井内悠陽、「コントラスト」反響を経て、「今やめ」で見せる二瓶翔吾の真っすぐな恋2026/07/16 12:00

MBSほかで放送中の連続ドラマ「今から、親友やめようか。」(木曜深夜1:29)に、二瓶翔吾役で出演する井内悠陽。本作は、につやまにつこ氏の人気TL漫画を実写化した、友情と恋愛のはざまで揺れる等身大のラブストーリーだ。
井内が演じる二瓶は、柴崎ひまり(岡本夏美)と北条和巳(沢村玲)の後輩。思ったことを真っすぐ口にする一方で、ひまりの小さな変化にも気付く繊細さを持つ人物。少し不器用で、けれどどこか放っておけない。そんな二瓶の魅力を、井内は表情や声色の変化にも込めながら丁寧に演じている。
阿久根温世(ICEx)とダブル主演を務めたFODオリジナルドラマ「コントラスト」が反響を呼び、現在は同作の地上波放送もスタートし、活躍の場を広げる井内。二瓶という役にどう向き合ったのか、共演者との現場で感じたこと、そして俳優として少しずつ変化している今の思いを聞いた。
二瓶翔吾に重ねた真っすぐさと優しさ

――まず、二瓶翔吾を演じる上で、軸にしていたことから聞かせてください。
「二瓶は、見え方によっては未熟だったり、あまり良くない印象に映ってしまいかねないキャラクターだなと、最初に台本を読んだ時から感じていました。北条さんに対しても、はっきり物を言うところがあるので、それが嫌みに聞こえないようにというのは、最初から意識していました」
――口調や視線など、具体的にはどのあたりで表現されたのでしょうか?
「『実はこう思っているんですよ』という含みを持たせすぎると、本人がいない場所で言った時に、陰口や悪口に聞こえてしまうと思ったんです。そうではなく、できるだけ軽く、さらっと言うようにしていました。言葉がきつい時も、『こう思っているんですよね』くらいの感覚で伝える。あとは、なぜ二瓶がそれを言うのか。その理由を、自分の中で一番大事な軸として常に意識していました」
――ひまりと和巳の関係が軸にある中で、二瓶が入ることで少し風を巻き起こす存在でもあります。作品の中で、二瓶をどんな存在として立たせたいと考えていましたか。
「一番は、二瓶が入ることで、二人の関係や物語の展開がより魅力的になればいいなということでした。演じていくうちに、二瓶はすごく真っすぐで、純粋で、優しい人だと分かってきたので、その魅力を見ている方にも受け取ってもらえたらうれしいなと。『二瓶って、こういう思いで今までああいうことを言っていたんだ』と感じてもらえるかどうか。二瓶の魅力をどれだけ伝えられるかは、僕の演じ方次第だと思っていたので、ひまりと和巳の関係をより面白くすることと、二瓶自身が魅力的に見えること。その二つを意識していました」

――序盤で、二瓶というキャラクターがよく出ていると感じたシーンはありますか?
「第3話の居酒屋でひまりと2人で話すシーンは、撮影している時からいいなと思っていました。実は、あそこが僕のクランクインだったんです。二瓶のナチュラルな感じと、ひまりの前では笑顔を比較的多く見せるという二つの顔を出せるシーンだと思います。最初だったこともあって、いろいろ考えながら、監督にも相談しながら臨みました」
――そのシーンで、役のトーンも見えてきたのでしょうか。
「そうですね。最初は、役のベースとなるトーンがまだ決まり切っていなかったので、手探りでした。でも監督から、『ひまりの前ではもう少し緩くていいよ』『もう少し好きを出していいよ』と言っていただいて。ひまりに対する好意は見せていいんだと分かったことで、二瓶の雰囲気が固まった感覚がありました。現場でもらったものは大きかったです」
――二瓶は、ひまりを特別に気にかけているようにも見える人物です。すでに心の中に大きな存在がいる相手を思う気持ちについて、井内さんはどう受け止めていましたか。
「2人が恋人だったらさすがに違いますけど、そうではないなら、自分にもチャンスはあるので。自分が“好き”と思うのであれば自分に嘘をつかず真っすぐ行きたいです。ただ、二瓶はそこからさらに一歩進んでいるというか。そういう思いを抱えながらも、それ以上に相手に幸せでいてほしいという優しさを持っているんです。そこは彼の優しさですよね」
――そういう二瓶の“引ける優しさ”は、ご自身にはない部分だと?
「自分に本当に大好きな人ができた時に、その優しさを持てるのかなって。やっぱり自分だったら、“自分が笑顔にしたい”という気持ちが最初に来てしまうと思うんです。でも、自分がその笑顔を作れなかったとしても、誰かが笑顔にしてくれるなら、ちゃんと引ける。そこは二瓶に対して、かっこいいなと思います」
――二瓶は、周りの人の変化をよく見ている人物でもあります。そうした観察力は、演じる上でどのように意識しましたか。
「二瓶を演じている期間は、僕自身もできるだけ周りを観察するようにしていました。台本を読んでいると、『そこにも気付くんだ』と思うこともあれば、逆に台本には書かれていないけれど、『二瓶だったらこれも分かっているだろうな』とか、『この感情にも気付いているだろうな』と考えることもあって。それがとても楽しかったです。台本には描かれていない感情も見せられたらいいなと思っていました。ひまりに思いを伝えたり、北条さんに直接言葉をぶつけたりするのは物語の後半なので、それまでは何げない会話の中で、二瓶の矢印がどこに向いているのかを少しずつ示せたらと考えていました」
――共演者の方と掛け合うことで、一人で台本を読んでいた時には想像していなかった感情に出合うこともあるのでしょうか。
「一人で台本を読んでいると、自分の中でキャラクターのイメージはできます。でも、それはあくまで自分の視点を通して感じたこと。現場に行くと、共演者の方やスタッフさん、それぞれの解釈があります。自分の予想外のことが起きたり、相手の芝居を受けて『こういう感情にもなるんだ』と気付いたりする。それは現場で一緒にお芝居をするからこそ味わえるものですし、そういう瞬間に、俳優という仕事の面白さを感じます」

