「ラジオスター」甲斐翔真が能登で感じた地元の人の“人間力”「今を生きている」2026/04/18 12:00

NHK総合で放送中の夜ドラ「ラジオスター」(月~木曜午後10:45)で、海野リクト役を演じている甲斐翔真。かつて大阪でお笑い芸人をしていたリクトは、あるトラウマから地元・能登へ戻ってきた人物だ。
福地桃子が主演を務める本作は、小寺和久さんによるオリジナル脚本。地震と豪雨で傷ついた能登の町を舞台に、大阪からボランティアでやって来た柊カナデ(福地)が、恩人の頼みでラジオのパーソナリティーを担当することに。集まったのは、番組作りの経験がない町の住人たち。予算もない、スタジオもない、電波もない。あるのは気持ちだけ。地震と豪雨で傷ついた町を明るくしたいと、名もなき市民がスターになっていくノンストップエンターテインメントドラマとなっている。
カナデたちとの交流を経て過去と向き合う中で、ついに「ラジオスター」へ参加することになったリクト。繊細な役どころを演じる甲斐に、役への思いや多田(大八木凱斗)との関係性について語ってもらった。

――ロケで能登に滞在中、たくさん散歩をされたと伺いました。
「普段から、他の作品でもなるべく舞台地に行って歩いてみるようにしているんです。『土地が人を作る』『土地はうそをつかない』ということを、僕は信じているので。このドラマに参加するならまず能登を知って、能登を好きになるということが一番大事だと思いました。そして、地震から2年がたっても、まだまだ復興が進んでいない現状に触れたことは、リクトの役作りにおいて欠かすことのできない体験でした」
――実際に歩いてみて感じたことはありますか?
「散歩しながら地元の皆さんと触れ合って、何よりも感動したのが『人間力』。滞在中、とあるお店の大将がおっしゃった『“被災者”という言い方が好きじゃない』という言葉が忘れられません。自分たちは“被害者”じゃない、“頑張っている人”なんだと。受け身ではなく自ら行動して、今を生きている。そんな皆さんの思いを、僕たちはこの『ラジオスター』というドラマで伝えていく責任があると心から感じました」

――甲斐さんが演じる海野リクトはどのような人物ですか?
「芸人を志しただけあって、本来のリクトはちゃんとポジティブさも熱さも持っている人なんだと思います。その一方で、リクトはネタを書く側なので『笑い』を分析して、論理的に考える人でもある。だから、他の人の笑いに厳しい(笑)。リクトの役作りでは、いわゆる『センス系』と呼ばれる何人かの芸人さんを参考にさせていただきました」
――かつて大阪でお笑い芸人をしていたリクト。第3週では発災後に避難所でネタを披露し、人々を笑顔にできなかったことがトラウマになっていると明かされました。
「大阪にいた頃のリクトは、笑いに関してそれなりに自信もあったと思います。ところが能登に帰ってきて、避難所でみんなを勇気づけようと思いネタを披露したところ、空回りして、人を傷つけてしまった。『生きるために、お笑いなんて必要ない』という、一つの現実を突き付けられてしまったんです。これまで真剣に笑いに向き合い、笑いで世界を変えられると信じてきたリクトにとって、この体験は絶望に近いものだったのだと思います。自分のアイデンティティーが完全否定され、信じていたものが音を立てて崩れた時、人はどうなってしまうのだろう、ということを想像しました」

――ドラマの軸に“ラジオ”がありますが、甲斐さんにとってラジオとは何でしょう?
「ラジオって、誰かに話しかける、もしくは聴く場所でありながら、自分と対峙(たいじ)する場所でもあると思います。話す側はついつい本音がこぼれるし、マイクに通した声をヘッドホンで聴くと話に集中できて、いつも以上に考えが深まり、自分と向き合うことができる気がしました。そういう力がラジオにはあると思います」
――では、リクトにとっての“ラジオ”はどんな存在だと思いますか?
「災害で大切な人を亡くした方、家を失ってしまった方がたくさんいる中、リクトは何かを失ったわけではありません。ですが、さまざまな被災の仕方があって、このドラマの登場人物たちのバックグラウンドも、苦しみも、人それぞれです。リクトの避難所での『自分自身が踏みにじられてしまった』ような体験も、見方によっては間接的な被災、心の被災と言えるのかもしれません。ずっと心の置き場所が見つからなかったリクトがラジオに参加することで、前を向くための最初の小さな一歩を踏み出せたのかな、と思います」

――第3週ではリクトと多田との関係性も描かれていました。
「リクトと多田は小さい頃から一緒にいるけれど、性格は真反対。多田は天然で見ていて面白いです。リクトは基本的に何に対してもツッコミをしていたいような人なので、ツッコミ要素満載の多田といると自然体でいられます」
――リクトと多田のシーンで印象に残っている場面はありますか?
「印象に残っているのは、多田が『リクトなら、ラジオの構成書けるんじゃないけ?』『お笑い芸人やっとってんし』と、芸人であった過去をみんなにバラしてしまうシーン。ラジオは嫌ってあれだけ言っていたのに(笑)。でもそれだけ、多田がリクトに強い信頼を寄せているということだと思いますし、二人の関係性の深さがよく伝わってくる場面でもありました」

――第4週以降の見どころと視聴者の皆さんへメッセージをお願いします!
「『ラジオで笑いを届けたい』という松本功介(甲本雅裕)の強い意志と、メンバーたちに引っ張られるうちに、ついにリクトもラジオに参加することになりました。ラジオを通していろんな人の人生に触れながら、リクトの止まっていた時間が動き出します。リクトが改めて『笑い』にどう向き合っていくのか、どう影響されて、迷い、進んでいくのかを楽しみに見ていただけたらと思います」

【番組情報】
夜ドラ「ラジオスター」
NHK総合
月〜木曜 午後10:45〜11:00
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