花沢類が皇帝に!? ヴィック・チョウ主演の中国時代劇「大宋宮詞 〜愛と策謀の宮廷絵巻〜」2026/01/06

BS11で1月12日から放送開始の「大宋宮詞 〜愛と策謀の宮廷絵巻〜」(月~木曜 午後3:59~5:00)は、平民から北宋の第3代皇帝・真宗の皇后にまでなった劉娥(りゅうが)(演:リウ・タオ)の一代記。史実をもとにしながらも、宮廷内での、皇帝の寵愛(ちょうあい)と皇位継承を巡るバトルから、国の命運を左右する反乱、疫病、北の異民族との対立まで、よりドラマチックな展開で息をつかせない構成となっている。降りかかる火の粉を払い、陰謀の罠(わな)をかいくぐり、内憂外患の国を支えたヒロイン・劉娥(りゅうが)の知っておきたいポイントをお届け!
人気と実力を兼ね備えたヴィック・チョウとリウ・タオ

皇后・劉娥(りゅうが)は、歴史の中では賛否が分かれる存在だが、本作では良き妻であり良き母として描かれる。その役を担うリウ・タオは2000年のデビュー以来、数々の時代劇で気品ある存在感を放ってきた。「琅琊榜(ろうやぼう)〜麒麟の才子、風雲起こす〜」では知略に満ちた人物を、「ミーユエ 王朝を照らす月」では夫の寵愛と権力への執着が嫉妬へと変わり、宮廷の争いに翻弄(ほんろう)されつつ悪女へと堕ちていく王后を演じ、近年はSFサスペンス「開端-RESET-」で無限ループする事件に挑む捜査官を好演し、幅広い役柄を自在にこなす力量を示した。優しさと気品、そして芯の強さを併せ持つ彼女だからこそ、皇后という役に柔らかな雰囲気と説得力が宿っている。

第3皇子の襄王・趙元侃(じょうおう・ちょうげんかん)後の真宗(しんそう)を演じるヴィック・チョウは、台湾を代表する俳優のひとり。日本の漫画原作ドラマ「流星花園〜花より男子~」で花沢類役を演じて一躍スターとなり、共演者と結成したF4はアジア各国で熱狂的な人気を集めた。その後も「山田太郎ものがたり〜貧窮貴公子〜」や「美味関係〜おいしい関係〜」など日本漫画原作のドラマで主演を務め、日本でも根強いファンを獲得している。2018年には「皇帝と私の秘密〜櫃中美人〜」で皇帝役に初挑戦し、再び脚光を浴びた。幅広い役柄を自在に演じ分ける彼の演技力は、本作でも遺憾なく発揮されている。父や重臣たちの圧力に苦悩しながらも皇后を守ろうと心を砕く優しい皇帝像は、ヴィック・チョウの持つ繊細さと包容力によって説得力を増し、物語に深みを与えている。
賢后か悪女か歴史的に評価の別れる劉娥=章献明粛皇后

ヒロイン劉娥のモデルは、北宋の第3皇帝・真宗の2人目の皇后となった章献明粛(しょうけんめいしゅく)皇后。既婚者だったが、真宗がまだ皇子だった頃に側室に迎えた。ただ、身分が低いことや人妻であることなどが問題視され、朝廷から猛反対を受け追放される。真宗が即位すると再び側室として迎えられ、侍女の李婉児(りえんじ)が生んだ子(後の仁宗)を自分の子として引き取り、その子が皇太子となったことで皇后に立てられた。

真宗の死後、4代皇帝となった仁宗が幼いため、垂簾聴政(すいれんちょうせい※)を行って補佐した。低い身分から皇后にまでなり、夫亡き後も幼帝を補佐して問題続出の国を支えた女傑といえる。しかし、歴史的評価はむしろ低く扱われてきた。もともと側室になることも皇后になることも臣下から強く反対されていただけあって、歴史書では「皇帝の服を着用して人前に出た」など批判的な意見が多い。さらに、李氏が生んだ子を自分の子として皇后になったことも問題視され、仁宗は事実を知り実母の李氏を哀れんだという。現代的な見地に立っても賛否両論だが、本作では李氏との関係も良好な、思いやり深く強い意志を持った女性として描かれる。※簡単用語集参照
絵巻物のような華やかで豪華絢爛なセットと衣装

監督のリー・シャオホンは、80年代から映画界で活躍し数々の映画賞を受賞してきた女流監督。ドラマでも「紅楼夢 〜愛の宴〜」を手がけるなど、徹底した歴史考証と巧みな映像演出で知られる。それまで、宋の宮廷を描いたドラマはそれほど多くなく、仁宗の時代に活躍した名裁判官の包拯(ほうじょう)を主人公とする「包青天」(原題)が絶大な人気を誇っていた。唐が滅亡し、五代十国時代を経て誕生した宋は、唐の時代の文化を受け継ぎつつも、より落ち着いた印象。BS11で放送された「明蘭~才媛の春~」と同じ時代だが、宮中を描いているだけに女性たちのファッションも華やか。
また、この時代の日本は平安時代の後期にあたる。遣唐使が廃止されてから中国王朝との正式な国交は途絶えていたが、民間での交流は盛んで、平安末期に権勢をふるった平清盛も、日宋貿易で財を成した。男性の衣装は日本の宮中服ともよく似ており、宋銭の流通など日本にも大きな影響を与えている。本作では、豪華絢爛(けんらん)なセットと小道具、手紙に書かれる書体といった細かい部分まで配慮して、当時の独特な文化を再現したことで、まるで絵巻物のように雅な雰囲気がドラマ全体を包んでいる。
波乱に満ちたオリジナルなストーリー

