吉田羊「ポジティブな評価こそ疑う」主演ドラマ「会社員」で語った仕事観 南沙良も登壇2026/09/30 18:13

NHK総合で10月13日から放送されるドラマ10「会社員」(火曜午後10:00)の会見が行われ、主演の吉田羊と南沙良、さらに脚本開発チーム「WDRプロジェクト」の第2期メンバーである名嘉友美氏、松井周氏、あさか友恵氏、縦谷宗氏とプロデューサーの上田明子氏が登壇した。
本作は、男性中心の企業社会を実力で生き抜いてきた50歳の会社員・宮木英理子(吉田)が、主導するプロジェクトを成功させれば念願の取締役昇進が約束されている中、プロジェクトのリリースを目前に控えたある日、匿名の脅迫文が届く。脅迫者と向き合う中で、英理子は会社が抱えるゆがみと、そこで生じる痛みに直面することとなる。誰もが自分の存在価値の証明に駆り立てられる世の中で、組織で働くことの意味と、良心の在りかを問う、生々しくもスタイリッシュなオフィス・サスペンスだ。
主演・吉田羊、前作「3000万」のファンだったことを明かす

NHKが立ち上げた脚本開発チーム「WDRプロジェクト」の2作目となる本作だが、前作の「3000万」(NHK総合/2024年)の大ファンだったという吉田は、「プレッシャーがありました」とオファー時の心境を語るも、「この不安を凌駕(りょうが)する素晴らしい脚本で夢中になって読んでしまい、ぜひこの作品に携わらせていただきたいなという思いで引き受けさせていただきました」と脚本の魅力を語った。
現場の様子についても、「キャスト、スタッフともに気持ちのいい方々がそろっており、作品をどうしたら面白くできるかということを、みんなでセッションしながら、前向きにシーンを作り上げることができるクリエーティブな現場でした」と明かす。

メールセンターで働く派遣社員の斉藤るりを演じる南は台本を読んだ感想について、「組織の中で人と関わることや、その人がどう選択するのかというテーマを描いた作品だと感じました」と述べる。
「会社員」というストレートかつミステリアスなタイトルについて制作統括の上田氏は、「最初はタイトルがない状態で始まりました。決まったのは撮影が始まる少し前です」と打ち明け、「多くの人が会社員として働いていて、組織の中で自分の存在や存在価値を探しながら働いている中で、どんな組織でも、もしかしたら起こるかもしれない物語として捉えていただけたらと考えて、このタイトルにしました」と説明した。
会社員という役柄について吉田は、「私は会社勤めの経験がないので、まずその企業とは、会社とはというところを勉強するところから始まりました。もしこのドラマの世界が現実だとしたら、よもや私には渡り歩けそうにない世界だなと」と告白。
続けて、「物語の中で、英理子は前向きに諦めることが何度もあるんです。それを経験するたびに、自分の中の何かがすり減っていく感覚があって……うっかりすると孤独に陥ってしまうときに、苦しみをシェアできる仲間がいたり、同僚がいたり、頼れる先輩がいたりすることで、孤独を脱することができる。その頼れる存在が会社員であり、その集合体が組織であってほしい、と演じて感じました」と会社員役を経験する中での気付きを語った。

事前の役作りについて吉田は、「ビジネス用語を調べました。台本を読みながら知らないアルファベット3文字がたくさん出てくるんです。でも調べても出てこないことがあって、それはドラマ内で創作した単語でした。そういうビジネスのスタートラインに立つところからスタートしました」と振り返る。
吉田はさらに、「株価の動きをチェックしました。気になる株にあてをつけて、毎日どう変遷していくのかを見たり、企業に絡む大きなニュースがあった時に、その会社の株価がどうなっているのかを見ていました」と勉強熱心な一面を見せた。
一方の南も役作りに関して、「働いている方の1日の過ごし方や、るりは派遣社員なので会社との距離感を意識していました」と意識したポイントを挙げ、「るりは行き場のない怒りを抱えている女の子なので、心の中の怒りをどれだけ膨らませられるかを大事にしました」と役への思いを話す。
英理子とるりは正反対の性格であり、あることがきっかけで対峙(たいじ)していくが、吉田は南について、「突き刺してくる眼力で……。この人の前ではうそをつけない、ごまかしがきかないなと」と印象を伝えると、南も「私も吉田さんの眼力に引っ張られそうになりながら頑張って立っていました」と互いに同じ印象を抱いていた様子。
加えて南は、「るりは過去の出来事から、見て見ぬふりをすることに対して嫌悪感があり、英理子と自分自身を重ねていて、るりが一番許せないものは自分自身でもあるので、実際にお芝居させていただいて、許せないっていう気持ちがどんどん上がっていくものなんだなっていうのを発見できました」と対峙シーンを振り返った。
吉田が演じる英理子は会社からの評価に揺れる役どころだが、自身が他社からの評価に揺れないために心がけているマイルールを問われ、「ポジティブな評価とネガティブな評価を逆に捉えるようにしています」と回答。吉田は、「ポジティブな評価をいただいた時は、それを疑い、頭を垂れ、そして悪い評価をいただいた時は、何か改善のヒントだと捉えるようにしていて……」と独自の仕事論を展開。
実際には、「舞台のロングラン公演の最中に、自分の芝居と違った意図でお客様に捉えられた時に、なぜそう受け取られたのかを自分の中でかみ砕いて、後半の公演に生かしたという実体験もありました。映像作品の場合は、いろいろな意見がありますが、意見を言うために作品を見てくださったんだと思うと、『ありがとう』という気持ちになるので、それが私の“マイルール”です」と自論を披露した。
そして、今回の脚本を担当したWDRプロジェクトのメンバーの名嘉氏は、「目の付けどころが4人それぞれ違うので、自分では思い付かないアイデアが放り込まれた時に、また新しいアイデアが浮かびますし、常に話し合えて貴重な場で、相乗効果はあったと思います」とチームならではの強みをアピール。
同じく松井氏も、「自分より面白いアイデアが出てきたら悔しいんです(笑)」と正直に語り、「でもその方が面白いので採用しますし、それができるチーム作りがあったので、悔しさもありつつも、意見を取り入れながら“みんなで”作ることができました」と手応えをにじませた。
また、あさか氏も「お互いにフィードバックをし合うことができていたのかなと」と信頼関係をのぞかせ、縦谷は、「キャラクター1人をとっても、それぞれの見方が少しずつ違っていて。意見が積み重なっていくと、キャラクターがどんどん豊かになっていきました」とチームで創作するからこそ生まれるキャラクターの奥行きを実感していた。
吉田から脚本家陣へ、役者の視点から気になっていたという質問が……

さらに、吉田から脚本家陣への質問も飛び出し、「気になっていたのですが、後半の脚本は撮影をしながら作られたと思うのですが、私や南さんが作り上げた役を参考にして脚本に生かしたり、ニュアンスが変わったりすることもあるのでしょうか?」という問いに、松井氏は「僕は第6回を担当したのですが、第5回の撮影を拝見して、その吉田さんの印象が強く残っていて、第6回は、また違った吉田さんが見えたら面白いかなと思って脚本に反映させました」と脚本にも影響を与えていたことをうかがわせ、吉田は「第5、6回が楽しみですね」と期待を寄せた。
前作の「3000万」に引き続き、息をのむオフィス・サスペンスが展開されていく「会社員」に目が離せない。

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