夜ドラ「青の花 器の森」松井玲奈&一ノ瀬颯が語る互いの魅力と、器がつなぐ人との絆2026/11/02 23:00

NHK総合で現在放送中の夜ドラ「青の花 器の森」(月~木曜午後10:45)で、主人公・馬場青子を演じる松井玲奈と、真鍋龍生役の一ノ瀬颯のインタビューをおくる。
原作は、小玉ユキさんの人気コミック「青の花 器の森」(小学館刊)。陶磁器の町として知られる長崎県波佐見町を舞台に、焼き物づくりを通して描かれる大人のラブストーリーをおくる。波佐見焼の絵付け職人である青子(松井)と、フィンランドから訪れた孤高の陶芸家・龍生(一ノ瀬)が互いに影響を与えながら心を通わせる物語だ。
波佐見で生まれ育った青子は、絵付け職人として穏やかに仕事を楽しむ日々を送っていた。そんなある日、フィンランドで作陶活動をしていた若き陶芸家・龍生が、磁器を学び直すため青子の働く光容窯へ修業にやって来る。「自分の器には絵付けは必要ない」という考えを持つ龍生と、絵付けの仕事に誇りを持つ青子。正反対の価値観を持つ2人は真っ向から対立するが、共に器を作る中で少しずつ互いを認め合っていく。
今回は、松井と一ノ瀬に本作への思いやそれぞれの役と向き合う中で感じたこと、互いの印象などをたっぷり聞いた。
松井玲奈「(主演は)ドッキリだと思った」 一ノ瀬颯と語る出演への思い

――NHK夜ドラに初主演となりますが、オファーを受けた際の率直な思いを聞かせてください。
松井 「最初はドッキリだと思いました。でも、本当のお話だと分かってからは、作品もすてきですし、長崎で長期間ロケができることにも魅力を感じました。新しい挑戦がたくさんできそうで楽しそうだなと思ったこともあり、一生懸命頑張ろうという気持ちでお引き受けしました」
――一ノ瀬さんも夜ドラ初出演で、松井さんと初めて共演すると聞いた時はどんな気持ちでしたか?
一ノ瀬 「まず、夜ドラは、今注目されている枠でもあるので光栄だなと。松井さんは、どんな方なのか想像がつかなかったです。一度だけバラエティー番組でお会いしたことがあったのですが、お芝居をご一緒させていただくのは初めてなので、すごく楽しみでした。相手役として共演させていただけて『本当に良かった』と思わせてくださる方でした」
一ノ瀬「松井さんは心と声がつながっている」 2人が語る互いの魅力

――お二人の息の合った空気感は第1週の放送からも感じ取れました。一ノ瀬さんから見て、青子はどんな人物で、どこに魅力を感じますか?
一ノ瀬 「龍生にはない真っすぐさがあります。思ったことを相手にダイレクトに伝える、うそのない人柄が青子の魅力だなと。嫌味なく感情をぶつけられているというのは、本当に優しくないとできないことですし、だからこそ周りの人たちに慕われている。失敗があっても、愛されるのが青子のキャラクターかなと。また、それをうそなく演じられる松井さんもすてきだなと感じていました」
――劇中の印象ですが、青子の“声”がとても魅力的でした。特にモノローグではひと言目から引き込まれましたが、声の表現で意識したことはありますか?
松井 「この作品に入る直前まで舞台に出演していて、自然と舞台寄りのアプローチになっていた部分はあったかもしれません。本作の空気感に合わせて、セリフをはっきりとしゃべりすぎないように意識していました。一方、モノローグのシーンはコントラストをつけて、はっきりとセリフを言うようにしました」
一ノ瀬 「松井さんは心と声がつながっていて、感情が声に乗っているので、ひと言目から引き込まれるんです。“生きた声”として届くので、こちらも自然と役に入り込んで向き合うことができるので最高の俳優さんです」
松井 「恥ずかしい……(笑)」
――では、松井さんから見た龍生の魅力はどんなところでしょうか?
松井 「一見すると冷たく見えるのですが、自分が大切にしたいと思ったものに対しては、すごく深い愛情を持っている人だと思います。器への向き合い方もそうですし、自分の大切なものを守ろうとする姿勢はプロフェッショナルだなと。青子を演じていると、その優しさに気付くのがその瞬間ではなく、ずっと後なんです」
――龍生の優しさを感じた具体的な場面はありますか?
松井 「例えば、龍生のSNSのアイコンが2人で作っていた器の写真だったり、他の作品にも実は意味があったことが後から分かったり……。龍生の優しさは相手にひけらかすものではなくて、青子が歩くでこぼこの道を先回りして、そっときれいに整えておくような優しさなんです。それはなかなかできることではないですし、温かい愛情表現だと感じました」
一ノ瀬、龍生は「まさに演じたかった役」

