藤原丈一郎「すべての恋が終わるとしても」初共演の神尾楓珠と築いたリアルな友情で物語に深み2025/08/24 05:00

葵わかな&神尾楓珠がダブル主演を務める「すべての恋が終わるとしても」(ABCテレビ・テレビ朝日系)は、“忘れられない恋”をテーマにしたラブストーリー。高校の卒業式の日から付き合い始めた同級生の男女が主人公で、彼らを取り巻く人物たちも含めた8人の男女が織り成す、リアルでちょっぴりほろ苦い恋模様が描かれる。
この8人の中の1人、西颯(にし・はやて)を演じるのが藤原丈一郎(なにわ男子)。神尾演じる主人公・大崎真央の親友役として、どのように物語に関わっていくのか。本作の魅力や現場のエピソードを交えながら話してくれた。
──140字の超短編集を原作としたドラマと聞いて、どのような感想を持ちましたか?
「超短編をドラマにすると聞いて、『え!?』と驚きました。1時間のドラマなので、原作の方向性を大事にしつつ、ほぼオリジナルになるんだろうなと思って台本を手に取ったんです。僕が演じる西颯がどう成長していくのかを楽しみながら読めました。というのも、これまで僕が出演してきた作品の中でも新しいタイプの役柄だったんです。だからこそ、『最終話までどうなるんやろう』という気持ちを持ったまま演じていきたいなと。視聴者の皆さんと同じ目線で、結末を知らずに演じたいと思って、あえて台本を最後まで読まなかったんです」
──結局、最後まで読まずに撮影を続けられたのですか?
「そう、うまくはいかず(笑)。監督に『最終話、どう思います?』と聞かれたので、『すみません、あえて読んでいなかったんですけど、すぐに読みます』と言って全部読みました」
──新しいタイプの役だという颯は、どんなキャラクターですか?
「神尾楓珠くんが演じる大崎真央の親友で、素直でコミュニケーション能力が高い人物です。そう聞くと“陽”のイメージがあるかと思いますが、颯は少しクールな感じもあって。『この人がいたら場が落ち着くね』という存在感を意識しながら演じています」
──本作は“忘れられない恋”がテーマの切ないラブストーリー。これまでも恋愛ドラマへのご出演経験がある藤原さんですが、ラブストーリーにはどんな印象がありますか?
「僕はホンマにテレビっ子で、恋愛ドラマを見ると、『次週どうなるんだろう、あの人とあの人がくっつくのかな!?』とかを考えるのが好きなんです。学生時代は『昨日、あの番組見た? めっちゃおもろいで!』とすぐネタにするタイプだったのですが、それを29歳でもやっている感じ(笑)。でも、演じる側からすると、結末を知りながら演じることになるので、頭の回転が大事だなと。なので、逆算しながら演技を考えるんですけど、狙いすぎてもミスマッチを起こすし……その塩梅(あんばい)には難しさがありますね」
──視聴者に悟られないように演じなければならない。
「動作やしぐさによって、『この人はあの人のことが好きなんじゃないかな』、『これは脈なしかな』など、捉え方が変わると思うんですよ。だから、監督やカメラマンさんに『どの角度がいいですか?』と相談しながら撮影しています。『僕のあざとい元カノ from あざとくて何が悪いの?』でも同じようにスタッフさんと相談しながら撮影していましたね」
──ご自身の経験が演技に生きることもありますか?
「僕の場合、なにわ男子のライブでステージに立っている時に感じる、お客さんの視線が大きいですね。僕たちを見るお客さんの目って、すごくキュンキュンしているというか、“恋”してくれていると感じるんです。もちろん、リアルな恋とは違う感覚だとは思いますが、人を好きになる上で大事なのは“心”なので。だから、セリフを言っていても、見えないキャッチボールをする感じで、心のつながりを意識するようにしています。でも僕、実は鈍感なんですよ(笑)。なので、そういうコミュニケーション方法は、なにわ男子のメンバーの言動を見て勉強しています。ちょっとしたボディタッチをされると『あ、これはキュンとするな』とか(笑)」
──メンバーのどんな行動に刺激を受けていますか?
「うちのメンバー、距離が近いんです。なかでも(大西)流星やみっちー(道枝駿佑)は『おはよう』と言いながらハグしてきたりするので。この間、神尾くんにしゃべりかけながらポンとボディタッチしたら、『お、おう……』って引かれました(笑)。『俺、距離近いかな?』と聞いたら『うん、近い』って。メンバーのおかげで、僕の境界線センサーはゆるゆるです(笑)」

