁広報課という数奇な仕事場とそこで働く人々を描くドラマなのだ。数々のドラマで幾度も目にしてきた捜査一課の合同捜査会議のシーンも部外者として立ち会う気持ちになると全く違う景色として映るし、記者たちに対する硬軟織り交ぜた対応にも“お仕事”としての現実味がある。警察組織内の理不尽さや、報道協定の問題など社会的なテーマを掲げながらも、根底に広報課メンバーそれぞれの人生を描くという姿勢があることがドラマのリアリティーを支えているのだ。

このドラマの大きな特徴として、制作を務める安永英樹プロデューサーが原案を手掛けているということがある。もともと安永プロデューサーが社会部で警視庁の担当記者を経験し、実際に警視庁の広報課とやりとりをしてきたことが今回のドラマ化のきっかけになっている。ジャーナリスティックであると同時に、自らの体験を基にしたプリミティブなドラマ作りのスタンスに好感が持てる。彼が実際に見聞きした事例もドラマの中に反映しているとのことで、そういう意味でもこのスタンスこそがドラマ全体に漂う骨太な空気感を保証しているといえる。

いわゆる「ライターズルーム方式」によって作られていることも制作陣の新たな試みの一つだ。「ライターズルーム方式」とは、複数の脚本家がアイデアを出し合い共同で執筆を進めていくという脚本の作り方で、近年日本でも採用されるケースも増えている。今作では安永プロデューサーが原案を兼ねているということで理想的なショーランナー(物語を主導する最高責任者)として機能したと考えられ、ドラマの成功に大きく寄与していることがうかがえる。

キャストについていえば、主人公・今泉の成長を福士が絶妙なニュアンスで演じて出色。着任当初感じた怒りや違和感を、仕事を理解していく中で次第に消化していくさまをナチュラルに表現している。また、2係係長・安藤直司役の緒形直人の、広報に必須の硬軟の双方を併せ持つベテランとしての存在感が光る。吉川愛も今泉の良きパートナー・熊崎心音役を好演している。

「東京P.D. 警視庁広報2係」の放送は最終回を残すのみだが、FODではここまでの全話を配信しているので(第1~3話は、FODとTVerで無料配信中)、気になった人はこれからでもぜひ体験してほしい。そして今回放送されたseason1の終了後、season2がFODで独占配信されることが決まっている。安藤係長が捜査一課から広報に異動してきた理由や、今泉の過去など、残された謎は解明されるのか? season1を見返しながら、楽しみに待ちたい。
【コンテンツ情報】
「東京P.D. 警視庁広報2係」
FOD
season1 見逃し配信中
season2 4月7日から独占配信
文/武内朗
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