「あんぱん」寡黙な石工役で注目の細田佳央太。河合優実との共演に「背筋が伸びる」2025/05/08 08:15

NHK総合ほかで放送中の連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜午前8:00ほか)で、主人公・朝田のぶ(今田美桜)の祖父・朝田釜次(吉田鋼太郎)の弟子、原豪を演じている細田佳央太。師匠を慕い、家族の一員のように朝田家に寄り添う若き石工を、細田が丁寧に演じている。その人物像や、撮影の手応え、胸に秘めた思いを語ってくれた。
今田が主人公を務める「朝ドラ」第112作の「あんぱん」は、中園ミホさんがアンパンマンを生み出した漫画家・やなせたかしさんをモデルとした柳井嵩(北村匠海)と、嵩の妻・のぶ(今田)の激動の人生を描く。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語をおくる。
細田が演じる原豪は、釜次を深く尊敬し、その弟子として修行に励む若き石工。普段は言葉数が少なく、朝田家の一部屋に住まわせてもらいながら、家族に静かに寄り添う存在だ。物語の中盤からは、戦争や恋といった人生の大きな転機を迎える役どころとしても注目を集めている。
──細田さんは、豪の人物像をどのように受け止めてお芝居に臨んでいますか?
「自分から言葉を発することはありませんが、朝田家の皆さんに常に寄り添う心を持っている人物ですね。セリフがそこまで多くないので、直接会話に入っていなくても、それに対しての反応で豪の感情の変化を見せていかなければならないと思っています。クランクインが第6週のヤムさん(阿部サダヲ)と釣りをするシーンだったのですが、最初にあのシーンを撮影できたことで、豪の全体的な方向性が決まった感じがします。阿部さんとのお芝居も安心できて、緊張せずに臨めましたし、とても印象深いシーンですね」

──師匠である釜次は、豪にとってどんな存在だと考えていますか?
「第2のお父さんだと思います。セリフに『読み書きも、尺の使い方も、石のことも、全部、親方から教わりました…親方が、わしの学校でした』とありましたが、それ以上に、この時代の男としての振る舞い方を教わっているような気がします。吉田さんはとにかくアドリブで遊びを入れてくださる方で。特にリハーサルだと、毎回変えてこられるんですよ(笑)。返せないのが悔しいくらいすてきなものを投げてくださるので、勝手に反省していることが多いです。ついていくのに必死ではありますが、そのやりとりも楽しいですし、本当に師匠と弟子のような感じですね」
──実はずっと蘭子(河合優実)に思いを寄せていた豪ですが、どんなところにひかれたと思いますか?
「蘭子さんは何よりも家のことを一番に考え、家族を大事にしている方で。しっかりしていて面倒見がよく、視野が広い。そんなところにひかれたんだと思います。第5週で岩男(濱尾ノリタカ)さんが蘭子さんに結婚を申し込みに来ましたが、豪としてはもう心臓がバックバクで(笑)。そのあと出勤する蘭子さんが作業場の横を通る時に、演出の方から『石をたたく音で感情を表現してほしい』と言われ、豪の動揺を音で表現した場面もありました」
──豪に召集令状が届き、壮行会が開かれた後、蘭子とお互いの気持ちを伝え合うシーンがありました。どのような思いで挑みましたか?
「この時代、戦争に行くことはとても誉れのあることで。豪としてはネガティブな感情はありませんが、唯一の心残りは蘭子さんとの仲をその時にはまだ縮め切れていなかったこと。だからこそ、2人の思いが通じ合うシーンは、台本を読んだ時から感動的なシーンだと感じていました。蘭子役の河合さんとは3度目の共演ですが、一緒にお芝居をしていると、より集中して意識を広げないといけない瞬間がたくさんあり、すごく背筋が伸びる感覚があります。それが楽しいですし、刺激をもらえる方ですね。このシーンの撮影も、河合さんとのお芝居で生まれるものに従おうという気持ちだったので、細かいことや方言すらも一切気にせずに臨みました」

──このシーンが物語全体の中で持つ意味を、どう捉えていますか?
「羽多子(江口のりこ)さんから『豪ちゃん、蘭子をよろしゅうお願いします』というセリフを受けますが、そこで初めて朝田家の家族の一員になれた気がして、込み上げてくる感情がありましたね。戦争もありますし、物語の中でそれぞれの苦難もたくさん描かれていますが、その中でこのシーンが輝いて見えていればいいなと思います」
【番組情報】
連続テレビ小説「あんぱん」
NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15 ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45
文/TVガイドWeb編集部
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