岸井ゆきの「同じくらいのプレッシャーも」恩田陸著「ユージニア」待望の映像化で主演2026/08/03 07:00

WOWOWでは11月8日より、第59回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)に輝いた、恩田陸氏の傑作ミステリー「ユージニア」を、岸井ゆきの主演で映像化した、「連続ドラマW 恩田陸 ユージニア」(日曜午後10:00、全6話)を放送・配信する。
1991年、「六番目の小夜子」でデビュー、17年「蜜蜂と遠雷」で第156回直木三十五賞、そして、第14回本屋大賞を受賞した恩田氏の「ユージニア」は、人間の奥底に潜む闇や心の陰影を鮮烈に描き出した傑作として高く評価されており、現在も読み継がれるロングセラーとして国内累計38万部を突破している。さらに、2020年には米ニューヨーク・タイムズ紙の「今年の100冊」に選出され、22年には「ドイツ犯罪小説賞」国際部門で第1位を獲得。英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、韓国語の6言語に翻訳されるなど、海外でも高い支持と評価を集めている。
北陸・K市の名家で起き、17人の犠牲者を出した毒殺事件「中大垣町大量殺人事件」から物語は始まる。事件の第一発見者であり、その出来事を題材に小説を執筆した作家、事件を生き延びた盲目の少女、真相を追い続けるライターら3人の女性を中心に、関係者たちが30年の歳月を経てもなお、その忌まわしい事件の影にとらわれ続ける姿を描き出す。
原作の単行本の装丁を担当した、ブックデザイナー祖父江慎氏とのやりとりで恩田氏は、本作について、「読むと不安になって、読み進めるとさらに不安が深くなる、デヴィッド・リンチ監督の『ツイン・ピークス』みたいなお話」と形容した。そんな、伝説の小説が、約20年の時を経て、WOWOWオリジナルドラマとして、ついに映像化される。
脚本は、岸井と、「土曜ドラマ お別れホスピタル」(24年~/NHK総合)シリーズでタッグを組んだ安達奈緒子氏が担う。そして、メイン監督を務めるのは、長編デビューとなった映画「金子差入店」(25年)が絶賛された古川豪氏。さらに、ドラマ「東京サラダボウル」(25年/NHK総合)や、配信ドラマ「ガンニバル」(22年~/ディズニープラス)シリーズなどの話題作に携わってきた川井隼人氏がもう1人の監督として参加する。
WOWOWドラマで初主演を務める岸井が演じるのは、11歳の時に大量毒殺事件の目撃者となり、30年間その記憶に人生を侵食され続け、話す相手によって、声色もしゃべり方も変幻自在に変える女性・雑賀満喜子。80年代に20歳代だった彼女は、事件に翻弄される人々の話を聞いて回っていた。そして、40代になった00年代、とあるライターより事件の真相を問われ……。そんな、満喜子の30年の時代の流れを、1人で見事に演じきった。
11歳当時、中大垣事件の最初の目撃者の1人となった満喜子は、のちに事件の経緯をまとめた卒論が出版社の目にとまり、小説「忘れられた祝祭」として出版しベストセラーとなった。ある人物の影響から、話す相手によって声色やしゃべり方を変幻自在に変えるようになる満喜子役で本作に出演する岸井は、「恩田先生の小説は中学の頃から拝読していたので、オファーはとてもうれしく、同じくらいのプレッシャーもありました。安達奈緒子さんの脚本だと聞き、いつも多角的に世界を描いていく安達さんとならこの物語に一緒に飛び込めるかもしれないと感じました」と、期待を込めて作品に参加したと明かした。
実際に満喜子演じた感想を聞かれると「話す人や、その時の気持ち、状況によって話す速度やイメージが変わる役だったので、シーンとシーンのつなががりを気にせずお芝居をするのは新鮮でした」と振り返った。
最後に、「人生は選択の連続であるはずなのに、自分の意思とは別に、巻き込まれてしまった、つまり運命にもたらされた現実の中で、それぞれがどう生きるかの軌跡だと感じます。記憶されたものと記録は同じものではないかもしれません。ぜひ楽しんで見ていただければ幸いです」とメッセージを寄せた。
脚本を手がけた安達氏は、原作者・恩田氏とのやりとりを振り返りながら、本作が持つ独特の魅力について言及。脚本の骨子が固まった頃に恩田氏と面会する機会を得たといい、「この難解であるがゆえに取りつかれてしまう物語の“正解”がつかみたくて、わたしはすがる思いでさまざまお尋ねし、恩田先生はそのすべてに丁寧に答えてくださいました。でも先生は“分かりやすい正解”を絶妙に回避されていたように思います」と語る。
さらに、「ユージニア」について「読者や視聴者を、“傍観者”という安全な場所から引きずり出す物語」だと表現。「否応なく事件に巻き込まれ、自分が見たものが見たまま真実だと言いきれるのか、物語が進むにつれて分からなくなってしまう。そのそれぞれの“体験”を映像にする。大変な挑戦だと思います」と映像化の難しさを明かした。
その上で、「けれどわたしは、この物語の駆動である満喜子がつかんだ、満喜子だけの“真実”を見てみたいと思いました」と作品への思いを吐露。主演の岸井についても、「岸井ゆきのさんが、その身体を通じて満喜子の体験を紡ぎ出してくださっています。『真実を知っているのはわたしだけ』という陶酔感に一緒に浸っていただけたらと思います」と岸井の演技に信頼を示した。

原作者の恩田氏は、本作の映像化について「2005年の刊行以来、海外を含めさまざまな映像化のオファーをいただいていましたが、刊行20年目という節目の年に映像化が実現したこと、さらに完全版の刊行も重なり、感慨深いものがあります」と喜びを述べる。
また、完成した映像作品については、「映像版は、また一つの新たな『ユージニア』になっていると思います」と期待を寄せ、「素晴らしい脚本とキャストに恵まれ、私自身も皆さんと一緒にワクワクしています」とコメント。原作ファンはもちろん、初めて作品に触れる視聴者にも、新たな『ユージニア』の世界を楽しんでほしいとメッセージを送った。
あらすじ
北陸・K市の名家・青澤家で発生した大量毒殺事件。現場には、「ユージニア」という不可解な言葉が記された詩のような手紙が残されていた。事件を目撃した一人である雑賀満喜子(岸井)は、当時まだ小学生だったが、10年後、大学の卒業論文のテーマとしてこの事件に向き合うことを決意。関係者への取材を重ねる中で、少女時代の友人であり、青澤家唯一の生存者である青澤緋紗子と再会する。
しかし、この再会は満喜子の人生に大きな影響を及ぼし、彼女を予期せぬ運命へと導いていく。やがて満喜子の論文は書籍化され、ベストセラーとなるが、その一冊を世に残した後、彼女は突然姿を消してしまう。
それから約30年後。フリーライターの田波友子が事件の真相を追うため再びK市を訪れる。すると、消息を絶っていた満喜子が友子の前に現れ、さらに長らくアメリカで暮らしていた緋紗子もK市へ戻ってくる。封印された記憶と交錯する証言の先に浮かび上がるのは、事件に人生を翻弄された人々の知られざる思いだった。
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