尾美としのりインタビュー◆「鬼平犯科帳」最新第8弾「本所の銕」で相模の彦十に2026/10/01 12:00

時代劇専門チャンネルでは、10月10日に市川染五郎が長谷川平蔵の若き日を演じる「鬼平犯科帳」第8弾「本所の銕」を独占初放送する。本作は、原作「密告」の銕三郎時代のエピソードに着想を得たオリジナルストーリーで、今冬放送予定のドラマ第9弾「密告」へと続く前日譚だ。「本所の銕」に出演する尾美としのりに、「本所の銕」、そして「鬼平犯科帳」への思いを聞いた。
「『鬼平犯科帳』は太い幹のような大切な作品」

江戸の凶悪犯罪を専門に取り締まる火付盗賊改方長官・長谷川平蔵の活躍を描く松本幸四郎主演、池波正太郎原作の人気シリーズ「鬼平犯科帳」。尾美は、第8弾「本所の銕」で、市川染五郎演じる若き日の平蔵(銕三郎)と出会う本所の無頼者・相模の彦十として登場する。
――この作品の銕三郎は、継母との確執から家出し、“本所の銕(てつ)”と恐れられながら、放蕩無頼の日々を送っています。しかし、悪御家人・横山小平次(駒木根葵汰)の非道に怒り、彼なりの筋を通す。その姿にほれ込んだ相模の彦十は、後年、火付盗賊改方長官となった平蔵の密偵となります。平蔵の昔なじみで、シリーズに欠かせない存在です。オファーを受けたときのお気持ちは?
「最初にオファーをいただいたときは、『無理無理』と戸惑いが大きかったですね。ただ、原作者の池波正太郎先生の事務所の方、幸四郎さん、山下智彦監督やスタッフの皆さんも全員OKだと。監督には、同心の木村忠吾役で出演させていただいた中村吉右衛門さん主演の『鬼平犯科帳』で助監督だった頃からずっとお世話になっていましたから、皆さんに背中を押していただいたような感じです。『鬼平犯科帳』は子役からスタートして、初めての時代劇のレギュラーでしたし、僕を育てていただいた、太い幹のような大切な作品です。当時、スタッフさんから、『それは侍の歩き方ちゃうで』とよく注意を受けていました(笑)。(吉右衛門版で)彦十役だった江戸家猫八師匠とは親しくしていただきましたし、長門裕之さん、火野正平さんといった、素晴らしい先輩方の演技を見ているだけに、相当緊張していました。彦十としての最初の撮影は覚えていないほどです。そして何よりも、撮影所の皆さんに『おかえりなさい』と迎えていただいたのは、うれしかったですし、その分甘えちゃいけないと身が引き締まりましたね」
――役づくりでこだわったことはありますか?
「年を取って、密偵になってからの彦十は、僕の白髪を生かしたら面白いんじゃないかと監督や床山さんと話をしました。彦十は役人ではないので、身なりもあんまり気にしなくていいし、言葉もくだけた感じの話し方で、猫八師匠の江戸弁を参考にしています。それと、季節感や小道具の使い方も大事にしたいと思いました。冬場に夏のシーンを撮影するときに、吉右衛門さんはちょっと手であおぎながら暑そうにセリフをおっしゃっていて、お芝居で季節が感じられるんです。変わったことをするんじゃなくて、ごく簡単なしぐさや動きで表現される。僕もそういうお芝居ができたらと思っていました」
――幸四郎さん、染五郎さん、2人の「平蔵」の印象はいかがでしたか?

「幸四郎さんは、お芝居をしていて、呼吸とか、吉右衛門さんに似ていらっしゃる瞬間があって、ドキッとしました。普段がおちゃめな方なので、平蔵になったときのりりしさは格別です。染五郎さんは着物の着こなしもすてきですごくカッコいい。これからどう進化していくのか本当に楽しみです。彦十が銕三郎を見て『しびれるねえ』と言いますけど、僕も父子お二人の平蔵にしびれました」
――染五郎さんはじめ、駒木根さんら若いキャストとの共演について感じたことはありますか?
「皆さん、すごくスラッとしてスタイルがいいなというイメージはありますよね。その上でお芝居はきちっとしていた。自分の見せ方、自己プロデュースをきっちり考えていらっしゃると思いました。教わることが多かったです」
――昭和、平成、令和と映像作品が作り続けられる「鬼平犯科帳」シリーズ。尾美さんが感じる「鬼平犯科帳」の魅力を教えてください。
「事件で何かがあって、捕物があって……という事象よりも、人をメインにしているところがすごく面白いと思います。善悪ではなく、いいことをしながらも、悪いことをしたりする人間が描かれている。原作が素晴らしい作品ですし、ドラマになって、脚本化されると、また、すごく面白い。そこがやっぱり『鬼平』の世界なのだろうなと思います」
「本所の銕」の物語は、続く第9弾「密告」へとつながっていく。若き銕三郎の経験が、その後、火付盗賊改方長官となってからの平蔵にどう生かされていくのか。彦十の思いとともに見届けたい。
【プロフィール】
尾美としのり(おみ としのり)
1965年生まれ。78年に市川崑監督「火の鳥」でデビュー。83年に大林宣彦監督の「転校生」で第6回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。以降、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK/2025年)など数々のドラマ、映画に出演。出演映画「BYE BYE LOVE 探偵はBARにいる」の公開が12月25日に控えている。
取材・文/ペリー荻野
【番組情報】
「鬼平犯科帳 本所の銕」
時代劇専門チャンネル
10月10日午後1:00~、午後7:00~ほか
※本編後には、鬼平犯科帳アフタートーク「本所の銕」編も放送。
京に赴いていた長谷川平蔵(松本幸四郎)と旧友・岸井左馬之助(山口馬木也)は青春時代の出来事を思い出していた。平蔵がまだ銕三郎と名乗り、「本所の銕」と呼ばれ放蕩無頼な青春時代を送っていた頃。博打と酒に沈溺し、道場から足が遠のいていた銕三郎(市川染五郎)に、無頼を従えた悪御家人・横山小平次(駒木根葵汰)が近づいてくる。銕三郎は小平次を相手にしなかったが、執念深い小平次は銕三郎の後を付け回し、やがて銕三郎の周囲の人間にも近づいていく。
※放送日時および内容は編成の都合により、予告なく変更になる場合あり。
キーワード
関連リンク
この記事をシェアする















