岡山天音「唯一無二の存在」×森七菜「一番話しやすい先輩」。原作愛あふれる「ひらやすみ」会見2025/10/01 18:27

NHK総合で11月3日スタートの夜ドラ「ひらやすみ」(月~木曜午後10:45)の取材会が都内で行われ、主演の岡山天音、共演の森七菜、制作統括の坂部康二氏が登壇した。
「ひらやすみ」は、漫画家・真造圭伍氏による同名コミックが原作。阿佐ヶ谷の平屋一戸建てに住む主人公・ヒロトと、彼といっしょに暮らすいとこのなつみ、そして周囲の人々の姿を優しく描き出す物語だ。2023年「手塚治虫文化賞」マンガ大賞にノミネートされ、2024年にはイタリアで開催された欧州最大のポップカルチャーの祭典「ルッカコミックス&ゲームズ」で最優秀連載コミック賞を受賞するなど、国内外で高く評価されている。岡山は元俳優という設定の主人公・ヒロト役でNHK連続ドラマ初主演。森は美大入学のために上京してきたいとこのなつみ役を演じる。

岡山は「このお話をいただく前から『ひらやすみ』が大好きで、ずっと読み続けてきました。原作者・真造圭伍さんの世界観がとても好きで、今回こうして参加できることを心から幸せに感じています。同時に、大きなプレッシャーでもありました」とあいさつ。ヒロトというキャラクターについては、「彼や『ひらやすみ』の人々の息遣いや暮らしが、これから放送を通じて皆さんの心にどう届くのか、いまからとても楽しみにしています」と期待を語った。
森も原作への愛着を明かす。「私も原作が大好きで、初めて読んだのはNHK近くの本屋さんで試し読みをした時でした。だから不思議なご縁を感じています」とほほ笑む。完成した第1週の映像については「夏に撮影していたことを懐かしく思い出しました。まるで自分が過ごしてきた日々をもう一度見直しているような感覚で、何げない日常がこんなに価値ある、きらめきを持って作品として残るんだと感じました」としみじみ。「きっと視聴者の皆さんも、『今日も疲れたな』という夜に、ほっと一息つける時間を過ごしていただけると思います」と作品の魅力を伝えた。

本作のナレーションは小林聡美が担当。岡山は「小林さんの独特な距離感やキャラクターたちとの関わり方がとてもすてきで、ご本人にしかないチャーミングさがドラマを彩ってくださっている」と絶賛。森も「小林さんが現場に来られた時、『このまま映像に登場しても違和感がないのでは?』と思うほど、作品の世界に自然に溶け込んでいました」と振り返り、「完成した映像を観て、物語の温かさが一層際立っていて、『やっと形になった』と実感しました」と頬をほころばせた。
それぞれの役について「核にしている部分」を問われると、岡山は「『ひらやすみ』の1巻を初めて読んだ時、『やっと出会えた』と思ったんです。子どもの頃から『こんな友達がいたらいいな』と描いていた、そのままの人物がヒロトでした」と回想。続けて、「ヒロトはごく普通の市井の人で、街にいたら擦れ違ってしまう存在かもしれません。でも僕には“ある種の天才”に映って。自覚のないまま、日常を豊かに生きている人をどう“生きた人間”として表せるかを考えながら演じました」と語った。
“天才”とは何かを問われると、「僕が感じているのは『生きる才能』ですね。多くの人は『ないものねだり』をしたり、『ここではないどこか』に希望を求めがちですが、ヒロトは目の前にある日常の輝きに自然と気付ける人。功績や幸せは遠くにあるのではなく、すぐそばにある。それをナチュラルに受け止めて豊かな時間を過ごす。派手ではないけれど、だからこそ人がひかれて集まってくるのだと思います」と、その人間的魅力を丁寧に言葉にした。
森は「なつみは原作ではムスッとした表情が多く、第1話を見て『嫌われないかな』と不安になりました。でもそれも彼女らしさだと思い、怖がらずに挑みました」と打ち明ける。「ヒロ兄や平屋での暮らしをどんどん好きになっていく姿や、本当は感謝している気持ちなど、“いい子な部分”を大切に持ち続けたい。それがふとした瞬間ににじみ出て、見ている方に伝わったらうれしいです」と思いを寄せた。
役と自身の共通点を聞かれた岡山は「似ているところは正直分かりません。ただ、発表前から『ヒロトに似ている』と言われることは何度かあって…。でも自分ではピンと来なくて、『似ている』というのはおこがましい気がします」と苦笑。すると森が「その“分からないです”という言い方自体がヒロトっぽい」と返し、会場を和ませた。

