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「豊臣兄弟!」松本怜生インタビュー前編 石田三成役は今も模索中「一辺倒になりたくない」2026/10/11 20:45

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「豊臣兄弟!」石田三成役・松本怜生インタビュー【前編】

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」(日曜午後8:00ほか)で、石田三成を演じる松本怜生に前後編でインタビュー。

 本作の主人公は豊臣秀長(仲野太賀)。戦国時代のど真ん中、強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた兄・豊臣秀吉(池松壮亮)と、それを支えた名参謀・秀長の物語。秀長の目線を通して、兄弟が夢を追い、天下へ駆け上がっていく姿を描いている。

 松本が演じる石田三成は、秀吉に重用され、やがて豊臣政権の中核を担っていく人物。「豊臣兄弟!」では若き家臣の一人として登場し、物語が進むにつれて重要な役目を任されるようになってきた。

 これまで多くの俳優が演じてきた三成を、自分ならどう表現するのか。「一辺倒になりたくない」という思いと、歴史上の三成のイメージを崩したくない気持ちの間で、今も答えを模索しているという松本。家臣団での立ち位置や、加藤清正(伊藤絃)、福島正則(松崎優輝)との違い、茶々(井上和/乃木坂46)との関わりなどから、「豊臣兄弟!」ならではの三成像を読みとく。

歴代の三成を意識しつつ「豊臣兄弟!」ならではの役を追求

松本怜生「豊臣兄弟!」石田三成役を追求/「豊臣兄弟!」松本怜生インタビュー【前編】

──石田三成は、これまでさまざまな作品で多くの方が演じてきた人物です。松本さんは最初、どのように役と向き合いましたか。

「もちろん石田三成という武将についても、これまで演じてこられた役者さんについても意識しました。ただ、名だたる先輩方のお芝居を見すぎてしまうと余計に緊張してしまうので、あまり気にしないようにしたんです。最終的には『豊臣兄弟!』において、自分がどう演じるかが大事だということは、自分でも分かっていたので。どれだけ準備をしても、現場に行ってみないと分からないことが多い。だから、柔軟に動かなければいけないと考えていました。合っているか間違っているかは分からなくても、いろいろと自分なりに用意しておけば、現場で言われたことに対応できる。自分の引き出しと合致していたら、それを生かすこともできますし」

──これまで描かれてきた三成との差を、意識することはありましたか。

「『これまでの三成と、どんな違いを出そう』という着眼点は正直なかったんです。既存のイメージどおりにいけば冷静で、堅物じゃないですけど、言われたことはきちんと全うする真っすぐな人間。でも、この『豊臣兄弟!』では、それ以外の部分も表現したくて、今も模索中です。一辺倒になりたくないという思いと、石田三成のイメージは崩したくないというジレンマがずっとあって。まだ正解は分かっていないですね」

──監督から、三成像について具体的に示されたことはありましたか。

「特にありません。どういう三成像にするかは『自分なりに考えていい』ということなのかなと受け止めています」

家臣団で変わる立ち位置と「茶々派」三成の思い

豊臣家臣団での役目を語る/「豊臣兄弟!」石田三成役・松本怜生インタビュー【前編】

──物語が進み、家臣団の中でも三成が任される役目が増えています。現在の立ち位置をどう捉えていますか。

「家臣団は、選抜試験の時からずっと一緒だったんです。いつか位が分かれ、任される役目に差が出てくる日が来ることは、みんな覚悟はしていたんですけど、それが“ぬるり”と訪れた感じがあって。だからこそ、僕はそこをあまり意識しないようにしています。三成自身は周りと比べていないけど、周囲からすれば『ああいうことを任されている三成って、なんか気に食わないな』となる。まさにそういうことなのかなと思います」

──三成自身は周囲と比べていない一方で、家臣たちからの見え方は少しずつ変わっていくんですね。

「そうです。嫉妬です(笑)。でも、三成自身は『自分には自分の役目がある』という感覚なんじゃないかなと」

──第34回では、石川数正(迫田孝也)を案内する役目も担いました。その場面では、どんなことを意識しましたか。

「まず、『秀吉が今、数正にこれを見せる意図は何なんだろう』ということが気になりました。秀吉は豊臣の力を見せつけることで、数正をけん制しようとしているんじゃないかなと。だから、案内している時は、どこまで警戒心を表に出すべきかと意識していました」

──その解釈を持って撮影に臨む中で、監督とはどんなやりとりがありましたか。

「石川慎一郎監督からは『もうちょっと表情を柔らかに』と言われました。秀吉が『見ていってください』と数正を迎えている以上、その空気感を三成もちゃんと出さないといけない。でも、だからといって余裕たっぷりに見えるのも違う。相手を警戒しながら、どう見せるのか。そのバランスの正解を探すことに頭がいっぱいのシーンだったかもしれないです」

──茶々を秀吉の妻に迎えるかどうかについて加藤清正(伊藤絃)や福島正則(松崎優輝)と対立する場面が描かれ、彼らとの意見の違いも次第にはっきりしてきました。「寧々派」と「茶々派」という構図については、どう考えていますか。

