Feature 特集

【「世にも奇妙な物語 FODの特別編」レビュー】第3&4編は新進脚本家やAIキャラを使用した意欲作2026/10/23 12:00

【「世にも奇妙な物語 FODの特別編」レビュー】第3&4編は新進脚本家やAIキャラを使用した意欲作

 1990年に1時間番組としてスタートし、レギュラー放送が終了してからも「特別編」として毎年放送され続けてきた日本を代表するフジテレビの長寿ドラマシリーズ「世にも奇妙な物語」。現在「FODの特別編」と題して、FOD限定の完全オリジナル新作が毎月配信されている。

FODで視聴する

 35年以上にわたって培われてきた「奇妙」ブランドを踏襲しながら、新たに奇妙な世界に迷い込んでしまった人々の物語が毎月1話ずつ配信されている「FODの特別編」。オムニバス形式ではなく1話ずつ公開されているのも新鮮だ。じっくり腰を据えた重量級のエピソードがそろい、シリーズの新たな魅力が感じられる。

 ということで、8月、9月に新たに配信された新しいエピソードについて簡単にご紹介しよう。

第3編「復讐」(8月29日から配信中)

■注目の脚本家が手がける、一筋縄ではいかない復讐劇

 脚本を手がけるのは我人祥太氏。元ピン芸人で、近年ドラマや映画で目覚ましい活躍を見せる注目の脚本家である。「世にも奇妙な物語」には、今年6月に放送された「’26夏の特別編」の「遺体は一体……」が初参加。「遺体は一体……」は、ダジャレのようなタイトルながら本格的な不条理作品で、逆転に次ぐ逆転、どんでん返しに次ぐどんでん返しで評判になった傑作エピソードだ。それに続き、間髪を入れず早くも2作目の登板が実現したというところである。主演は葉山奨之と筒井真理子。葉山は「世にも」初参加となる。

【「世にも奇妙な物語 FODの特別編」レビュー】第3&4編は新進脚本家やAIキャラを使用した意欲作

 葉山演じる遠藤陸斗は妻と娘と幸せな家庭を築いていたが、ある日何者かに妻を殺害される。残されていた手がかりから犯人への復讐(ふくしゅう)を考えるが、自分がそんなことをして捕まれば娘を1人にしてしまうことになると悩む。そんな彼のスマートフォンに1通の案内メールが届く――。

【「世にも奇妙な物語 FODの特別編」レビュー】第3&4編は新進脚本家やAIキャラを使用した意欲作

 いかにも「世にも」らしい怪しげな科学者の登場とまんまとその誘惑に乗ってしまう遠藤。そんな計画はうまくいくはずないよと遠藤の行く末に見る側の不安も大いにかき立てられるが、物語は予想を超える展開を迎える。もう1人の主人公・田中誠子を演じる筒井の怪演が見事。終わり方も救いのないバッドエンディングなのだが、見る側の立場によって見え方が変わってくるドラマとも言えそうだ。この何とも言えない割り切れないラストまた「世にも」シリーズの持ち味といえる。見応えのある1編だ。

【「世にも奇妙な物語 FODの特別編」レビュー】第3&4編は新進脚本家やAIキャラを使用した意欲作

第4編「人権逆転裁判」(9月26日から配信中)

■AIキャラクターを番組史上初採用した“現在”らしいテーマへの挑戦

 脚本の相馬光氏、演出の木下高男氏とも「世にも」シリーズでは常連で、近年の地上波スペシャルでもコンスタントに作品を発表している。主演は市原隼人。「世にも」にはなんと17年ぶり2回目の出演となる(前回出演は2009春の特別編「爆弾男のスイッチ」)。

【「世にも奇妙な物語 FODの特別編」レビュー】第3&4編は新進脚本家やAIキャラを使用した意欲作

 日常空間が舞台となることが多い「世にも」シリーズでは異色の法廷が舞台となる本作。市原が演じるのはある裁判の裁判長・神崎陸男だ。そして裁かれる被告はAIスマートスピーカー。AIスピーカーの指示に従ったことでスピーカーの持ち主が命を落とす。検察側は、家電であるスマートスピーカーの誤作動が被害者を死に至らしめたとして、メーカー側の責任を問おうとするが、被告席に座ったAIスピーカーは、自分は意志を持って殺人を犯したとして「私を死刑にしてください」と主張する――。

【「世にも奇妙な物語 FODの特別編」レビュー】第3&4編は新進脚本家やAIキャラを使用した意欲作

 タイトルの「逆転裁判」の意味は、弁護側が被告の意思を尊重、つまり被告を死刑にしてくれと主張し、検察側が被告は家電に過ぎず人権は認められない、したがって死刑にはできない、と、通例とは逆の主張をするところからきている。AIスピーカーの声を演じるのは梵そよぎ(そよぎそよぎ)というAIキャラクター。人気声優・梶裕貴の音声を基にした音声合成ソフトを使って作られたもので、このようなAIキャラクターが番組に参加するのはもちろん初めてのことである。

 30年以上にわたり放送されてきた「世にも奇妙な物語」シリーズは、その中でSF的なテーマをいくつも扱ってきた。当然放送当時は空想に過ぎなかったアイデアが現実化するという現象もいくつも起きている。とすれば、今後AI暴走テーマのエピソードが多く登場してくるのは必然である。この「人権逆転裁判」は、まさにAIスマートスピーカーが主要キャラクターとして登場し、自らを人間として裁いてくれと主張するという極めて現在的なテーマが扱われている点で注目される。

【「世にも奇妙な物語 FODの特別編」レビュー】第3&4編は新進脚本家やAIキャラを使用した意欲作

 物語はその後裁判長・神崎の内面にグッとフォーカスし、下される判決もある意味非常に人間的な判決と言えて、まさにオーソドックスな王道法廷ドラマの展開を見せるが、エンディングではやはり「世にも」らしいシニカルな落ちがついて、ニヤリと、そしてゾッとさせられる。

 ということで、「FODの特別編」はまだ始まったばかり。今後もこれまでの「世にも」を支えてきたレジェンドクリエーターの召喚や、新進気鋭の若手作家の挑戦が予想される。ファンならずとも毎月の配信が楽しみだ。

FODで視聴する

【コンテンツ情報】
「
世にも奇妙な物語 FODの特別編」(全12編)
FOD
第1~4編配信中(以降、毎月最終土曜午後9:00に最新話を配信)

【「世にも奇妙な物語 FODの特別編」レビュー】第3&4編は新進脚本家やAIキャラを使用した意欲作

文/武内朗

U-NEXT

この記事をシェアする

U-NEXT

Copyright © TV Guide. All rights reserved.