――龍生は、繊細な心の動きを丁寧に表現する役です。一ノ瀬さんが、そうした芝居に挑戦したいと思うようになったきっかけを教えてください。
一ノ瀬 「好きな作品の一つに『かもめ食堂』(2006年)という映画があります。大きな事件が起こるわけではない日常の中で、人との会話を通して心が揺れ動いていく姿を見ているうちに、作品に没入していく感覚があったんです」
――そうした作品のどんなところに魅力を感じたのでしょうか?
一ノ瀬 「お芝居というより、人々が暮らしているところをたまたまカメラが切り取ったような……。そんな自然な出来事を演じてみたいと思うようになりました。大きな出来事がなくても人間らしさがあふれている作品に挑戦したかったので、今回は自分がやりたいと思っていたことができた感覚があります」
――龍生は、ご自身と似ている部分もある役だったのでしょうか。演じている中で、共通点や違いをどのように感じましたか?
一ノ瀬 「全く似ていないというより、少し近いくらいの役の方が演じる上では難しくて、やりがいがあるのかなと。龍生も似ている部分や共感できるところはもちろんあるのですが、その表現の仕方など、自分とは少し違う部分もあって。結果的に、まさに自分が演じたかった役でした」
器がつなぐ大切な人との時間、波佐見で生まれた新たな思い出

