織田裕二&今田美桜、世界陸上アンバサダーとして初タッグ! 開幕直前の本音トーク!2025/09/11 18:00

いよいよ9月13日に開幕する「東京2025世界陸上」。長年「世界陸上」中継の顔としてキャスターを務めてきて今回は大会のスペシャルアンバサダーを務める織田裕二と、今回初めてTBS世界陸上アンバサダーを務める今田美桜が開幕を目前に控えた現在の心境を語った。
織田 「先日、首都高を通った時、電光掲示板に『9月14、15日は世界陸上マラソンのために出入り口封鎖』と表示されていて、“あー、いよいよなんだな”って。街中に“世界陸上”ってあるとうれしくなっちゃいますね。どこを封鎖するのかは分からないですけど(笑)」
今田 「私もテレビなどいろいろなところで、“いよいよ”というのをよく見るようになって、徐々にドキドキしてきました。このお仕事が決まってからずっと緊張していたのですが、選手の皆さんの資料や映像を読んだり見たりして、楽しみになってきています。国立競技場も先日初めて行ったのですが、誰もいない状態だったので、ここに選手の皆さんが集まって開幕したらどうなるんだろうってワクワクしました」
織田 「これまではキャスターとして関わってきましたが、今回のような“大会のアンバサダー”は初めての取り組みなので、どうなるのかはやってみないと正直分からないなと。だから楽しみでもあり、恐れてもいますね(笑)。“ちょっとお手伝い”と言って引き受けたつもりが、(実際の内容を聞いたら)“大丈夫かな?”と。体力的にすごく大変なんです。9日間、まるで電波ジャックするようなものなので。1日10時間くらいの生放送があって、打ち合わせも含めるとずっと動いている。でも、選手は戦っているので、同じくわれわれも戦います」
今田 「スポーツの大会のアンバサダーは初めてなので、やってみないと分からないことも多いですけど、頼もしい織田さんが隣にいてくださるので、アドバイスを聞きながら、現場の熱さをテレビを超えて届けられるように頑張りたいです」
織田 「今田さんは陸上をやっていたんですよね? それは心強いです」
今田 「中学時代に部活でちょっとだけですけど」
織田 「それでもいいの。やっていた人の言葉ってやっぱ違うんですよ」
今田 「もし活かせることがあればいいなとは思っています」
織田 「その経験を活かして、思ったことを“バン”って言葉にすればいいだけだから。僕も今回は生放送のテンポについていけるか心配で。中井(美穂)さんと2人でやっていた時とまた違うテンポで進行していくだろうから」
今田 「織田さんは大丈夫なように思いますが…」
織田 「大丈夫じゃない! 突然、時間が押したり巻いたりするんですよ。例えば、1分話す予定だったのに、急に“10秒でまとめて”と言われたり、逆に“10分話してください”と言われたりして…」
今田 「そんなに幅が広いんですね…。それを聞いて緊張してきました…。でもこんなにずっと競技を間近で見られる機会は本当に貴重だと思うので、楽しみながら頑張りたいです」

