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波瑠&川栄李奈W主演「フェイクマミー」開幕!「母親になること」「仕事と子育て」リアルな思い語る2025/10/08 17:00

波瑠&川栄李奈W主演「フェイクマミー」開幕!「母親になること」「仕事と子育て」リアルな思い語る

 TBS系で10月10日スタートの連続ドラマ「フェイクマミー」(金曜午後10:00)で、ダブル主演を務める波瑠川栄李奈にインタビュー。

 「フェイクマミー」は、禁断の“母親なりすまし”から始まるファミリークライム・エンターテインメント。東大卒のエリートながら転職に苦戦する花村薫(波瑠)と、元ヤンで現在はベンチャー企業社長のシングルマザー・日高茉海恵(川栄)が、小学校受験のために“フェイクマミー(ニセママ)”契約を結ぶ物語だ。茉海恵の娘・いろは(池村碧彩)が志望する名門私立校の受験面接で、薫が母親になりすますという茉海恵の提案から幕を開け、うそとトラブルだらけの家族愛が立ち上がっていく。

 川栄にとってはTBSドラマ初主演。2人は「#リモラブ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ系/2020年)以来5年ぶりの共演で、正反対の人生を歩む女性たちの運命的な出会いを演じる。

波瑠&川栄李奈W主演「フェイクマミー」開幕!「母親になること」「仕事と子育て」リアルな思い語る

――撮影が始まって約1か月とのことですが、ご自身の役柄にはもうなじまれましたか?

波瑠 「今回演じる薫は『東大卒』という設定なんです。私はよく“勉強や仕事ができるキャラクター”を当ててもらえることが多いんですが、実際は全然違うのになあと思いつつ(笑)、役に向き合っています。まだ1話は完成していなくて制作の途中なのですが、ところどころに現れるプライドの高さや、自分の歩んできた道への自信から生まれる頑固さ。そうした面を序盤は大切にしています。その上で、茉海恵さんといろはに出会ってからどのように変化していくか、そのコントラストを描き出せたらと考えています」

川栄 「私は役が自分と似ている部分が多いんです。自分で言うのもあれですけど(笑)、勉強は苦手でも仕事はきっちりやるタイプで。今回の茉海恵は、とても自分に重なって見えます。子どもの年齢も一緒で、ちょうどうちの子も幼稚園の年長さん。だから『役作りしなきゃ!』と肩に力を入れるより、等身大の感覚で臨めている気がしています」

波瑠&川栄李奈W主演「フェイクマミー」開幕!「母親になること」「仕事と子育て」リアルな思い語る

――ご自身が演じる役について、共鳴できる部分や、逆に難しさを感じた点があれば教えてください。

波瑠 「薫は、学歴や仕事に誇りを持って生きてきた分、自分に課す理想がとても高い。そして、無意識のうちにその高さを周囲に求めてしまうこともあって…。全力で頑張っている自分を理解してもらえない時、悲しさや傷つきを覚える気持ちは、私にも少し分かるところがあります。私もまだ“母になる”という選択をしていないので、人生の選び方に迷ったり、これでいいのかと立ち止まる瞬間は近いと実感しています」

川栄 「茉海恵は子育てと仕事を両立しようと奮闘する女性。腑(ふ)に落ちる部分が本当に多いです。子どもが熱を出したら迎えに行かなきゃいけないし、職場で気まずい空気になることもあるかもしれない。そんな葛藤を抱えながら働く人は、きっと少なくないですよね」

――実際の母親としての経験が重なりますか?

川栄 「私自身も母なので、“子どものために仕事を抜ける”場面があったら罪悪感を抱くこともあるだろうな、と想像できます。でも、それは働きながら子育てを選んだ以上、避けられない側面もある。だからこそ茉海恵の『ニセママ契約でもいいじゃん』という前向きな発想には強く共鳴しました。役と気持ちが自然に重なる場面が多いですし、逆に距離が近すぎて感情移入しすぎる瞬間もあって、“これで大丈夫かな”と自問することもありますね」

5年ぶりの共演、互いに“頼れる座長”

波瑠&川栄李奈W主演「フェイクマミー」開幕!「母親になること」「仕事と子育て」リアルな思い語る

――クランクイン前のインタビューで、お互いを「頼りになる座長」と話されていました。久々の共演で、印象に変化は?

