「世界で一番早い春」でW主演を務める吉田美月喜「バランスのいい現場!」2025/06/19 17:00

吉田美月喜と藤原樹(THE RAMPAGE)がダブル主演を務め、6月19日からMBSほかでスタートするドラマ特区「世界で一番早い春」(木曜深夜0:59)は、川端志季さんの同名漫画を原作に吉田美月喜と藤原樹のダブル主演でおくるタイムスリップ・ラブストーリー。
大ヒット作「リバイブライン」を連載していた26歳の漫画家・晴田真帆(吉田)は、漫画賞の授賞式で突然、「『リバイブライン』は私が作ったものではありません」とスピーチする。実は真帆が描いてきた漫画は、10年前に亡くなった高校の先輩・雪嶋周(藤原)の設定ノートをもとに描かれたものだった。できるなら先輩に作品を返したいと願う真帆は、あるきっかけで、高校時代にタイムスリップしてしまい…。

今回は、後悔を抱えながらタイムスリップをする主人公・真帆を演じる吉田さんにインタビュー。ドラマの見どころや、撮影の雰囲気について聞いた。
──まず、川端先生原作のドラマへの出演を聞いた時の感想を教えてください。
「元々川端先生の漫画を読んでいたので、今回この作品に関わることができてすごくうれしいです。漫画の世界観が本当にすてきなのですが、今回はタイムスリップものですし、『どうやってこれをやっていくんだろう』と、すごく楽しみにしていました」
──以前から川端先生の作品がお好きだったということですが、今回の作品はどこに魅力を感じていましたか。
「登場するキャラクターがみんな濃くて、際立っているところです。登場人物自体が多いわけではないからこそ一人一人にしっかり焦点を当てて見ることができるのもあります」
──今回演じる真帆は吉田さんからみてどんな人物ですか?
「すごく素直だし、真っすぐで明るいポジティブな力を持っている子です。だからこそ雪嶋先輩に対して、素直に言い過ぎちゃって後悔するところもあるのですが、演じていて元気がもらえるキャラクターです」
──演じる上で、意識していることはありますか。
「始めの雪嶋先輩とのシーンは真帆も高校生なのですが、その後に何回かタイムスリップしていく中では、26歳の真帆が高校生として振る舞う場面もあって、どこまで大人っぽさを出すかという部分を意識しています。ベースとして真帆はすごく素直な子なので、大人っぽすぎるのも違うし、徐々に雪嶋先輩への気持ちも募っていくわけで…。そのあんばいは、監督とも常に話し合いながら撮影していて難しいところです」
──雪嶋先輩を演じる藤原さん、そして高校の同級生で真帆のタイムスリップをサポートする嵐景政を演じる大倉空人(原因は自分にある。)さんの印象を教えてください。
「大倉さんはすごく明るくて現場のムードメーカー的な存在なのに対して、藤原さんは、優しくてふわっとした空気感を持っていらっしゃる方で。勝手にクールな方なのかなと想像していたのですが、全然そんなことなくて。藤原さんの周りの空気がゆっくり進んでいるような感じで意外でした。でも、そのマイペースな感じの空気感が雪嶋先輩に通ずるところがあるなって思います」

──藤原さんのLDH魂は感じませんでしたか。
「現場で隠されているのかもしれないですが、全然感じなくて。同じ空気感で俳優として現場にいてくださる感じなので、安心感がありますね。今、絶賛全国ツアー中で、忙しいと思うのですが、ダンスしている時がストレス発散になっているらしくて、ライブから帰ってきた日は目がスッキリしています」
──真帆は漫画家ですが、ドラマの中でも実際に漫画を描くシーンもあるのでしょうか?
「あります! その時は撮影で使う用紙にもこだわってくださっていて。プロの方に『こういうふうに塗りつぶすといいよ』と教えてもらったりしながら撮影しています」
──吉田さんご自身は絵を描くことは好きですか?
「現場にあるトーンを見て、小さい頃に、職業体験できるテーマパークで漫画家を体験したことを思い出しました!」
──今回演じる中で、真帆のどんなところに魅力を感じますか?
「私が初めて読んだ川端先生の作品が『宇宙を駆けるよだか』なのですが、キャラクターが絶望した時などの死んだ目の描写がすごく印象に残っていて。ゾっとするような、あまり見たことのない目だったんです。真帆はベースがすごく明るい子なのですが、雪嶋先輩が死んでしまった時や、何回もタイムスリップして心が折れそうになってしまった時に、その印象に残っていた目が再び出てきて。漫画のイラストの表現の仕方と演技は違うのですが、その死んだ目をできるだけ意識して演技しようと思って、頑張っています」
──富田未来監督といろいろご相談されているとのことですが、今回、ご一緒されていかがですか。
「すごく話しやすい空気感を作ってくださっています。原作でもコメディチックな描写がちょこちょこあって。先輩が死んでしまって後悔しているところから物語が始まるなど、ミステリアスなサスペンス系も色濃く入っているからこそコメディタッチな部分は際立たせたいっていうことで。私では思い浮かばないような動きを提案してくださったり、真帆の天然な無邪気さが出るような動きについて、いろんな引き出しを提案してくださるので、すごく勉強になっています」
──監督からのアドバイスで印象に残っていることはありますか?
「私の今までの癖なのかもしれないのですが、動きながら話すことが多いようでした。今回の作品では、真帆の言葉の強さ、明るいパワーをしっかり際立たせたいから、話してから動くっていうふうにしてみようかって話を現場ではしています。でもつい、動きながら話しちゃうみたいなことがあると、止めてアドバイスくださるのはとてもありがたいなって思います。すごく新しい発見ですね」
──雪嶋先輩のキャラクターとしての魅力はどういう部分だと思いますか?
「ギャップがかなりあるキャラクターだなって思っています。見た目がクールで、ちょっと怖がられている先輩だけれど、真帆と雪嶋先輩の距離感はバグっているんです。真帆の頭をポンポンしたり、ハグしたり…、お付き合いしていない関係ではあまりしないことなので。藤原さんとも、どうナチュラルにボディータッチをするか相談したのですが、”2人の漫画に対する熱や、テンション感”があればナチュラルに行けるという結論になりました。やっぱり漫画への”熱”が雪嶋先輩の最大の魅力だと思います。だからこそフレンドリーにもなれるし、距離感が近くなって、離れた後にちょっと照れているところもかわいくてキュンポイントです」