1997年のアテネ大会からキャスターを務めてきて、今や“陸上ファン”となった織田が、おすすめの楽しみ方を教えてくれた。
織田 「特に男女100mですが、準決勝が面白い。『決勝だけ見ればいいや』と思っている人は大間違いです。準決勝は、選手たちが決勝以上の気持ちで臨んでくるんですよ。今は特に実力が拮抗(きっこう)していて、決勝には8人しか残れない。だから準決勝で『あの人も落ちた、この人も落ちた』ということが起きる。ちょっとしたミスでも取り返しがつかない種目なんですよ。その最たる例がハードルですよね。本当にミスは許されないし、ミスしやすい種目でもある。種目によっては上位選手が、予選・準決勝で力を抜くこともあると思うけど、ハードルはそれがない。だから逆にいえば、予選を見ると誰が決勝に残れるのかまで大体分かるので面白いですよ」
さらには“推し”の選手を見つけることもおすすめだという。
織田 「僕は気になる選手を追いかけて見ることがあるんです。例えば、(女子400mハードルの世界記録保持者で今回は400mに挑戦する)アメリカのシドニー・マクローフリン選手など、気になる選手を見つけておいて、『今回はどんな面持ちで入ってきたのかな』とチェックする。そして選手には必ずライバルがいるので、そのライバルも含めて見て。でも、新たに気になる選手が現れることもあるので、それもまた予想外で面白い。何度も見ている選手は、これまでのドラマが思い出されるので、そんな楽しみ方もしますね」
一方、世界陸上の生観戦は初めてとなる今田もすでに“推し”の選手を見つけたようだ。
今田 「女子800mに出場する久保凛選手が気になっています。資料や映像をいろいろと見させていただいた時に、“自分よりもこんなに若い子が”とすごく衝撃を受けて、楽しみにしています。あとは男子400mハードルのカールステン・ワーホルム選手(ノルウェー/過去4大会金メダルの世界記録保持者)もハマっちゃいました。オラフコーチとの関係性もすごくすてきですよね。オラフコーチを見られるかもしれないのも楽しみです」
織田 「そういう意味では、女子やり投げの北口榛花選手とコーチとの関係も面白いですよ。北口選手は調子が悪い時に、コーチと話していると全部表情に出るんですよ。普通は隠すと思うんだけど、あれだけ顔に出して勝っちゃうんだから、『何者なんだろう、北口さんは』となる。今はまだ、けがのあとでもあるんで、どうなるかなと心配しつつ、楽しみです」
今田 「棒高跳びは“6m以上跳ぶってどういうこと?”って気になっています。部活でほかの子が棒高跳びをやっているのは見たことがあるんです。でも6mって私が見たことがある高さの倍以上なので、ぜひ近くで見てみたいですね。当時、ポールを持ってみたことがあるんですが、長くて重くてバランスを取るのが難しくて。私は(バーの手前のボックスに)さしてみようとしてもさせなかった。それをあれだけ速く助走して正確にさして跳ぶっていうのが、テレビで見ていてもびっくりします」
織田 「僕も棒高跳びは唯一複雑な競技だなと思う。ほかはシンプルじゃないですか、走るとか跳ぶとか。棒高跳びは前に行って上に行くという立体的な動きをするので、複雑だなと思います」

最後に織田が、先日ついに日本代表80名が発表されたことを受け、特に代表争いが熾烈(しれつ)だった「男子100m」と「男子4×100mリレー」について期待を語ってくれた。まず男子100mの代表3枠に選ばれたのは、桐生祥秀、守祐陽、サニブラウン アブデル ハキームだ。
織田 「男子100mが3人しか出られないのは本当に悔しい。個人的には、あと3人出してあげたい…。“なんとかなんない?”と思うくらい悔しいですね。柳田大輝選手はものすごく調子いいし、多田修平選手のスタートダッシュは相変わらず好きだし、小池祐貴選手も気になるし…。今まで見てきて、これだけ日本人選手が粒ぞろいなことはなかった。それだけにうれしい気持ちもありますが、それ以上に悔しさが強いです。だからこそ選ばれた3人には“やってくれ!”と思っています。(代表が決まるまで)一番胃が痛かったのはサニ(サニブラウン アブデル ハキーム)ですね。なかなか決まらなかったので。けがをしていたというのもあるし、以前、腰のヘルニアをやっていたので心配です。ただ、爆発力もポテンシャルも日本代表の中では一番なので。そういう意味ではやはり彼がいないと寂しいなと思っていたので、無事に決まってよかったです。あとはどこまで本番に向けてコンディションを上げてこられるかという勝負かなと」
サニブラウンは、2022年のオレゴン大会で日本人初の決勝進出を果たし7位入賞、前回のブダペスト大会も6位入賞を果たし、今大会でも決勝進出の期待がかかる。だが、「そんなに甘くない」と語る織田。長年取材し続け、関係を築き上げてきたからこその言葉だ。
織田 「前回決勝に残った他の選手を見ると、自己ベストは9秒8台なんですよ。サニだけが自己ベスト9秒96で決勝に残った。勝負強いとも言えるんですけど、不安ですよね。やっぱりパーソナルベストがいまだに9秒96でいいのかっていう。こんなこと言うと“何様だお前”って感じですよね(苦笑)。でもやっぱりサニが目指しているものからすると物足りないなって。ただ、本人はもちろん9秒8台を狙っているけど、タイムはそんな気にしてないと言うんですよ。“勝負に勝つこと”が大事だって。タイムは高地で走れば良くなるし、その時の風とかいろんな条件によって左右されるので、とにかくその時に一番になることが大事だと。日本代表で世界一を目標にしている選手って少ないんですよ。北口選手はもう世界一になりましたが、歴代で見ても室伏(広治)さんなど数人しかいない。それだけ陸上って本当に世界中でやられている競技だし。かけっこをしない国はない。一番の原点であり、世界中の全員がライバルになっちゃう競技ですから」
織田 「準決勝になったら、もう横にいるメンツは“バケモノ”しかいないので、まず準決勝に立てる24人に入ったらすごい。それで決勝には各組上位2名+2名がタイムで拾われる。欲を言えば、サニには着順で通過できる2位以内に入ってほしいですよね。あとは日本で最初に9秒台を出した桐生(祥秀)。彼がまた9秒台を出した(8月に9秒99を記録)のはすごくうれしくて。正直、いつ終わっちゃうんだろうと不安だったんですよ。多分そういう期間があって、またここへ来てギアを上げられたんで、“待っていました”という感じですね。(21歳で初選出された)守くんは今回すごくラッキーだったと思うんです。それをいい方に出せるかどうか。“僕なんかが…”っていう子だったら駄目だろうし、若いので本番中に伸びていく可能性もある。3人全員が準決勝を走っている姿を見たいし、できればサニにはまたその上を見てほしいですね」

