桜田ひより&佐野勇斗「ESCAPE」小室直子監督が語る演出哲学「役者の輝きをすくい取りたい」2025/10/07 06:00

桜田ひよりと佐野勇斗(M!LK)がダブル主演を務める日本テレビ系の連続ドラマ「ESCAPE それは誘拐のはずだった」(水曜午後10:00)が10月8日にいよいよ放送開始となる。若き2人が織り成す“逃避行”の物語をサスペンスと青春のエッセンスを織り交ぜて描く本作。その演出を手がけるのは、「3年A組―今から皆さんは、人質です―」や「あなたの番です」(ともに2019年/日本テレビ系)など話題作を次々と生み出してきた小室直子監督。今回は、そんな小室監督のインタビューが到着。作品に込めた思いや、主演2人の魅力、そして自身の演出哲学についてたっぷりと語った。
今作でメガホンを取る小室監督は、桜田と佐野というフレッシュな2人を主演に迎え、3か月間の撮影を通して“キラキラした瞬間”をすくい取ることに全力を注いだという。「演出をするうえで一番大切にしているのは、役者さんに気持ちよく演じていただくことです。現場の空気って、必ず画面に映るんですよ。だからこそ、役者さんが心からその役になりきれるような環境を整えることが、私の役目だと思っています」と演出における自身のスタンスを示した。

小室監督が日本テレビに入社したのは2009年。当初は映画監督を志していたが、連続ドラマの魅力にひかれ、次第にテレビドラマの世界へと傾倒していった。「27歳で念願のドラマ部に異動できたんですが、当時は女性の演出家が少なくて、最初は“プロデューサーの方が向いているんじゃない?”なんて言われたこともありました。でも、どうしても監督がやりたくて。『1本だけでいいから撮らせてください』とお願いして、チャンスをいただいたんです」と思い返す。
その1本が、2015年放送の「掟上今日子の備忘録」。この作品でGP帯(ゴールデン・プライム帯)初演出を果たし、以降、数々の話題作を手がけてきた。
32歳の時には、「3年A組―今から皆さんは、人質です―」でGP帯初のチーフ演出を担当。菅田将暉をはじめとする若手俳優たちの熱量に圧倒されながらも、「その熱に負けたくない」と全力で向き合った。「今しか撮れない瞬間ってあると思うんです。あの時の生徒役の皆さんは、これからどんどん羽ばたいていく存在。だからこそ、あの3か月間を任された責任を感じて、“今しか撮れないものを撮るぞ!”という気持ちで臨みました」と当時の覚悟を打ち明ける。
プライベートでは母となった小室監督。仕事への向き合い方に変化も。「実は、母親になっても自分は変わらないようにしようと意識していたんです。子どもがいると心が満たされて、ヒリヒリした演出ができなくなるんじゃないかって。でも、今回のドラマのカメラマンに“母になってから土台ができて、自信がついたように見える”って言われて。ああ、変わってもいいんだなって思えました」と前向きに受け止めることができたという。

今作の企画を聞いた時、「王道エンターテインメント」という言葉にワクワクしたという小室監督。主演の2人が桜田と佐野と聞いて、さらに期待が高まったという。
桜田については「柔らかい雰囲気なのに自分の意見をしっかり持っていて頼れる方だと思いました。実際現場でも普段は朗らかなのですが、お芝居に入ると、キリッとされる。結以というキャラクターをすごく考えていらっしゃるので、私が『たしかにそうだね』と言うことも多いですし、俯瞰(ふかん)で物を見ることもできる頭の良い方だと思います」と評価する。
一方、佐野さんとは4年ぶりの再会だといい、「まず『背、伸びた?』って聞いてしまいました(笑)。それくらい大人の男性としての魅力が増していて、自信にみなぎっているように思いました。佐野さんも器用な方で、細かく考えられてお芝居を構築されるのですが、実はご自身の持っている屈託のなさや人懐っこさ、人の良さやピュアな部分が大介っぽくて、いろいろ考えて話し合った上で、それを全部手放して演じてくださり、そのお芝居がすごくいいと思っています」と俳優としての成長をたたえた。
物語は、若い2人の逃避行を軸に展開するが、それを取り巻くキャスト陣も実力派ぞろい。北村一輝、ファーストサマーウイカらが脇を固め、物語に厚みを加えている。「北村一輝さんは、こちらが勉強になるくらい演出の目線を持っていらっしゃる方で、一緒に作らせていただいていてとても楽しいです。ファーストサマーウイカさんは、場を華やかにしてくださる空気感を作ってくださる方。このドラマは若い2人の逃避行を周りの人が追うという話ですが、現場はそのままだと感じています。2人の座長の周りを魅力的で個性豊かな俳優陣が土台を固めて盛り上げてくださっています」と絶大な信頼を寄せる。
また、「ESCAPE」は、ただのサスペンスではない。青春ロードムービーの要素も色濃く、さらに“アメリカ”を裏テーマに据えているという。「カラフルでポップなアメリカの雰囲気を取り入れたくて、衣装や美術、音楽にもこだわりました。逃亡に使う赤いスポーツカーや、インフルエンサーの家の内装もアメリカのペントハウスをイメージしています。対照的に、北村さん演じる追う側の世界はシックで重厚に。映像の質感もフィルムっぽくざらつかせたり、手持ちカメラで臨場感を出したりと、細部までこだわっています」と映像美への追求を語る。

初回の見どころは“2人の化学反応”。「第1話の見どころは、やはり結以と大介の掛け合いです。本来なら交わるはずのなかった2人が、誘拐という事件をきっかけに出会い、反発しながらも次第に息が合っていく。その変化が1話の中でもしっかり描かれています。桜田さんと佐野さんがクランクインしてから徐々に距離を縮めていく様子が、役柄の関係性とリンクしていて、見ていてとても面白いですよ」と視聴者へメッセージを送った。
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