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BUMP・澤村直道インタビュー【前編】ショートドラマの魅力は第1話の“脳汁体験”2025/10/29 11:30

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BUMP・澤村直道インタビュー【前編】ショートドラマの魅力は第1話の“脳汁体験”

 1話・数十秒から数分で完結し、若者を中心に人気を集めているショートドラマ。現在数多くのアプリやコンテンツが普及しており、その大手であるBUMPを運営するemole株式会社のCEO・澤村直道氏を直撃! 現在のショートドラマのコンテンツ作りや今後の展望などについて話を聞いた。

――ショートドラマの魅力はどこにあると思われますか?

「まず手軽に隙間時間で見られることですね。従来のドラマや映画だと、1~2時間、ある程度腰を据えてコンテンツに向き合わなければいけませんが、ショートドラマは5分くらいの休み時間や、何かを待っている間に見られるので。ただ単純に隙間時間を埋めるだけのコンテンツかというと、意外とそうでもなくて。ショートドラマの一番面白いところは、その作品から得られるカタルシスを冒頭から予感できるところだと思います。(テレビドラマやOTTサービスで制作される)普通のドラマはずっと見続けていった先に爽快感が得られるものだと思いますが、そこまでのセットアップが結構長いじゃないですか。でもショートドラマは1話からがっつり展開していくので、いきなり刺激が得られるし、いわゆる“脳汁”の出る体験ができます(笑)」

BUMP・澤村直道インタビュー【前編】ショートドラマの魅力は第1話の“脳汁体験”

――数あるショートドラマサービスの中で、BUMPならではの強みはどこにあると感じていますか?

「無料で開放しているエピソードや、本編の中の気になるシーンを“切り抜き”としてSNSに配信していますが、そこの再生数が圧倒的に高いことが強みだと思います。ユーザー獲得も、広告をほとんど打たずにオーガニックでできていて、現在、累計260万ダウンロードになっています。もう一つはコンテンツの数と幅の広さですね。BUMPでは自社で作った作品をそのまま配信するケースもありますが、いろんなプロバイダーからコンテンツを集めて配信しています。たとえばテレビ局や出版社のような従来のメディアもあれば、制作会社が自社のノウハウを生かして制作したり、SNSでバズらせるのが得意な人たちが作品を作って配信したりするパターンもあるので、作品として幅広いコンテンツが集まっています。これまでの作品では“不倫復讐(ふくしゅう)系”や女性の“マウント合戦”のようなコンテンツもヒットしましたし、先月『娘がいじめをしていました』(BUMPで配信中)という社会派ドラマがヒットするなど、本当に幅広い作品を扱えています」

BUMP・澤村直道インタビュー【前編】ショートドラマの魅力は第1話の“脳汁体験”

――コンテンツ作りにおいて特に重視していること、優先していることを教えてください。

「やはり長尺ものとは全然作り方が違っていて、冒頭から展開させていかなくてはいけない部分があるんですね。また、『この脚本でユーザーを集めてこられるか』という点は大きく気にしています。従来のドラマや映画は、事前のプロモーションや告知でユーザーを集めてくるのがセオリーだったと思いますが、ショートドラマの場合、基本的には切り抜きで集めてくるので、その脚本の中でどれだけ切り抜ける箇所があるか、切り抜いた瞬間だけを見てもどんな話なのかが分かるか、ということが重要です。普通の脚本の作り方だと、(起承転結のような)セオリーとなる展開、構成の形があると思いますが、そこだけにとらわれない形で、どうやったら切り抜きを入れていけるかを重視して作っています。もう一つは、“どうしても最後まで見たくなるような展開を最初に持ってこられるか”を重視します。たとえば不倫復讐系だとしたら、まず幸せだった家族の姿を描き、そこから夫の浮気が発覚して『許せない。復讐したい』という感情のギャップを最初の1~2話で作り切れるか、という点は重要かなと思います」

BUMP・澤村直道インタビュー【前編】ショートドラマの魅力は第1話の“脳汁体験”

――テレビ局など映像大手メディアとの協業についての考えや、向き合い方についてお聞かせください。

「テレビ局の方々とは一緒に共同制作もさせていただいていますが、やはり今までドラマを作ってこられた知見もあるので、今後も一緒に取り組んでいきたいですし、これまで実施してきた地上波と連動した企画も継続してできたらと考えています。出演者からしたらテレビは憧れの舞台なので、そこにつながっていく座組を作れれば、出る人たちにとってメリットが大きいと思っています」

――テレビドラマに出ている有名な方がショートドラマに出演することもありますよね。

「そうですね。逆にショートドラマですごく再生数が上がって、その出演者が地上波の深夜ドラマに出始め、後にゴールデンタイムの番組に出ていくという流れもあります。これは双方向に出演者を送り合えている状態なので、すごく良いことかなと思います」

BUMP・澤村直道インタビュー【後編】野望はショートドラマ発の大作映画を制作!
後編はこちら >>> https://www.tvguide.or.jp/feature/ott25102904/

【プロフィール】
澤村直道(さわむら なおみち)
BUMP創業者/ショートドラマプロデューサー。1994年生まれ。北海道札幌出身。立教大学経営学部卒。2018年11月にemole株式会社を創業、22年12⽉にBUMPをリリース。世界を変える30歳未満30人の日本人を表彰する「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」選出。

BUMP・澤村直道インタビュー【前編】ショートドラマの魅力は第1話の“脳汁体験”


【BUMP】
数分で楽しめるショート動画が楽しめるアプリ。不倫・復讐、女性同士のマウント合戦、下剋上や正体隠しなどの勧善懲悪など、幅広いジャンルのドラマやアニメ作品をラインアップしている。現在、ダウンロード数260万を突破。

BUMP・澤村直道インタビュー【前編】ショートドラマの魅力は第1話の“脳汁体験”

取材・文/水野幸則 撮影/尾崎篤志

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