上村愛子が解説! 五輪を見る前に聞いておきたいモーグルQ&A①2026/01/30 18:00

「ミラノ・コルティナ五輪 TV観戦BOOK」「デジタルTVガイド3月号」では、1998年の長野五輪から2014年のソチ五輪まで5大会連続で五輪に出場した、フリースタイルスキーモーグルのレジェンド・上村愛子氏にインタビューを行い、ミラノ・コルティナ五輪の見どころをたっぷりと語ってもらった。ここでは、誌面に収まりきらなかった話を前後編に分けてお届けする。
【日中の試合は選手にとってはやりやすい】
――モーグルは五輪だと現地の夜に決勝を行うことも多いイメージですが、ミラノ・コルティナ五輪では現地時間で午前から昼の試合です。この試合時間は選手にとってはどうなのでしょうか?
「W杯でも日中の試合の方が多いので、選手にとっては慣れている時間帯です。もしやりづらい部分があるとすれば、時間によって、周りにある木の陰がコースに入ってくる可能性があるので気になる選手もいるかもしれないです。ただ、会場となるリヴィーニョは森の中ではないので、あまり木陰も多くないと思います。日が昇っていくにつれて気温の変化に伴う雪質の変化もあるかもしれませんが、天候は直前にならないと分からないので現地に入ってから状況に応じて調整していくことになります」
【得点の6割を占める「ターン点」の採点方法とは?】
――モーグルはターン点が60点、エアが20点、タイムが20点の100点満点です。中でも最も大きな割合を占めるターン点は、素人目には評価の仕方が分かりづらいのですが、採点方法を教えていただけませんか。
「ターンの中にも三つのカテゴリがあって、①カービングの要素があるか、②膝の吸収動作がなされているかどうか、③上半身が動いていないか、です。この三つの要素に優劣があるわけではありません。まずジャッジが全体を総合的にチェックして、その選手の技術は1要素につき何点までマックスで付けることができるのかを評価します。そして、そこから各要素のミスした分を減点していきます。ミスというのは、例えば、足が開いてしまったり、大きなブレーキがかかったように見えるというのも大きな減点要素です。視聴者の皆さんは、①のカービング要素はこぶの間をコースからはみ出ることなく板の先端から後ろ端まで同じラインに沿ってスムーズに滑ってきているかどうか、②の吸収動作は多くの選手が膝につけているパッチみたいなものがしっかりと上下に動いているかどうか、③は上半身がぶれずに動いているかどうか、を見ていただくと分かりやすいと思います」
「最近はジャッジのスコアに、マイナス1点などと表示されるようになったのですが、それはその人のターン技術のマックスの点数から、ミスによって何点マイナスされたかという数字です。この三つの要素について、実はほとんどの選手がどれかの要素が欠けています。日本のトップ選手の堀島行真選手やずっと世界王者に君臨してきたミカエル・キングズベリー選手(カナダ)も、です。更に、少しのミスでも減点要素として厳しくチェックされるので、ターン点の満点20点はなかなか出せる数字ではありません。ただ、この2人は元々この三つの要素についてすごく高いレベルの技術を持っているという評価を得ているので、マックスの点数が高い。そしてミスを限りなく減らして滑るよう取り組んでいるので、基本的にはかなり高い点数が出ます。ちなみに、堀島選手とミカエル選手は並んで滑ってくると全く滑り方が違います。それなのに、2人がほぼ同じ点となる。その内訳としては、堀島選手はカービングと吸収動作のカテゴリは“最高”の評価を取っている。でも、上半身は少し動くので、一つ下の評価になる。一方、ミカエル選手は上半身の動きと吸収動作は完璧。だけどカービングは堀島選手よりも一つ下の評価になることが多いのです」
インタビュー後編に続く
【放送情報】
ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック
2/6〜2/22 地上波・BS各局で連日生中継/NHK ONE・TVerでライブストリーミング配信
上村氏はフリースタイルスキーモーグルで解説を担当
【掲載情報】
デジタルTVガイド3月号増刊 ミラノ・コルティナ五輪TV観戦BOOK 1,870円(東京ニュース通信社)

この記事をシェアする