――劇中はライバル関係でもありますが、現場では、沢村さんと楽しそうにされている様子が印象的でした。実際の雰囲気はいかがでしたか?
「現場では結構しゃべっていましたし、ずっと笑顔で過ごしていた気がします。ただ、二瓶はナイーブな部分もある役なので、撮影が始まる少し前からは、できるだけ役の方に集中して、自分を二瓶に寄せていくようにしていました。でも、ずっとその状態でいると自分の中に気持ちがたまっていくんです。みんなが笑顔で話しているのを見ると、自分も入りたいなという気持ちも出てくるので、定期的にそこは発散していました。一緒にふざけたり、会話に入ったりして、切り替えていました」
――ご自身から輪に入っていくことは、もともと得意な方ですか。
「正直、あまり得意ではないんですけど、自分から行くようにはしています。僕自身、今は集中したい時とそうじゃない時が結構はっきりしているタイプなんです。だからこそ、『今は集中したいんだろうな』というのもなんとなく分かるんです。でも、そうじゃない時にこちらが遠慮してしまうと、相手には集中している時の自分だけが見えてしまう。そうなるとコミュニケーションがないまま終わってしまうこともあるので、自分から行こうという気持ちを持って、話しかけたり、輪に入ったりするようにしています。」
二瓶とは違う? 井内の意外な一面

――和巳と二瓶は対照的な人物にも見えます。空気を読んで自分の感情を抑える和巳と、言う時は真っすぐ言う二瓶。井内さんご自身はどちらに近いですか?
「僕は和巳に近いかもしれないです。思っていることがあっても、なかなか言えなかったり、自分が引いてしまったりします。自分のことを話さなさすぎて、『なんでそんなに話してくれないの?』と言われることもあるので……。こうして話していると、やっぱり和巳寄りなのかもしれないですね」
――仕事現場での井内さんと、友人が知っている井内さんではギャップがあるのでしょうか。
「あると思います。仲良くなればなるほど、いろいろ言うようになります。嫌なことも含めて、ちゃんと伝えられるようになるんです。仕事の場では“常に明るい”という印象を持ってもらうことが多いのですが、それは意識的にそうしている部分もあります。反対に、親しい友人からは『なんでそんなにネガティブに考えるの?』とよく言われます」

――ちなみに、劇中の二瓶は色や柄を取り入れた衣装も印象的です。衣装面では、どんな二瓶らしさを意識されていましたか?
「二瓶は柄物の衣装が多いんです。会社自体がデザイン系で、オフィスもおしゃれなので、その中で二瓶の現代の若者らしさや個性を出していきたいという話がありました。監督も二瓶は思ったことをはっきり言うキャラクターだからこそ、衣装でも個性の強さを出したいとおっしゃっていて。衣装さんもその意図に合わせて、色や柄で遊びのあるスタイリングを用意してくださいました」
――井内さんご自身も、色や柄を取り入れることは多いですか?
「僕は、普段は黒、白です。全身黒とか、一色が多いですね」
「コントラスト」の反響と、俳優としてのこれから
――本作と同時期に、FODオリジナルドラマ「コントラスト」の地上波放送も始まりました。出演作を通して反響が広がっている実感もあると思いますが、ファンの方から届いた声で印象に残っているものはありますか?
「ずっと感じていたことではあるんですけど、あらためて最近すごくうれしいなと思った声があります。ファンの方から、『井内さんが大切に演じた役を、私たちも大切に見ます』と言っていただいたんです。僕自身、いただいた役には一つ一つ丁寧に向き合っているつもりなので、そう思ってくれる気持ちを裏切りたくないですし、ちゃんと受け止めたいなと思いました。自分が心を込めたものを、見てくれる方も同じように大切にしてくれる。しかも、それを僕に伝えてくれることが、うれしいです。そう思ってくれる人がいる限り、自分もさらに真摯(しんし)に向き合っていきたいなと思います」
――実際に多くの反響が届いていることを、ご自身ではどう受け止めていますか。驚きもありますか? それとも「やった」という手応えの方が大きいですか?
「『やった!』という気持ちももちろんあります。めちゃくちゃあります(笑)。でも、信じられない時もあるんです。たまに、『誰だこれ?』みたいな。自分なんですけど(笑)。今は、お仕事を始めてからの期間よりも、その前にレッスンを受けていた時期の方がまだ長いので、いまだにふとした時に、『今これを仕事でやっているのって、自分だよな?』という感覚になることがあります。レッスンを受けていた時の夢を見ることもあって。起きて、『あ、違うよな。今は仕事としてやっているんだよな、自分』とあらためて実感することもあります」