波瑠 「実はまだ、がっつり一緒のシーンを撮れていないんです。クランクインから1か月たちましたが、顔を合わせたのも4回目くらいで(笑)。私はいろはちゃんとの学校パート、川栄さんは会社『RAINBOWLAB』でのシーンが中心で…」

川栄 「そうなんです。だからこそ、これから本格的に一緒の場面を積み重ねていくのが本当に待ち遠しいです」

波瑠 「同じ気持ちです。暑い中でも川栄さんがとにかく元気。1週間ぶりくらいに会うと、よりそれを実感します」

川栄 「波瑠さんは、そこにいるだけで安心感を与えてくれる方。お芝居はもちろん、言葉で多くを語らず背中で引っ張ってくれるタイプで、前回の共演からずっとそう感じてきました。今回も“ついていこう”という気持ちになります」

――女性同士でダブル主演という点は、やはり心強いですか?

波瑠 「心強いですし、“私も頑張らなきゃ!”と、奮い立たされますね」

――お二人の掛け合いのシーンについてはいかがですか?

波瑠 「茉海恵さんは、人間関係の距離を一気に縮めたり、場の空気を動かしていく力があるキャラクター。私は受け手に回ることが多いので、邪魔をしないように、でもしっかりトスを返せるよう臨みたいです」

川栄 「確かに茉海恵のほうが動いていく場面が多いので、波瑠さんが“受け手”として気持ちよく返してくださるのは本当にありがたい。私もナイスボールを投げられるよう、集中していきたいです」

――いろは役・池村碧彩さんとのシーンが多いと思います。現場の様子は?

波瑠 「“天真らんまん”という表現がぴったりかは分かりませんが、とにかくかわいらしい。一方で“頭が上がらないな”と思うほど大人びた振る舞いも見せてくれます。まだ9歳で、長時間の撮影なら眠くなる時間もあるはず。でも彼女はあくびをかみ殺して、周りに見せないようにする。これは大人のしぐさですよね」

波瑠&川栄李奈W主演「フェイクマミー」開幕!「母親になること」「仕事と子育て」リアルな思い語る

――プロ意識の高さに驚かされます。

波瑠 「そうした一面を見せつつ、話しかけると無邪気な女の子に戻る。両方の面を持っていて、それが完璧で、まさに“いろは”そのもの。現場では何度も救われています」

川栄 「会話していると、子どもであることを忘れてしまうくらいしっかりしている。でも子どもらしいかわいさも同居していて、その両面が魅力的。見習いたいところがたくさんありますし、碧彩ちゃんが“この現場は楽しい”と思ってくれるよう私も工夫したいです」

――普段はどのようにコミュニケーションを?

波瑠 「碧彩ちゃんは基本、ずっと踊っています(笑)。『今日はそれ、何のダンス?』と話しかけたり、本人が持ってくる“かわいいもの”、例えばペットボトルケースやマスコットなどを一緒に眺めて、名前を教えてもらったり。『このマスコットとこの子は家では仲が悪いんだよ』なんて世界観を解説してくれるのもかわいくて、そういうやりとりが本当に楽しいです」

川栄 「私は、波瑠さんが碧彩ちゃんにきちんと向き合って会話している姿を見て『優しいなあ』といつも思います。子どもに対しても『それってこうなの?』と寄り添い、一緒に早口言葉で遊んだり。私は普段から子どもにフランクに話してしまうタイプで、『え、マジで?』みたいな友達口調になりがち(笑)。別の収録で碧彩ちゃんが『川栄さんと話してると同世代の友達と話してるみたい』と言ってくれて、確かに私は“お友達”の距離感で接している部分が大きいですね」

――それもほほ笑ましい関係性です。

川栄 「むしろ『碧彩ちゃんのほうが大人だな』と感じる瞬間が多いくらい。だから私も、もっと大人としての包容力を持って、いっぱい遊んであげたいです」

波瑠 「その関係性が、そのまま茉海恵といろはの親子像に自然とつながっていて、とてもすてきだなと眺めています」

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――共演者との撮影現場の様子や裏話があれば教えてください。

波瑠 「“三羽烏”と呼ばれるボスママ(野呂佳代、橋本マナミ、中田クルミ)がそろうと、現場は一気ににぎやかに。女性同士で盛り上がることも多いですね。(ママ友・本橋さゆり役の)田中みな実さんがいらっしゃると美容の話で華やぐのですが、私が一番ワクワクしたのは“おすすめのラーメン屋さん”の話でした」

川栄 「えっ! ラーメンもいくんですね」

波瑠 「意外に思いますよね。『あの駅に行ったら、このラーメンは必ず食べてほしい。しかも近くにもう1軒あるから、ぜひ“はしご”して!』って(笑)。その時の田中さんの表情がかわいらしくて、鮮明に覚えています」

川栄 「私は『RAINBOWLAB』での撮影が多いので、黒木竜馬役の向井(康二)さんと同じシーンが多いんです。とにかくムードメーカーで、ずっと明るく話して場を温めてくださる方。これからチーム同士が合流していくのが楽しみで、期待が高まります」

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仕事と子育てに奮闘する女性へのメッセージ

――本作は仕事や子育てに奮闘する女性が描かれていますが、このテーマをどのように受け止めていますか?

