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祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力2024/04/20

祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力

 テレビ界を支える優秀な脚本作家に贈られる賞・向田邦子賞のノミネート作品が発表され、源孝志さんが脚本を手掛けたNHK BSプレミアムのプレミアムドラマ「グレースの履歴」が候補入りしました。

 これを受け、4月23日の本選に向けて、制作統括の樋口俊一さんからのコメント&ドラマの振り返りをお届けします。樋口さんには向田邦子賞の印象やノミネートへの思い、源さんの脚本の魅力などを伺いました!

樋口制作統括からのコメント

――今回、源さんの脚本がノミネートされた向田邦子賞について、どんなイメージを持っていましたか?

「最近、2016年に向田邦子賞を受賞された矢島弘一さんと一緒に仕事をすることが多いのですが、非常にみずみずしいオリジナル脚本を書かれる方が受賞される賞なのかなと、矢島さんの仕事ぶりを見て感じています。僕は表現のみずみずしさや筆致にエッジが効いている先生が選ばれる賞なのかなと勝手にイメージしていました」

――源さんがノミネートされたと聞いた時の感想をお願いします。

「意外といえば意外でしたね。というのも、源さんは脚本がすごく上手な方なので、まだ受賞されていなかったんだという驚きの方が大きかったんです。だから、僕の中ではノミネートは当然で、ようやく源さんの才能に皆さん気付いてくださったんだという感じがしました。初稿から毎話毎話、読むだけで泣ける脚本を上げてくださる方ってそうそう巡り会えるわけではないと思います。そういう意味では、想定内のことではありましたね」

――源さんの脚本の魅力を教えてください。

「スタッフを鼓舞してくれる脚本を書かれる方だと思います。今作はロードムービーなので移動が多くハードなロケだったんですが、スタッフが異口同音に『大変だけど、本がいいから頑張れる』と言っていたのが印象に残っています。また、登場人物の思いの機微をすくい上げることにかけては非常に丁寧な仕事ぶりを発揮する方だと思いました。親子や恋人、夫婦、そういった絆のある人のお互いに対する思いを言葉にさせたら、この人の右に出る人はいないんじゃないかっていうくらいの丁寧な脚本を書く方です。特に第6話の母と息子の描き方に非凡な力を感じました」

――先ほど泣ける脚本とおっしゃっていましたが、第6話のどんなシーンに感動されたのでしょうか?

「母・千江(丘みつ子)が認知症で記憶を失っていく中で、主人公の希久夫(滝藤賢一)が再会しなければいけないという過酷な現実が描かれているんです。千江と希久夫の会話や希久夫が去った後の障子越しの千江の描写、弟・由紀夫(柄本佑)の長男で、希久夫に似ていることから千江に名前を間違えられるおい・岳志との会話で『お前は岳志だ。希久夫は、俺だ…』というシーンのセリフ回しが秀逸だなと。あの一連のシーンは本当に読んでいても泣けたし、最初の試写で映像を見た時もしゃくり上げるほど泣いてしまって、同席したスタッフに気味悪がられた記憶があります。それくらい私淑のシーンです」

――ちなみに、今回のノミネートに関して、源さんとお話する機会はあったのでしょうか?

「実は源さんの作品がノミネートされるかもしれないという時に、うっかり源さんもメールのCCに入れてしまったんですよ。それで、急いで『今のは見なかったことにしてください』とお電話したところ、『ちらっと情報を聞いて知っています』と言われて(笑)。それでちょっとお話したのですが、うれしそうでした。受賞できればいいなという雰囲気で、楽しみにされているようでした」

ドラマあらすじ

 妻・美奈子(尾野真千子)を突然の事故で亡くした蓮見希久夫(滝藤賢一)。遺品として残された妻の愛車“グレース”のカーナビには、夫に内緒で日本各地を訪れていた旅の履歴が残されていた。妻の不貞を疑った希久夫はその謎を解くため、カーナビの履歴をたどる旅に出る。 

<第1話 メッセージ>
 おしどり夫婦の希久夫と美奈子。仕事を辞めた美奈子は節目の一人旅と称して出かけた欧州旅行で、不慮のバス事故にあい急死する。消沈する希久夫の前に、老弁護士(石橋蓮司)が現れ、美奈子から託された不可解な内容の遺言と、希久夫が初めて知る彼女の秘密を語り始める。

祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力

<第2話 昔の男>
 美奈子がうそをついて日本各地を旅していたことを、遺品の愛車のカーナビ履歴から知ってがく然とした希久夫。美奈子の手帳の中に見知らぬ若い男の後姿を撮った写真を見つけて彼女の不貞を疑う。希久夫は美奈子の旅の謎を探るため、カーナビの履歴をたどる旅に出る。

祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力

<第3話 失われた家族>
 美奈子の昔の恋人・藤木俊彦(伊藤英明)に川へ投げ込まれた希久夫は、藤木とその妻・紗江(黒谷友香)に介抱された後、美奈子の隠秘の真相を探るため次の目的地・松本へと向かう。そこは希久夫の故郷だったが、暮らした家も残っていない松本に美奈子は何をしに来たのか、希久夫の疑念は募る。 

祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力

<第4話 グレース・ケリー>
 信州・下諏訪でバイク店を営む仁科征二郎(宇崎竜童)は、ある条件を希久夫にのませてグレースの修理を引き受ける。グレースが故障したことで、美奈子の残したカーナビ履歴にはなかった場所で仁科と偶然出会った希久夫。その出会いを通して、グレースにまつわる数奇な車歴を知っていく。

祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力

<第5話 キャッチボール>
 ヒッチハイクで京都を目指す青年・羽田純哉(林遣都)を乗せた希久夫は、次なる目的地・滋賀県近江八幡市に向かう。美奈子の残したカーナビ履歴が導いた到達地は見覚えのない造り酒屋で、希久夫を出迎えたのは30年前に生き別れたまま一度も再会していない弟・冨樫由紀夫(柄本佑)だった。

祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力

<第6話 記憶のかけら>
 母・千江(丘みつ子)が認知症を患っていると由紀夫から聞いて、再会を決心した希久夫。琵琶湖畔で穏やかに暮らす母と30年ぶりに対面を果たして感極まるのだが、亡き妻の計らいの意図に徐々に気付き始め、恐れにも似た感情を抱き始める。

祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力

<第7話 望まざる再会>
 カーナビの履歴にあった最後の目的地・松山市に向かう途中、希久夫はかつて美奈子と一緒に旅をした因島に立ち寄る。美奈子にプロポーズした思い出の島で、希久夫は美奈子が大事にしていた写真の釣り人の真相を知ることになる。

祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力

<第8話 永遠の孤独>
 かつての恋人だった伊川草織(広末涼子)と再会し、彼女の部屋に泊まることになった希久夫。過去のわだかまりから徐々に解放されていく2人だったが、希久夫はその後、ある事実に衝撃を受け激しく動揺する。

祝・向田邦子賞ノミネート!「グレースの履歴」制作統括が語る脚本の魅力

 妻が残した愛車“グレース”のカーナビ履歴をたどった夫が見つけたものとは? プレミアムドラマ「グレースの履歴」はNHKオンデマンドで配信中です!

NHK担当 K・H



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