本作は史実をもとにしているので、歴史的な大事件などは変わりようがないが、史書に書かれていない事件と事件の合間についてはオリジナルストーリー。歴史的な流れをフィクションによって「この事件がつながるのか!」とうまく補完しているのが見事。

建国間もない北宋では、次の皇帝の座を巡り陰謀が渦巻いていた。後継者最有力となった第3皇子の襄王・趙元侃は、戦場にて重傷を負い、地元の娘・劉娥に助けられて共に都に行く。しかし、宮中では重臣から父の太宗(たいそう)(演:トゥー・メン)まで劉娥を認めない。さらに、趙元侃の子が殺されたことで犯人として追われる身となる。劉娥は太宗の弟の趙廷美(ちょうていび)(演:ウィンストン・チャオ)の陰謀だったことを暴くが、趙元侃との仲は認められずそっと身を引いて姿を消す。

序盤から波乱が続く劉娥は、やがて趙元侃と再会し宮中に迎えられるも、今度は劉娥を疎ましく思う正妃や他の寵姫たち。前例踏襲の重臣たち、皇位を狙う趙元侃の兄たちから狙われることとなる。そして、北宋と敵対する北方の遼とも、熾烈(しれつ)な戦いと政治的な駆け引きが続く。
ドラマを楽しむために知っておきたい簡単用語集
平安時代で日本と国交がなかっただけに、なかなか分かりにくい北宋時代のキーワード
北宋(ほくそう)

約960年から1127年頃。日本は「源氏物語」の紫式部などが活躍していた平安時代の中期から後期にあたる。唐が滅亡し、各勢力が覇を競った五代十国時代を経て960年に趙匡胤(ちょうちょうきん)が建てたのが宋。趙匡胤が初代太祖、弟の趙匡義(ちょうちょうぎ)が2代太宗となり、3代真宗の代までは政権が不安定。太宗の弟の秦(しん)王(趙廷美)が皇帝の座を狙うのも、2代太宗が兄から皇位を継いでおり継承権が曖昧なため。本来は「宋」だが、後に異民族の金によって南に追われたことから、それ以前を「北宋」、以後を「南宋」という。
垂簾聴政(すいれんちょうせい)

皇帝や王が幼い場合、皇后や皇太后など後見人の女性が代わって摂政として政務をとる。しかし、男性である臣下と直接顔を合わせないよう、御簾を垂らして上奏を聴いたため、このように呼ばれた。儒教的精神の根強い中国や朝鮮半島で行なわれていた。
遼(りょう)

中国北方の騎馬民族である契丹(きったん)族が建てた国。五代十国時代から中央への進出を目指しており、宋とも敵対した。20年のドラマ「燕雲台-The Legend of Empress-」は、遼の五代皇帝・景宗の皇后・蕭燕燕(しょうえんえん)を主人公とし、同じ時代を遼側からの視点で描いている。
澶淵の盟(せんえんのめい)
宋と遼は燕雲十六州を巡って対立。真宗が親征するも膠着して和平交渉が重ねられる。交渉の結果、宋は遼に絹20万疋、銀10万両を送り、遼は宋を兄として敬うことという条件で盟を結んだ。これにより戦乱は落ち着いたものの、宋は毎年遼に送る物資を調達せねばならず、民に重税が課せられた。
燕雲十六州(えんうんじゅうろくしゅう)
現在の北京を含む中国東北部一帯を燕雲十六州と呼ぶ。五代十国時代に契丹族の領土となり、漢民族王朝にとって燕雲十六州の奪還は悲願となったが、澶淵の盟により遼の支配権が認められた。その後も金、元と異民族支配を受ける。
大理寺(だいりじ)
唐の時代に確立された司法機関で、宋の時代にも存続。長官である大理事卿は司法庁長官と警察庁長官を兼ねたような存在。本作では真宗の側近として外交官的な任務もこなす。「大理寺日誌〜謎解く少卿には秘密がある〜」など、唐や宋が舞台の捜査ドラマによく登場する。
外戚(がいせき)
皇帝の妻や母の親戚のこと。皇后や側室が皇帝の寵愛を受けると一族も要職につけられ大きな力を持った。外戚の専横により衰退した王朝も少なくない。劉娥は李氏の子をわが子として育てたが、側室の生んだ子でもすべて皇后の子とし、外戚の専横を抑制する王朝もあった。
親政(しんせい)
天皇や皇帝、国王などの君主が、自ら政治を直接行うこと。中国では始皇帝、ヨーロッパではルイ14世(フランス王)などが代表例。
文治主義(ぶんじしゅぎ)
武力ではなく知と礼をもって国を治めること。日本でも江戸幕府では「文治政治」として形をなし、徳川家綱から家継の時代を象徴する言葉となった。
仁宗(じんそう)/趙禎(ちょうてい)

北宋の4代皇帝。劉娥を母として育ち、成長して親政を開始すると文治主義を進め、北宋の安定期を築いた。仁宗の功績は、BS11でも放送された「孤城閉〜仁宗、その愛と大義」に詳しい。本作は仁宗の(育ての)母の物語なのでキャストは違うが、歴史的にはつながっている。
【番組情報】
中国時代劇「大宋宮詞 ~愛と策謀の宮廷絵巻~」
BS11
1月12日スタート
月~木曜 午後3:59~5:00
※BS11公式動画サイトBS11+とTVerで見逃し配信
文/菊池昌彦
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