波瑠 「世の中には本当にたくさんの“頑張るお母さん”がいるはず。そして私たちのように人前に立つ女性も、一度は“もう1人自分がいたらいいのに”と願ったことがあるのではないでしょうか。その思いが現実に近づく世の中になれば、と強く願っています」

――子どもと日常的に接する中で、ご自身の受け止め方に変化は?

波瑠 「現場で碧彩ちゃんと向き合っていると、毎日の会話から発見が絶えません。もし自分一人で、好きなように仕事して生活していたら、新しい刺激が入ってこなくなるのでは、と年々感じていて。いまは“疑似体験をさせてもらっている”という気持ちで感謝しています。実際に母になるという選択を、恐れずにできる社会になってほしいし、“フェイクマミー”的な形に限らず、近くで支える職業や制度が増えれば、選択肢はもっと広がるはずです」

川栄 「今は多様性が求められる時代。かつて当たり前とされていた“夫が働き、妻は家庭を守る”という形だけでは語れません。女性も仕事をしたいし、だから『フェイクマミー』があるなら“パパバージョン”があっても良い。そもそも“育児は母親がやるもの”という前提自体を外していきたい。働く女性は“旦那さんが協力してくれている”と語られがちですが、本来は“みんなで担うもの”。この作品が“自分を責めなくていい”と思うきっかけになればうれしいです。誰かに頼ったとしても、どんなに仕事に打ち込んでいても、子どもへの愛情は変わらない。その点を受け取っていただけたら」

――今回の物語は、子どものために奮闘する2人の母親の愛情が軸になっています。お二人が“母から受けた愛情”で記憶に残っている出来事は?

波瑠 「私は子どもの頃、すぐに風邪をひくタイプで、習い事のプールに行けば熱を出し、学校でインフルエンザがはやっていない時期に自分だけかかったりもしていました。かなり手のかかる子どもだったと思います。両親は共働きで、私がまだ一人で病院に行けない年齢の時は本当に大変だったはずなのに、母は仕事に行けなくなった“自己嫌悪”を一切見せず、徹して私に向き合ってくれていた。今振り返ると、それは当たり前ではなく、確かな愛情だったのだと気付かされます」

川栄 「うちも共働きでしたが、母は毎日きちんとご飯を作ってくれて、幼稚園や小学校で必要なものも全部手作り。夜な夜なミシンを動かして、私が好きだった人形や服まで作ってくれました。子どもの頃は『やったー!』くらいの受け止め方でしたが、自分が母になった今、『カバンまで手作りしてくれてたんだ。普通なら買うよね』と考えると、胸が温かくなります」

――正反対の2人が、出会いを経てどんな絆を築いていくのか、期待が膨らみました。では最後に、第1話の見どころをお願いします。

波瑠 「第1話は薫と茉海恵の“出会い”。脚本をいただいた際、このタイミングで参加できることに光栄な気持ちになりました。ご一緒するのが川栄さんだったこと、ドラマの中で2人が出会うこと。すべてがご縁とタイミング。“求めよ、さらば与えられん”ではないですが、人生はそうやって好転していくのではと信じています。新しい刺激をもらい、勇気を与えてくれる作品。お母さんやお父さんはもちろん、子どもがいる方もいない方も、幅広く楽しんでいただけるはずです」

川栄 「やはり第1話は“ニセママ契約”が大きな見どころ。その契約を通じて、愛情や絆、家族の新しい形が立ち上がっていきます。登場人物それぞれが大事にしているものが異なるので、誰にとっても心に刺さる場面がきっとあるはず。放送を楽しみにしていてください」

波瑠&川栄李奈W主演「フェイクマミー」開幕!「母親になること」「仕事と子育て」リアルな思い語る

【プロフィール】
波瑠(はる)
1991年6月17日生まれ。東京都出身。O型。2015年、連続テレビ小説「あさが来た」(NHK総合ほか)でヒロインを務めた。以降、「G線上のあなたと私」(19年/TBS系)、「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」(20年/日本テレビ系)、「アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~」(25年/フジテレビ系)など話題作に多数出演。

川栄李奈(かわえい りな)
1995年2月12日生まれ。神奈川県出身。O型。元AKB48のメンバーで、2015年に卒業後は女優として本格的に活動を開始。16年、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、21年、「カムカムエヴリバディ」、19年、大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」、21年、「青天を衝け」(NHK総合ほか)などに出演。24年、舞台「千と千尋の神隠し」では海外公演を経験。

【番組情報】
「フェイクマミー」

10月10日スタート
TBS系
金曜 午後10:00~10:54

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