――「コントラスト」で井内さんを知った方が、「今から、親友やめようか。」を見る時には、ご自身のどんな部分に注目してほしいですか?
「この作品では、ひまりといる時の表情や声色の違いに注目してほしいです。二瓶は、心を開いている人には自然に接する一方で、そうではない人にはすぐ壁を作るタイプ。笑顔を見せるシーンも、物語全体を通して決して多くはないのですが、ひまりに対してはその表情が比較的多く出てきます。ふとした瞬間に人間味を感じられたり、このキャラクター、かわいいかも、と思えたりする。そういう二瓶の魅力が出ているので、ぜひ、ひまりと2人でいるシーンを見ていただきたいです」
――作品を重ねる中で、俳優として成長を感じていることを教えてください。
「現場で話せるようになったことは成長かなと思います。もともと一人でいる時間が好きで、ものづくりも基本的には自分でやってきたタイプなんです。部活も長く続けていたわけではないですし、高校にも部活自体がなかったので、人と一緒に何かを作る経験もそれほど多くはなくて。でも、実際に仕事を始めてから、人とものづくりをするのって楽しいんだと気付きました。みんなで一つのものを作っているんだという一体感を知れたことは、大きかったです」
――そこから、現場でのコミュニケーションへの意識も変わっていったのでしょうか。
「そうですね。監督に相談したり、共演者の方に『今のどうでした?』と聞いたり、そういうコミュニケーションを取ることにためらいがなくなったのは、本当に成長だと思います。始めたばかりの頃は、『俳優として呼ばれているんだから、自分がその役のことを一番分かっていないといけない。相談なんかしちゃダメだよな』という気持ちがあったんです。でも、そんなことはないんだと知ることができました」
――そうした変化を経て、俳優としてさらに伸ばしていきたい部分を挙げるとしたら?
「一番はもちろん、お芝居の力です。まだ、『この役を、この作品を井内悠陽にやってほしい』と言っていただけるところまではいけていないので。監督やプロデューサーの方、ファンの方もそうですけど、何か役を見た時に、『これを井内悠陽という俳優がやったらどうなるんだろう』『ワクワクするな』と期待してもらえる俳優になりたいです。そのためには、人としての魅力も上げていかないといけない。技術的なことはもちろんですけど、それ以外の部分でも、いろいろなことを知って、世の中に触れて、一緒に仕事をしていて楽しいと思われる人になりたいです」
――その理想に近づくために、今、現場で心がけていることは何ですか?
「やはり現場でのコミュニケーションですね。撮影って、初めましての方がたくさんいる状態で、いきなり始まることも普通にあります。本読みがあったとしても、その場にすべてのスタッフの方がそろっているわけではないですし、限られた時間の中で作ったものが、そのまま世の中に出ていく。だからこそ、いかに早く距離を縮めて、自分も相手もやりやすい環境を作れるかが大事だと思っています。そこは、これからもっと伸ばしていきたいです」
【取材こぼれ話】
ラーメン好きを公言している井内。第1話では、ひまりからランチに誘われた二瓶が「自分、デスクでカップ麺なんで」と答える場面も。そこで、好きなカップラーメンを尋ねると、「中本(蒙古タンメン中本)が好きです。あと、ぶぶか(ぶぶか油そば)も」と即答。「カップラーメンはちょくちょく食べちゃいます」と、さすがのラーメン好きぶりをのぞかせてくれました。

【プロフィール】
井内悠陽(いうち はるひ)
2004年7月12日生まれ。京都府出身。若手俳優ユニット・WAVEのメンバーとしても活躍。現在、阿久根温世(ICEx)とダブル主演を務めたFODオリジナルドラマ「コントラスト」がフジテレビで放送中。この後、自身初のストレートプレイの舞台『キュー』(演出:白井晃)が控えている。
【番組情報】
ドラマフィル「今から、親友やめようか。」
MBSほか
木曜 深夜1:29~1:59
※TVerで見逃し配信あり
※FOD見放題にて独占配信中
取材・文/斉藤和美
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