初めて本格的に共演した2人。岡山は「これまで同じ作品に出たことはありましたが、しっかり共演するのは今回が初めてです」と話し、「森さんからは“森七菜パワー”を強く感じます。普段の会話も面白いし、芝居になるとさらに違う面白さがある。唯一無二の存在です」と評価した。
一方の森は「お会いする前は幅広い役のイメージから、極端に振り幅の大きい人物像を想像していました。ヒロ兄のように穏やかな人だったり、サイコパス的な天才役だったり…」と語ると、岡山が「そんな役やったことないよ!」とすかさずツッコミ。
続けて森は「100行のセリフも一瞬で覚えるんだろうなと勝手に思い込み、緊張していましたが、実際にご一緒したら一番話しやすい先輩俳優でした。毎日『しゃべりすぎたかな』と思うほど話してくださって、ありがたかったです」と感謝を伝えると、岡山も「サイコパスのまま終わらなくてよかった。そう言ってもらえて光栄です」と照れ笑いを浮かべた。

撮影に使われた家は、阿佐ヶ谷を中心に何十件も探して見つけた実際の平屋。空き家ながら長年人が暮らしてきた痕跡が残っており、スタッフが入ると狭さで動きづらい面もあったというが、岡山はヒロトのベッド、森はなつみの部屋で思い思いに過ごすなど、自然に“自分の居場所”を見つけていた。
岡山は「ヒロトの家は、根岸季衣さん演じるおばあちゃんから譲り受けたという設定です。実際に入ると、おばあちゃんの暮らしの痕跡と、ヒロトの暮らしの痕跡、さらにそこに森さん演じるなつみが加わることで新しい色が重なっていく。その積み重ねが織物のように画面全体に漂っていました。表面的なポップさではなく、『どういう家で、どういう人が、どういう時間を過ごしてきたのか』という歴史が香る場所でした」と住まいの魅力を語った。
森は特にお気に入りの場所として縁側と台所を挙げ、「窓から差し込む光がまな板の上を照らすんです。それがとても美しくて。小さなテーブルで鍋を囲むシーンもありましたが、“小さな暮らし”の雰囲気が心地よくて。シーンが終わった後もご飯がおいしくて食べ続けてしまったり、居心地が良すぎて帰りたくなくなるほどでした」と笑顔で振り返った。

平屋に住んだ経験について問われると、岡山は「僕は今回が“平屋デビュー”でした」とにっこり。「なぜそう感じるのか言葉にしづらいですが、ヒロトには本当に合っている場所だと、かりそめながら暮らしてみて改めて思いました。縁側もそうですが、時間との付き合い方が大きく変わる感覚がありましたね。普段は生活のスピードが早くなりがちですが、ここでは呼吸を整えて立ち止まりたくなる。そんなきっかけをくれる、とても好きな空間でした」と手応えを示した。
一方の森は意外な思い出を披露。「私は昔、実際に平屋に住んでいたことがあるんです。なつみが『この家、ボロボロだね』と言う場面がありますが、私が住んでいた家の方がもっと“すごい”家でした」と笑い、「畳と畳の隙間からカイワレ大根が生えてきたり、ナメクジと一緒にお風呂に入ったり(笑)。自然と共存しているような家で、本当に3日くらいで建てたんじゃないかと思うほどでした」と驚きのエピソードを明かした。
だからこそ今回の平屋には強い愛着がわいたといい、「この家はむしろ、ぜいたくだなと思いました。でもやっぱり平屋は階段もなく、声を少し出せばすぐ家族に届く距離感がある。とても平和で心地よい空間だと実感しました。いつか余裕ができたらまた平屋に住んでみたい」とにこやかにコメント。記者から「タワマンより?」と聞かれると「タワマンより平屋がいいです」と即答し、会場を沸かせた。
会見の終盤には、原作者・真造圭伍さんから2人へのメッセージが代読された。岡山については「休憩中に一人でセリフを練習する猫背の後ろ姿を見て『この人はこれから活躍する俳優になるだろう』と思った」との言葉が寄せられ、「ヒロトを演じてくれてありがとう。楽しみにしています」と期待が託された。森には「現場に現れた瞬間、発光しているようなエネルギーを感じた」とし、「なっちゃんの生意気さとかわいらしさを森さんなら説得力を持って表現してくれるはず」と信頼のコメントが送られた。

岡山は「まるで恩師からの言葉のようで、教え子になった気分でした」と感慨深げ。「実は先生の大ファンで、最初の出会いはコミックスのサイン会でした。それ以来ほとんどの作品を読み続けています。今回こうしてご一緒できる日を迎えられたことを心からありがたく思っています」と語った。制作統括の坂部氏が「現場に来られた際、岡山さんはほとんど話せなかった。そんなところもヒロトらしい」と裏話を明かすと、岡山も「先生がほかの方と話していたので、結局話せませんでした。好きすぎてデュフっちゃって(笑)」とおどけ、会場に笑いが広がった。
森は「原作がある作品ではファンの方の視線も気になりますが、それ以上に原作者さんにどう受け止めていただけるかが一番の緊張です」と本音を吐露。「先生の描くなっちゃんは一コマ一コマが生き生きしていて、それをどうつなげるかは大きな責任でした。だから直接言葉をいただけて本当にうれしいです」と笑顔を見せた。

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