──同世代の方々も多い現場ですが、現場の雰囲気はいかがですか?
「本当に楽しいのですが、藤原さんと大倉さんは『あらばしり』(25年/読売テレビ)で共演されているので、初めからお二人が仲良くて、その感じも見ていてほほ笑ましかったです。大倉さんの、ムードメーカーで、周りをよく見て気遣いができる子だなっていう感じと、藤原さんの、いると安心感があるような包容力で、すごくバランスのいい現場だなって勝手に思っています」
──吉田さんはどういう立ち位置ですか。
「藤原さんは、元気でよくしゃべると言ってくれます。話しやすいと思ってくれていたことにホッとしました。キャラクターの心情が難しい作品なので、監督や演者さんとお昼を食べながら話し合うことが多いです」
──撮影はまだ中盤ぐらいということですが、印象に残っているシーンはありますか?
「真帆は何度もタイムスリップするのでいろいろな気持ちが積みあがっているのですが、雪嶋先輩は1個の時間軸しかないので、そこでのそのずれに面白さを感じます。真帆のセリフが少しずつ変わっていって、展開も変わっていくという面白さが見ていて楽しいシーンだと思っています」
──真帆は『雪嶋先輩の作品を返したい』という思いでタイムスリップしますが、吉田さんはタイムスリップして行きたい時間はありますか?
「高校3年生かな。ちょうど高校3年生の時にコロナウイルスがまん延して、文化祭や修学旅行がなくなってしまった年代なんです。高校1年生、2年生の時に『3年生があるから』と先延ばしにしていたこともできなくなってしまって。あの時やっとけばよかったって後悔はあります。この作品だと、『雪嶋先輩が生きているうちに』…と真帆たちが行動を起こしますが、できる時に、後悔しないようにやるというのは、この作品と通じるところがあると思います」
──高校時代はどんなふうに過ごされていましたか。
「1年生の時は事務所に入ってこの仕事をさせてもらっていたので、演技の楽しさを知っていく期間だったと思います。演技レッスンも含め、ちょっとずつ現場にも行かせてもらったりする中で、大人の方と関わる機会っていうのが急に増えた年でもあるので。いろんな吸収をしていた時期だと思います」
──吉田さんは去年、「ルックバック」と「マイクロベリーフィルム」で主演を務められるなど活躍されていますが、俳優としてどういうところを大切にしていらっしゃいますか?
「まず、自分の軸は基本的に変えないことです。演技の仕事を始めたばかりの時は、そのキャラクターになりきって演じていたんです。それももちろん大切なのですが、大人の役者さんたちは、そこにプラスアルファで、周りを見る第三者の視点を持っていると感じて。それを今後は取得していかないといけないなと思っていました。特に主演をやらせていただく際は役になりきっている自分とは別に自分の軸を持って客観的に見ることを意識しています。うまくできているかは分かりませんが、今心がけていることです」
──芝居の楽しさややりがいはどんなところに感じていますか?
「楽しさは正解がないところです。人の感性に関わっている仕事なのが面白いなと思います。それと、すてきな役や作品に出合えた時に、自分の人生観が変わる瞬間があって、それはすごく貴重だなというふうに思いますね」

──真帆は漫画に熱中していますが、吉田さんが今、仕事以外で夢中になっていることはありますか?
「今は、キックボクシングにはまっています。初めはエクササイズ目的だったのですが、今は本格的にやっています。体を動かすことが好きで、いつかアクションの仕事もやってみたいなと思っている中で、何かプラスになるんじゃないかなっていう思いもあって、楽しんでやっています!」
──この作品にどんなメッセージを込められていますか?
「タイムスリップ・ラブストーリーはもちろん、登場人物全員の漫画への熱や、目標に向かって頑張っている姿が描かれています。雪嶋先輩みたいにずっと漫画一筋のキャラクターもいれば、過去から改心して頑張っているキャラクターもいます。原作や脚本を読んだ時に、”できるときに真っすぐにやることの大切”を感じました。視聴者の方にもそれが伝わるとうれしいです」
──ありがとうございました!
【プロフィール】
吉田美月喜(よしだ みづき)
2003年生まれ。東京都出身。劇場版アニメ「ルックバック」では声優としてダブル主演を務め、数々の作品賞受賞し、注目を集める。主な主演作としてMBS「マイストロベリーフィルム」(24年)、映画「カムイのうた」(24年)、「あつい胸さわぎ」(23年)、「メイヘムガール」(22年)。その他、出演作として「今際の国のアリス」(Netflix)、「ドラゴン桜」(21年/TBS系)などがある。
【番組情報】
ドラマ特区「世界で一番早い春」
MBSほか
木曜 深夜0:59~1:29
※地域によって放送日時は異なります
※MBS放送後、TVerにて1週間無料見逃し配信
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