――本作にちなみ、陶器や工芸品にまつわる思い出はありますか?
松井 「昔からステンドグラスが好きなんです。一枚一枚、手作業で手間をかけて作られているものを見るのが好きで。長崎には教会が多く、ステンドグラスもたくさんあったので、自分の好きなものと土地とのつながりを感じられたのもうれしかったです」
――今回、青子にもステンドグラスとの意外な共通点があったそうですね。
松井 「青子の部屋に、植物や陶芸の本と一緒にステンドグラスの本も置いてあって、『青子もステンドグラスが好きなんだ』と運命的なものを感じました。長崎やフィンランドでのロケ中も、教会などでステンドグラスを見つけると幸せな気持ちになっていました」
――一ノ瀬さんも、器にまつわる思い出があれば教えてください。
一ノ瀬 「中学の修学旅行で広島に行った際に、両親へのお土産に色違いのロックグラスを買ったんです。お地蔵さんの絵と言葉が書かれた赤と青のグラスで、母はもったいないと言って使わずに取ってあるのですが、父はお酒を飲む時に結構使ってくれていて。買った時は何げなく選んだものだったのですが、実家に帰った時に今も使ってくれているのを見ると感慨深いです」
――まさに器を通じた“つながり”を感じますね。今回の撮影を通して、あらためて気付いた器の魅力はありますか?
一ノ瀬 「食器は長く使えるからこそ、その時の思い出と結び付くものだと思います。今回も両親に波佐見焼のグラスをプレゼントしたのですが、早速2人がグラスを持っている写真を送ってくれたんです。それをきっかけに父との会話も生まれて……。年齢を重ねるにつれて、以前より両親との仲が深まったと感じているので、このグラスもまた一つ、家族をつないでくれるものになったのかなと思います」
――松井さんも、器を通して人とのつながりを感じた出来事はありましたか?
松井 「撮影中に古閑しのぶ役の藤間爽子ちゃん、栗原留美役の安藤玉恵さんと私の3人が誕生日を迎えたんです。そのタイミングで一ノ瀬くんたち男性キャストの皆さんから、一輪挿しをいただきました。ドラマでろくろや絵付けを担当してくださった先生の作品で、3人でプレゼント交換のように回して、手元に来たものをいただいて……。その時間も含めて、うれしかったです」
――思い出が詰まった、すてきな贈り物ですね。松井さんご自身も、撮影の合間に器を見に行く機会はありましたか?
松井 「序盤はスケジュールが立て込んでいて、なかなか見に行く余裕がなかったのですが、そんな時に爽子ちゃんが花瓶をプレゼントしてくれて……。今はその花瓶と一輪挿しを家に並べて飾っているのですが、見るたびに波佐見町で過ごした時間やみんなの顔が浮かんできます。これからも大切に飾っておきたいです」
――物語が進んでいく中で、視聴者の皆さんにどんなところを楽しみ、感じてもらいたいですか?
松井 「登場人物が皆、何かにもがいているところが、この作品の面白さだと思っています。焼き物づくりや人との向き合い方など、それぞれが抱える問題にどう向き合っていくのか。その姿が、視聴者の皆さんがその時に抱えている悩みや出来事とリンクする場面もあるのではないかなと思います」
――では、最後に視聴者へメッセージをお願いします。
一ノ瀬 「登場人物の職業や環境は皆さんとは違うかもしれませんが、その根底にある人間らしさには共感できる部分がたくさんある作品だと思います。日々、会社や周りの人にいろいろな感情を抱く中で、『そう感じているのは自分だけじゃない』『あなたは頑張っているよ』と、そっと背中を押してくれるような作品です。1週間を頑張る活力の一つとして見ることをルーティンにしてもらい、皆さんの生活の一部になれたらうれしいです」
松井 「監督も撮影中から『見ている人の予想を裏切る作品にしよう』とおっしゃっていて、お芝居も一筋縄ではいかない展開がたくさん待っています。予想できない展開や登場人物たちの表情、アプローチを楽しみながら、1日の楽しみの一つにしていただきたいです」
――これからの展開に注目していきます。ありがとうございました。
【プロフィール】
松井玲奈(まつい れな)
1991年7月27日生まれ。愛知県出身。2008年にデビュー。俳優として、連続テレビ小説「まんぷく」(18年/NHK総合ほか)、「エール」(20年/NHK総合ほか)、「おむすび」(24年/NHK総合ほか)、大河ドラマ「どうする家康」(23年/NHK総合ほか)、「チンギスーVIVANT THE ORIGIN STORY―」(26年/U-NEXT)など数々の話題作に出演。映画では「よだかの片想い」(22年)、「緑のざわめき」(23年)などで主演を務める。
一ノ瀬颯(いちのせ はやて)
1997年4月8日生まれ。東京都出身。2019年「騎士竜戦隊リュウソウジャー」(テレビ朝日系)でデビュー。以降、大河ドラマ「麒麟がくる」(20年/NHK総合ほか)、「いいね!光源氏くん し~ずん2」(21年/NHK総合)、「Believe―君にかける橋―」(24年/テレビ朝日系)、「119エマージェンシーコール」(25年/フジテレビ系)、「絶対零度〜情報犯罪緊急捜査〜」(25年/フジテレビ系)ほか、多くのテレビドラマ・映画・舞台で活躍している。
【番組情報】

夜ドラ「青の花 器の森」
10月26日スタート(全32回)
NHK総合
月曜~木曜 午後10:45~11:00
NHK ONEで同時・見逃し配信予定
イベント情報
夜ドラ「青の花 器の森」ファン感謝祭
【出演】松井玲奈、一ノ瀬颯
【司会】大野克郎(NHK長崎アナウンサー)、山口紗希(NHK長崎アナウンサー)
【日時】2026年11月29日(日)
【開場】午後1:00 【開演】午後1:30 【終演予定】午後3:00
【会場】波佐見町総合文化会館(長崎県東彼杵郡波佐見町折敷瀬郷2064番地)
【申し込み】NHKイベント・インフォメーションから
※申込締切は11月17日 正午
【放送予定】2026年12月11日 午後7:57~8:42<総合・長崎県域>
※NHK ONEで放送後1週間の見逃し配信あり。
取材・文/S.Kirinuki
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