「監督、キャストの間で共通していたのは、『加藤清正と福島正則は寧々派、三成は茶々派』という、視聴者の方が見て分かりやすい構造を作りたいということ。それを大前提に、さらに何を付け足していくかという話をしたシーンなんです。ただ、これまで三成が“茶々派”だと明確に描かれていたわけではないんですよね。むしろ茶々に対して、ちょっとおせっかいというか、お世話係みたいな口調で話す場面もあります。『いろいろ抱えているから心を開けないのは仕方ない』という秀吉の優しさを分かっているからこそ、三成には『でも秀吉さんは、俺からしたらすごい殿様なんだぞ。分かっているのか』という気持ちもあるんじゃないかなと思います」

──では、松本さん自身は、あの場面の三成の思いをどう捉えていたのでしょう。

「僕は“茶々派”というより、秀長に共鳴してるというスタンスでした。『茶々殿と結婚した方がいい』と言い出したのは秀長ですし、三成自身に最初から茶々という選択肢があったわけではないと思うんです。むしろ、豊臣秀次(山田涼介)が継ぐことに対して、三成なりに感じている危うさがあるんじゃないかなと思います」

「豊臣兄弟!」での三成の人物像を探し続ける/「豊臣兄弟!」石田三成役・松本怜生インタビュー【前編】

──その解釈で、加藤清正や福島正則とはどんな距離感で向き合っていましたか。

「『お前ら、そこじゃない』『今のお前らに話しても分からん』ぐらいの感覚です(笑)。そのあきれているような感じが少しでも出たらいいなと思って演じていました」

──井上さん演じる茶々との芝居はいかがですか。

「井上さんとは、お芝居をする前にイベントで会っていたので、最初は井上和さんとしてお会いしていたんです。でも、現場で茶々として見ると、お市様(宮﨑あおい)や浅井家を彷彿(ほうふつ)とさせる野心というか、まだどこか“豊臣になっていない”感じが伝わってくる。それでいて品があって、存在感がある方。でも、どこか子どもっぽい部分も演じられている気がして、僕も自然と芝居に入っていけます」

──そんな茶々を、三成はどんな存在として見ているのでしょうか。

「『自分がまだ見守らなきゃ』と思う存在ですかね。もちろん、しっかりしているところは認めているし、そこは三成もすごいなと感じていると思います」

「お茶々殿」が難しい!? 堺雅人を参考に始めた発声練習

──三成を演じる上で、意外なところで苦労したことを挙げるなら。

「『お茶々殿』というセリフの言い方ですね(笑)。滑舌は悪くないはずなのですが、発声の仕方と三成のキャラクターとの相性が難しくて。三成は気持ちを込めるより、さらっと言うセリフが多いからこそ、かんだらダサいんですよ(笑)。少し低めの声で、あまり口を開けないキャラクターでもあるので、意外と難しいです」

──その言いづらさを解消するために、どんな練習を取り入れましたか。

「以前、バラエティー番組で堺雅人さんとご一緒したことがあって。直接聞いたわけではないのですが、姿勢もきれいだし、本当に言葉が聞き取りやすくて、かまないことで有名なので、『絶対に何かやっているんだろうな』と思って、自分で検索しまくりました(笑)。そうしたら、母音だけで発声するという方法が出てきたんです」

──実際には、どんなふうに練習しているのでしょう。

「例えば『お茶々殿』だったら、『お・あ・あ・お・お』のように母音にして、音を一つずつ切って覚えるんです。口の形と音で記憶するという方法を知って、『やってみよう』と思いました。最近は“あ行”だけで独り言を言っていることもあるので、周りから見たらちょっと気持ち悪いかもしれません(笑)」

 歴史上の石田三成のイメージを大切にしながら、「豊臣兄弟!」の中でしか生まれない人物像を探し続ける松本。決め込んだ一つの答えに寄せるのではなく、周囲との関係やその場の空気を受けながら、少しずつ役の幅を広げている。

 後編では、家臣団の仲間たちと意識している“その後の歴史”や、豊臣秀長との間に感じた信頼へ。仲野や池松との芝居を重ねる中で見えてきた三成の新たな輪郭と、松本が探ってきた“三成のかわいげ”にも迫る。

「豊臣兄弟!」松本怜生インタビュー前編 石田三成役は今も模索中「一辺倒になりたくない」

【プロフィール】
松本怜生(まつもと れお)
2000年4月27日生まれ、愛媛県出身。22年に俳優デビューし、その後、数々の話題作に出演。24年度後期の連続テレビ小説「おむすび」(NHK総合ほか)でヒロインの憧れの先輩・風見亮介役を演じ、注目を集めた。近年の主な出演作は、ドラマ「シンデレラ クロゼット」(25年/TBS系)、「新東京水上警察」(25年/フジテレビ系)、「人間標本」(25年/Prime Video)など。12月4日全国公開予定の映画「お姉ちゃんの翠くん」への出演を控えている。

【番組情報】
大河ドラマ「豊臣兄弟!」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45
※NHK ONEで同時・見逃し配信中

取材・文/斉藤和美

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