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2028年大河「ジョン万」、制作統括が語るドラマの楽しみ方「『逆賊の幕臣』を引っ提げて……」2026/04/14 07:00

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2028年大河「ジョン万」、制作統括が語るドラマの楽しみ方「『逆賊の幕臣』を引っ提げて……」

 2028年1月からNHK総合ほかで放送される山﨑賢人主演の大河ドラマ「ジョン万」(日時未定)。大河ドラマ第67作となる本作の主人公は“ジョン万次郎”こと中濱万次郎(山﨑)。19世紀の日米と太平洋を舞台に、命がけのサバイバルとはるかなる再会のロマンを描いた一大感動巨編となる予定だ。

 本作の制作統括を務めるのはドラマ「東京サラダボウル」(2025年)をはじめ、同局の人気作を手がけてきた家冨未央氏。大河ドラマではこれまでに「平清盛」(12年)、「八重の桜」(13年)、「真田丸」(16年)、「いだてん~東京オリムピック噺~」(20年)の制作に携わっている。

 先日行われた「ジョン万」制作発表にて家冨氏が取材に応じ、ドラマにかける思いや主演の山﨑へのオファー理由などを語った。

2028年大河「ジョン万」、制作統括が語るドラマの楽しみ方「『逆賊の幕臣』を引っ提げて……」

――なぜ今回、大河ドラマの主人公に“ジョン万次郎”を選んだのでしょう。

「万次郎さんは漁師からスタートし、人生の荒波にもまれ続ける道を歩んでいらっしゃった方。名もなき庶民がよくぞここまで生き抜き切ったなと。万次郎さんはピンチをチャンスと捉え、どの道に行くかを自分で考え、決断し、進んできた人だと思っています」

――万次郎の生き方のどのような点が現代に通じると感じましたか?

「道半ばで海外生活をし、初めて耳にする英語・技術に出会う。時に怖かったり、緊張したりしたこともあるはず。そんな中でもそれを“えいっ”と乗り越える、前を向く力に満ちた人だと思いました。そしてその力は現代にもすごく必要なのではないかなと。万次郎さんの“サバイバル能力”と“ロマン”を抱く力を、未来を担う10代の方から、今まさにいろんな困難に直面している大人の方まで、全世代の方にぜひ届けたいと感じました」

2028年大河「ジョン万」、制作統括が語るドラマの楽しみ方「『逆賊の幕臣』を引っ提げて……」

――家冨さんと万次郎との出会いはどのようなものだったのでしょう。

「子どもの頃は教科書、大人になってからは歴史漫画などで触れることがあって。『面白い名前の人だな』『通訳でよく出てくるけど何者なんだろう』と興味がありました」

――早い段階から気になっていたんですね。

「子どもを産んで少し時間ができた時には井伏鱒二さんの小説『ジョン万次郎漂流記』を読ませていただき、『すごい人だな』と頭の中でこびりついて。ただ、万次郎さんはあまりにも壮大な人生を送っていらっしゃる方。いつかどこかで“ドラマ”という形で巡り合えたらと思ってはいたのですが、まさかこのような形で真正面から向き合う日が来るとは思っていなかったです」

――タイトル「ジョン万」に込められた意味を教えてください。

「万次郎さんを救出したアメリカの捕鯨船が『ジョン・ハウランド号』という名前でした。“ジョン”という名前はその船の名前から取り、船の乗組員たちが彼へ敬意を込めて『John Mung』と英語名で呼びました。そのため、“ジョン”という英語と万次郎の“万”という日本語の二つを組み合わせ、ジョン万次郎さんが生き抜いた二つの土地を名前に込めてこのタイトルにしました」

2028年大河「ジョン万」、制作統括が語るドラマの楽しみ方「『逆賊の幕臣』を引っ提げて……」

――そんな万次郎を山﨑さんが演じます。起用理由を教えてください。

「山﨑さんはここ数年、映画や配信ドラマなどでの活躍が非常に目立ち、ど真ん中で輝いていらっしゃる方。ただ、彼のルックスや大型作品にたくさん出演しているということ以上に、作品を見る際、横にいる共演者の方たちを邪魔せず、でもその方たちの“一座”としての味をすごく生かすところに一番の魅力を感じました」

――家冨さんから見た実際の山﨑さんはどのような方ですか?