そして今大会全体の最終種目となるのが「男子4×100mリレー」。2008年北京五輪、16年リオ五輪で銀メダル、世界陸上でも17年ロンドン大会、19年ドーハ大会で銅メダルと、日本が輝かしい結果を残してきただけに、地元・東京開催での“有終の美”が期待される。その大きな期待に応えるためだろう、メンバーには、桐生、守、サニブラウンのほか、大上直起、井上直紀、小池祐貴、柳田大輝、清水空跳と8名もエントリーされた。
これは「混合4×400mリレー」の枠を「男子4×100mリレー」に充てて確保したメンバー数だ(ルール上可能)。この中からギリギリまで状態を見極め、本番で最高のパフォーマンスをできる4人を選ぶ。この8名は先ほどの織田の言葉にもあったように、歴代でも類を見ないほど“粒ぞろい”。だが、そうであっても織田の展望はシビアである。
織田 「過去に4継(=4×100mリレーの通称)で日本が優位に立てたのは、お家芸であるアンダーバトンパスがあったから。でも今は他国にまねされていますから。だから、“なんで日本に勝てるはずの総力があるのに、負けているんだ?”という国たちが、日本を研究して全部盗んできているし、アメリカですらバトンパスの練習をしている。一昔前は“リレーなんておまけのお祭り”“それでも勝てるぜ”という感じだったアメリカが、だんだん危うくなってきて、バトン練習をし始めた。ただ、海外は我が強い選手が多くて、選手同士が仲良しじゃないことも多いんですよね。だから“この選手とこの選手は続きにしちゃいけない”みたいなことがあったりするんです。コーチ側も大変だと思う」
織田 「今回は東京が舞台なので、天候的にもヨーロッパと違って暑いんですよ。特に選手層の厚いアメリカは、コーチの作戦としては出場選手を(リレーの負担にならないよう)100mや200mで分けたい、でもノア・ライルズなんかは100mと200m両方やりたがるだろうな…みたいなことがあると思うんです。そうなった時にどうするんだろうなと気になっています。例えばカナダだったらアンドレ・ドグラスというベテラン選手に頑張ってもらうしかないけど、アメリカは選手層が厚い分、いろいろな作戦を立てられちゃう。だから、コーチたちがどういう作戦を立てるのか気になりますね」
ちなみに「日本のリレーメンバー4人を選ぶとしたら?」と問うと…。
織田 「今4人に絞るのは無理ですね。やっぱり5人、6人になっちゃいますよね。でも(高校生の)清水選手や守選手をはじめとした若い選手は本番で化ける可能性があるので、そういう意味でも本当はみんなに100mの予選に立ってもらいたいんですけどね」

【番組情報】
「東京2025 世界陸上」
TBS系
9月13日~21日
9月13日
午前7:00〜午後2:30
競歩・マラソン●男子35km競歩決勝/女子35km競歩決勝
投てき●女子円盤投予選AB/男子砲丸投予選AB
短距離・中距離・長距離・リレー●男子100m予備予選/混合4×400mリレー予選
午後4:30〜午後10:30
障害・ハードル●男子3000m障害予選
跳躍●女子走幅跳予選AB/男子棒高跳予選AB
短距離・中距離・長距離・リレー●女子100m予選/男子100m予選/女子1500m予選 /女子10000m決勝/混合4×400mリレー決勝
投てき●男子砲丸投決勝
※以降は公式サイトを参照。
取材・文/高田宏香
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