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「干し芋1枚で役づくり」高橋文哉が語る「あんぱん」戦争シーンの舞台裏と親友役・北村匠海との絆2025/06/20 08:15

「干し芋1枚で役づくり」高橋文哉が語る「あんぱん」戦争シーンの舞台裏と親友役・北村匠海との絆

 NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜午前8:00ほか)で、嵩(北村匠海)の東京高等芸術学校時代の同級生であり、戦地でも再会を果たす辛島健太郎を演じているのが高橋文哉。博多ことばに初挑戦し、素直で真っすぐな青年を丁寧に演じている。初出演となる朝ドラへの思いや、嵩との友情、戦争という大きなテーマに向き合った役づくりについて、率直な言葉で語ってくれた。

 今田美桜が主演を務める「連続テレビ小説」第112作の「あんぱん」は、中園ミホさんが「それいけ!アンパンマン」(日本テレビほか)を生み出した漫画家・やなせたかしさんをモデルとした柳井嵩(北村)と、その妻・のぶ(今田)の激動の人生を描く。何者でもなかった2人が数々の困難を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでを紡ぐ、生きる勇気と希望を与える物語だ。

 高橋が演じる辛島健太郎は、福岡出身で、若い頃友人のいなかった嵩にとって初めての“真の友人”となる人物。やがて戦地で再会し、友情と現実の狭間で揺れる青年として、物語にあたたかな存在感を与えている。

「干し芋1枚で役づくり」高橋文哉が語る「あんぱん」戦争シーンの舞台裏と親友役・北村匠海との絆

──連続テレビ小説初出演となります。放送開始後、反響はいかがですか?

「朝ドラはずっと目標の一つだったので、出演させていただくことができてすごくうれしいです。反響もたくさんいただいて。バラエティー番組でご一緒させていただいている先輩も見てくださっているようで、会うたびに『あんぱん焼いている?』と言われて、『僕、焼かないんです』というくだりを毎週やっています(笑)」

──健太郎というキャラクターをどう捉えていますか?

「皆さんに真っすぐで素直な男の子を想像してもらった時に、そのど真ん中にいるのが健太郎だと思っています。方言のおかげもあり、かわいらしさが前面に出るキャラクターなので、あざとくなりすぎないように意識して演じています」

──博多ことばの挑戦についても教えてください。

「博多ことばは、難しいです。最初は台本を読んでいても、何を言っているのか分からなくて、脳と舌が追いつかない状態でした。今はやっと、文字を読むと音が頭の中に出てくるようになってきた感じです。ただ、お芝居に気持ちが乗ると、方言が飛んでしまうことがあって。博多ことばは語尾が上がることが多いのですが、悲しくて音としては下げて言いたいときに、上げないといけない場面があると難しくて……。そういう時は、方言指導の先生が別の言い方を提案してくださるので、安心感がありますし、いつも助けていただいています」

「干し芋1枚で役づくり」高橋文哉が語る「あんぱん」戦争シーンの舞台裏と親友役・北村匠海との絆

──第7週では、メイコ(原菜乃華)との心の距離が近づくシーンも描かれました。撮影を振り返っていかがでしたか?

「健太郎のギターに合わせてメイコちゃんが歌うシーンは、原さんの透き通るような歌声が印象的でした。この2人にしか作れない、キラキラした空気を届けたいと思いながらやっていました。また、初めて2人でお芝居をしたのが、のらくろに似ていると言うシーンだったので、そこも思い入れの強い場面です。健太郎を演じる上で、わざとらしくならないように、距離を近づける理由をたくさん探して。のらくろの顔を思い出しながらメイコちゃんの顔をじーっと見ているのですが、メイコちゃんからすると見つめられているように感じるというのが、擦れ違いコントのような恋だなと思います(笑)」

──第10週で健太郎に赤紙が届くシーンでは、どのような思いで臨みましたか?

「嵩と2人でカレーを食べながら、赤紙が来たことを報告するシーンは、僕としても初めて見る健太郎だなと思いました。嵩と積み重ねてきた思い出があるからこそ、彼に向かって赤紙という言葉を口にするのがすごく苦しかったですし、カレーの味がしなかったことを今でも覚えています。今後の健太郎の人生においても、すごく記憶に残る日になるんだろうなと思いました」

「干し芋1枚で役づくり」高橋文哉が語る「あんぱん」戦争シーンの舞台裏と親友役・北村匠海との絆

──第11週・第12週で描かれた戦争のシーンについて、どんなことを感じながら演じましたか?

「戦争のシーンは、撮影しながらも、これが実際に起きていたのだということに、どうしても現実味が感じられませんでした。しかし、それでも自分がお芝居で体感して演じなくてはいけないので、大きな責任があるなと思っています。事前に、当時の戦争について記されている本を監修の方からいただいて。文面だけでは理解できないことは、聞いたり、自分で調べたりして臨みました。上の立場の人から手をあげられることがたくさんあったそうで、お芝居の中でも目上の人と接する時には、緊張感を持って身構えていました。戦争のシーンでは、常に背筋が伸びていた感覚があります」

──役づくりとして、外見や生活面でも取り組んだことがあったそうですね。

「元々、健太郎を演じる上で、福岡から東京に出て来た子の雰囲気が出せればいいなと思い、5kgくらい増やしていたのですが、戦争のシーンに向けて1週間で5kg落としました。戦争中は芋を1日に1本しか食べられなかったとお聞きして、そこから自分も、干し芋を1日1枚食べるという生活を4日くらいやっていました。あとは乾パンを食べてみるなど、なるべくできるところはやろうといった気持ちでしたね」

「干し芋1枚で役づくり」高橋文哉が語る「あんぱん」戦争シーンの舞台裏と親友役・北村匠海との絆

──健太郎と嵩の友情について、高橋さんはどう感じていますか?

「嵩は、健太郎にないものを持っていて。全然似ていないのに、ずっと一緒にいられる、落ち着ける人です。嵩に対する健太郎の言動は、全部にちゃんと愛があると思っていて。嵩が下を向いた時には、上を向けるように、あごをクイッとあげるのが健太郎なのかなと。お互いに高め合える2人だと思いますし、成長して変化もあるかもしれませんが、それでも変わらない2人でありたいなと思っています」

──嵩役の北村匠海さんと現場をともにして、印象に残っていることはありますか?

「北村さんは、本当に優しくて包容力のある方です。最初に人見知りしていた僕に、ふと『文哉はさぁ』と名前で呼んでくださって、キュンとしました(笑)。お互いに料理をするので、料理の話題で盛り上がったり、すごく仲良くしていただいて。『あんぱん』からたくさんの影響をもらっていますが、なかでも北村さんとの出会いはすごく大きいです。お芝居への意識や現場でのたたずまいなど、いろいろなことを学ばせていただいているので、本当に出会えてよかったなと思います」


【番組情報】
連続テレビ小説「あんぱん」

NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45

文/TVガイドWeb編集部



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