「お芝居を見ていて、作品を見る人に優しく委ねるような主演の方だなと。実際に山﨑さんとお会いし、いろんな話をする中で、目に見えるものや触れるものに対するリアクションが純粋だなと感じました。輝くように驚いたり、喜んだり、あるいはもっと知りたいという反応を見せたりする。反応の鮮明さも山﨑さんの魅力です。今回演じていただく万次郎さんもまさに山﨑さんのような人だったのではと思っています」

2028年大河「ジョン万」、制作統括が語るドラマの楽しみ方「『逆賊の幕臣』を引っ提げて……」

――今年に入ってから山﨑さんと万次郎ゆかりの地・アメリカのフェアヘーブンにも訪れたと伺いました。

「万次郎さんを山﨑さんに演じていただくことが決まってから、お互いに準備をしていく上で、山﨑さんが万次郎さんの青春時代を過ごした場所にご興味を持っていらっしゃって。『じゃあ、ぜひ取材に行ってみましょうか』という話になりました」

――現地ではどのように過ごされたのでしょうか?

「アメリカ東部のボストンから大体2時間半ぐらいのところにある万次郎さんが実際暮らしたフェアヘーブンという港町へ行きました。4日間ぐらい過ごしたのですが、学芸員の方からアメリカの捕鯨船が停泊していた港に関わる知識を聞き、その場所で営まれている産業に詳しい方にもお話を聞いて。実際に街を歩いたり、ものを見たりして過ごしていました」

2028年大河「ジョン万」、制作統括が語るドラマの楽しみ方「『逆賊の幕臣』を引っ提げて……」

――ジョン万次郎さんは来年の大河ドラマ「逆賊の幕臣」と近い時代を生きた人物ですが、その点は意識されたのでしょうか?

「この企画は時代で切り取って始めたというより、万次郎さんのライフヒストリーに魅力を感じ、そこに焦点を当てて描いてみたいというところからのスタート。そのため、作品の持ち味として『逆賊の幕臣』とは全く別の面白さをご提供できるのではないかと感じています」

――「ジョン万」では幕末をどのように描かれる予定ですか。

「『ジョン万』は“冒険記”で、“サバイバル”と“ロマン”を打ち出す人間ドラマ。大河ドラマにおいて、時代が毎年変わる面白さもあれば、『逆賊の幕臣』で描かれている時代を一年体感し、その知識や面白みを引っ提げたまま、次のドラマで『あ、なるほど。視点を変えるとこういう物語があるのか』と感じられるのではないかと考えています」

――「逆賊の幕臣」と「ジョン万」で同じ時代を二度楽しめるということですね。

「万次郎さんは鎖国の時代に陸から外へ出されてしまった方。ただ調べると、作品に描かれていないだけで、万次郎さんのように近隣国へ流れ着いた漂流者は多くいらっしゃって。その方たちから見た人生はまた全然違う意味を持つ。また、人知れず外交員の役割を果たした人たちも存在し、その筆頭が万次郎さん。陸から陸の中を描く物語のみならず海から見た陸という新しい視点でお届けできるのではないかと考えています」

2028年大河「ジョン万」、制作統括が語るドラマの楽しみ方「『逆賊の幕臣』を引っ提げて……」

――家冨さんは現代をどのように捉えているのでしょう。

「アメリカ取材に行った際も感じましたが、現代は国籍や言語、宗教、文化の違いで人が簡単に分断されていく。その流れがますます強くなっている気がします。そんな中で万次郎さんは、分断ではなく、自分とは完全に異なるエッセンスを持った人たちと関わり続けた人だと思いました」

――ドラマを通して世の中にどのようなメッセージを届けていきたいですか?

「人が人を隔てるのではなく、まず違いを理解する。お互いを理解することで、新しい発見やあるいはもっと深い理解につながり、人生を切り開ける。そういうことを誰よりも体現した人が万次郎さん。ドラマを通してそういう生き方をする方が一人でも増えてくれたら、世の中が少しでも明るくなるのかなと。私はドラマのいち作り手にすぎないですが、『ジョン万』を通して前向きに人生を歩む人が増えていくといいなと思っています」

2028年大河「ジョン万」、制作統括が語るドラマの楽しみ方「『逆賊の幕臣』を引っ提げて……」

【番組情報】
大河ドラマ「ジョン万」
NHK総合ほか
2028年1月より放送予定

取材・文/TVガイドWeb編集部

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