東京パラリンピックの競技を解説【卓球】多様なスタイルの選手同士が対戦。ハイレベルなテクニックに注目2021/08/22
卓球は第1回のローマ1960大会から継続して実施されている競技の一つ。オリンピックで卓球が正式競技になったのは1988年ソウル大会であり、パラリンピックの卓球の方が歴史がある。使用するラケットやボール、卓球台の大きさはオリンピック競技と同じで、基本的なルールもほぼ同じ。ただし、サービスのトスの上げ方など、クラス特有のルールが適用されることもある。試合は1ゲーム11点先取の5ゲーム制（3ゲーム先取制）で行われる。
大きく分けて肢体不自由の車いすと立位、そして知的障がいの3クラスがあり、車いすと立位は、さらに五つのクラスに分けられる。実施種目数は男子シングルス11、女子シングルス10、男子団体10、女子団体4の計35。
つえを使って体を支える選手、ラケットと手をテーピングなどで固定する選手、口でラケットくわえて操る選手など、それぞれの個性を生かしたさまざまなプレースタイルが見られることが魅力であり、多様なスタイルの選手同士が対戦することが大きな特徴だ。立位クラスで足に障がいがある選手と、腕に障がいがある選手が対戦することは珍しくない。競技に与える影響が同程度であれば同じクラスになるというルールで、「クラシファイヤー」と呼ばれる専門家が選手の能力をチェックし、クラス分けをする。障がいが異なる選手が対戦する場合、お互いの弱点をめぐる攻防が勝敗に直結する。たとえば片足が義足の選手は素早く動くのが難しい方向があるため、そこをどう狙い、どうカバーするかが鍵になる。もちろん、相手の弱点を攻めることは真剣勝負では当然のことであり、フェアプレーとして称賛される。
車いすクラスは、卓球台近くでプレーする前陣型の選手が多い。卓球台から離れると、左右の球に手が届かなくなってしまうからだ。至近距離でしかも低い位置でのプレーとなるため、立位よりも速いラリーが展開される。そのスピード、小刻みなチェアワーク、スピンをかけてネット際にボールを落とすテクニックなどは必見だ。
近年、他を圧する頭一つ抜けた強さを誇っているのが中国。種目数が多いこともあったオリンピックのように金メダル独占とはいかないものの、前回2016年リオデジャネイロ大会では29種目中・13種目を制した。今大会でも卓球王国の底力を見せつけそうだ。日本はリオ大会女子シングルス知的障害5位入賞の伊藤槙紀、同じくリオ大会に出場した岩渕幸洋（立位クラス9）、竹守彪（知的障害クラス）らの躍進が期待される。また、車いす卓球は、1964年東京大会で日本が初めて金メダルを獲得した競技。2度目の東京大会でもメダルをつかんでほしいものだ。
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