──神尾さんとは初共演ですが、打ち解けるのは早かったですか?
「『2人は共演していたの?』とはよく言われますね。親友という間柄を演じるので、それなりの距離感でやっていきたいなとは最初から思っていました。クランクインの日に一緒にゲームをするシーンを撮影したんですけど、2人でキャッキャしながらやって。……あの頃の神尾くんはかわいかったですね。今はねぇ。神尾くんは僕をナメています。あ、いい意味で、ですよ!(笑)。僕がセリフのないシーンを撮影している時などは、本番直前に僕のところに来て『緊張すんなよ』とか言うんですよ。『うっさいわ!』って返したんですけど、それぐらい和気あいあいとしている現場で楽しいです」
──そんな現場でのやりとりが“親友感”にいい影響が?
「セリフの掛け合いだけではなく、俳優にとって大事なのは、物語の空気感を出すこと。そういう意味で、神尾くんはさすがだなと。自然に僕との距離を縮めてくれたので、2人で自然な親友らしい空気感を作れていることがすごくうれしいですね」
──藤原さんはそもそも、初対面の人とも打ち解けやすいタイプですか?
「ありがたいことに、グループに所属していると、メンバーとすでに共演している方もいらっしゃるので、『この間、○○くんと一緒だったよ』という会話のネタが生まれるんですよ。そこから仲良くさせていただくことが多いですね。同じ事務所に所属しているほかのグループのメンバーの話になることもあって、神尾くんも最初は、『PJ ~航空救難団~』(テレビ朝日系/2025年)で共演したリチャード(草間リチャード敬太/Aぇ! group)や映画『20歳のソウル』で一緒だった佐野(晶哉)(Aぇ! group)の話から入ったので」
──颯は幼なじみである、真央の妹、大崎莉津との関係が注目されますが、演じる本田望結さんとの掛け合いはいかがですか?
「本田さんとは、難しい掛け合いが多いんです。颯は気持ちをあまり表に出さないので、莉津からすると『(あなたの気持ちは)どっちなのよ』みたいな思いになるというか。でも、キャリアの長い本田さんに引っ張っていただいているので安心して演じられています」

──本田さんは京都出身の関西人ですが、共通点はありますか?
「休憩時間には関西弁でしゃべっていますよ。そこに神尾くんも混ざって、三兄妹みたいな感じになります。僕が一番年上ですが、なぜか一番年下みたいな扱いをされています(笑)。でもそれが、お芝居にもつながるので、なんかいいなって。このドラマは、恋と友達関係の境界線の難しさが見どころの一つで、颯と莉津にもその問題が出てきます。きっと、同じ経験がある方には共感してもらえるでしょうし、そのバランスを楽しんで見ていただけたらいいですよね」
──“忘れられない恋”を描く本作にちなみ、藤原さんにとって、“忘れられない学生時代の思い出”があったら教えてください。
「小学校の時の球技大会です。僕はサッカーの試合に出たんですけど、決勝戦でPKを決めたら勝ちという瞬間に自分の順番が回ってきて。その時はもう事務所に入ってアイドル活動をしていたので、『めっちゃ持っているやん! これで決めたらキャーッて言われて、まさにアイドルやん!』と想像しながらボールを蹴って……見事外しました。その時、『俺は“そっちの路線”なんだな』と確信しました(笑)」
──アイドルとして、自分が立つべき立ち位置に気が付いた。
「はい。木村(拓哉)さんタイプではないなと(笑)。そういう、苦い思い出はほかにもあるんですよ。高校最後の体育の授業もサッカーだったんですけど、胃腸炎でずっとトイレにこもっていたし。だからそれ以降、ボール系はこわいですね(笑)」
【プロフィール】
藤原丈一郎(ふじわら じょういちろう)
1996年2月8日生まれ。大阪府出身。B型。なにわ男子のメンバー。2021年に「初心LOVE(うぶらぶ)」でCDデビュー。25年1月に「僕のあざとい元カノ from あざとくて何が悪いの?」(テレビ朝日系)でトリプル主演を務めた。また、現在放送中の「ロンダリング」(カンテレ・フジテレビ系)で主演を務めるなど、ドラマや舞台、映画で活躍中。
【番組情報】
「すべての恋が終わるとしても」
テレビ朝日系
10月12日スタート
日曜 午後10:15〜11:09
※TVerで見逃し配信
取材・文/TVガイドWeb編集部
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