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髙石あかり「ばけばけ」でヒロイン・トキを熱演「トキというキャラクターはあまりにも私自身」2025/11/14 08:15

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髙石あかり「ばけばけ」でヒロイン・トキを熱演「トキというキャラクターはあまりにも私自身」

 NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」(月~土曜午前8:00ほか)で、ヒロイン・松野トキを演じている髙石あかり。民話や昔話などを聞くのが大好きな松野家の一人娘で、つらいことがあるといつも母のフミ(池脇千鶴)にねだって、怪談を話してもらう。家族思いで、フミが作るしじみ汁が大好物な人物だ。

 髙石が主演を務める「連続テレビ小説」第113作の同作は、ふじきみつ彦さんが小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)とその妻・セツをモデルに描く物語。明治という西洋化で急速に時代が移り変わるなかで、松江の没落士族の娘・トキと、縁あって松江で英語を教えることになった英語教師のレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)が出会い、文化や言葉の壁を越えて愛を育む。「怪談」を愛し、何げない日常を歩んでいく夫婦の姿を通して、埋もれていった人々の声をすくい上げる愛の物語だ。

 連続テレビ小説初主演となる髙石に、役への思いや共演者とのエピソードについて語ってもらった。

――演じられる松野トキはどんな役ですか?

「トキというキャラクターはあまりにも私自身。台本を読みながら『なんで私の思っていることを言うんだろう?』『このセリフ、本当に私!』と思うぐらいです。制作統括の橋爪(國臣)さんとお話しして気付いたのですが、トキの自分と他人の線引きがはっきりしているところ、自分の感覚を押し付けたり介入したりしないところが私と似ているのかもしれません。『その人はその人でいい』と思っているから、おじじ様(松野勘右衛門/小日向文世)や父上(松野司之介/岡部たかし)が武士にこだわっているのも認められるし、ヘブンさんにもいつもと変わらず接することができるのだと思います。また、小さい頃から家族を守るという感覚を持っているのもトキの特徴です。貧乏な家族のことを背負うのも使命感からだと思います。『優しくしたい』とかではなく、もう『そう生まれてきた』という感覚。やっぱり武家の子なのでかっこいいなと思います」

髙石あかり「ばけばけ」でヒロイン・トキを熱演「トキというキャラクターはあまりにも私自身」

――共演者の方々とのエピソードを教えてください。

「松野家の皆さんは本当にすてきで優しくて、池脇(千鶴)さんとはだんだん顔が似てきている気がします(笑)。おじじ様と父上の情けないけれどもトキをしっかり愛しているところも憎めません。台本が面白い上に小日向さんと岡部さんが演じられるとより憎めないキャラクターになっていて、相当憎いことをされているのに憎めないんです(笑)。トキと錦織(友一)さん(吉沢亮)が初めて出会うシーンも忘れられないぐらいずっと笑っていました。アドリブ合戦になった時、私が仕掛けたお芝居を吉沢さんが全部受け止めてくださる安心感がすごかったです。受け止めるだけではなく、やり返されて、笑ってしまうこともありましたけど(笑)。ただ、笑わせようと思っているわけではなくて、この台本は何かを仕掛けようとすると失敗する台本だと思います。だから、全員武器をそぎ落とされてそれでも戦いに行く感覚。『何もしないふざけ』を手に入れようと頑張っています。『ばけばけ』を通して役者としても『ばけ』らけるように頑張ります!」

髙石あかり「ばけばけ」でヒロイン・トキを熱演「トキというキャラクターはあまりにも私自身」

――ヘブン役のトミーさんとの共演はいかがですか?

「ヘブン役のトミーさんは世の人々をメロメロにする方だと聞いていたのですが、お会いしてそれを実感しています。紳士的ですごく優しくてとにかく日本が大好きな方です。ヘブンさんと似ているところもあるのでお芝居で助けていただくことも多いでしょうし、これからもっと視聴者の皆さんもすてきなトミーさんのとりこになると思います」

――第6週から第7週で、女中になると決心したトキをどんな気持ちで演じられましたか?

「おタエ様(雨清水タエ/北川景子)が物乞いとして頭を下げられた瞬間(第6週)に、ずっとトキの中にあったおタエ様の人物像やいろいろなものが崩れたのを感じました。家の格など、守り継いできたものを1個手放した瞬間を見てしまって、もう自分がすることは一つだと思ったのではないでしょうか。目の前にできること(女中)があったし、それをつかむことしかできなくて必死でつかんだのだろうと思います。第35回の母上の『産んでくれたおタエ様のためなら(ラシャメンになってもいいとトキが思った)』という発言は衝撃でした。トキにそういうつもりはなく、ただもう全員が家族だったんです。それは雨清水家も含めてだったからこそ、母上の本心を聞いた衝撃や、三之丞(板垣李光人)の『おトキの家族から外してほしい』という言葉で気持ちがすごくぐちゃぐちゃになったと思います。ぐちゃぐちゃになったからこそ、とにかくこのお金を三之丞に受け取ってもらわないと! と、それだけを思ってかなり強く言いました。必死でした。その後、母上がおじじ様に『ヘブン先生の女中を続けさせてください』と一緒にお願いしてくれた瞬間もいろんな感情があふれて、多分涙していたと思います。演じながら台本にはないものが常に生まれています」

髙石あかり「ばけばけ」でヒロイン・トキを熱演「トキというキャラクターはあまりにも私自身」

――第8週について、印象的だったところはありますか

「第8週、すごく楽しかったです! この週の台本は大笑いしながら読みました。ヘブンに頼まれて“ビア(ビール)”を探すというエピソードがあるのですが、“ビア”候補の品を紹介する時の言い方は、こちらに全部任せられていたので、『どうしよう…!』と思いつつもワクワクして、何ができるだろうとすごく楽しみに本番に挑ませていただきました。トキはセリフどおりでヘブンさんのリアクションはトミーさんのアドリブ的な演じ方でしたけど、セリフを言ってる感覚はほぼなくて、ただただ楽しかった…!」

――第8週のスキップのシーンについてお聞かせください。

「みんなでヘブンに教わってスキップに挑戦するシーンは、スキップもどんなふうにやるかそれぞれに任せられていたので『あ、この人、こうくるんだ』みたいな感覚がお互いにあったと思います(笑)。最初にスキップを教わったシーンはトキもヘブンも酔っぱらっていたので、ここはもう何でもいいと思ってやっていたらお互いにツボってしまいました。それが完全に映像に映っていると思います(笑)。トキとしてヘブンとして笑っているのですが、きっと素に見えるはず。役として生きているけど、素の自分と曖昧になる瞬間がたくさん詰まった第8週でした」

――「ばけばけ」の見どころと視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。

「ここまで声を出して笑いながら読める台本にはなかなか出会えないと思うほど、ふじきみつ彦さんの本が最高に面白いです。演出にもこだわりがあって、例えば照明が本当に暗かったり、松野家が本当に狭かったりするんです(笑)! メーク直しのために全員家から出なくてはいけないくらい狭いし、ほこりもすごいし、服にも汚しをほどこしてリアルに作っているのでそのあたりにもご注目ください。いい作品になっていると実感しながら撮影できていること、そして皆さんに見てほしいと自信を持って言えることがすごくうれしいです。トキは上までは向かないかもしれないけれど、下を向かず、前を向いて生きていきます。その姿を見て、毎朝クスッと笑ってもらえたらうれしいなと思います」

【番組情報】
連続テレビ小説「ばけばけ」

NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45

文/TVガイドWeb編集部

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