高良健吾、手塚治虫役で新たな発見「想像していた像を越えていった」 原田琥之佑ら若手キャストも刺激2026/08/03 19:21

NHK総合とNHK BSP4Kで、8月12日に放送される特集ドラマ「手塚治虫の戦争」(午後10:00)の試写会と取材会が行われ、ダブル主演の高良健吾と原田琥之佑のほか、野内まる、久野渚夏、山田健人、田島彰洋プロデューサーが登壇した。
手塚治虫氏の「紙の砦」「ゴッドファーザーの息子」を原作に、桑原亮子氏が脚本を担当する本作は、1973年の東京と1945年の大阪という二つの時代を交錯させながら描く物語。
1973年の東京で、どん底に転落し、創作への自信を失いかけた手塚治虫(高良)の脳裏によみがえるのは、漫画を描くことすら許されなかった少年時代の姿だった。
1945年の大阪では、中学生の大寒鉄郎(原田)が「非国民」とさげすまれながらも漫画を描くことへの情熱を燃やし続ける。近づく戦火の足音がかけがえのない日常をゆっくりと浸食していく中、手塚は過去の記憶に触れながら戦争を描くことの意味と向き合い、その本能が目を覚ます。

出来上がった作品を見た高良は、「面白くて驚きました」と話し、「特に残っているのは、1945年のシーンですね。僕たちが忘れてはいけないものが十分に映っていて、演じたここにいる若い子たちに刺激を受けました」と感想を伝えた。
手塚を演じた高良は、「手塚先生のことは知っているようで、不遇の時代は知りませんでした」と経営していた会社が倒産するなど、本作で描かれた境遇について触れ、「その不遇の時代に改めて、自身の戦争体験に向き合うことへの意味を感じました」と思いを巡らせた。高良はまた、「尋常じゃないほど純粋に漫画に向き合って、過去のつらい思い出を描くという姿勢は、自分が想像していた手塚治虫さんという像を越えていきました」と感銘を受けた様子。
手塚役を務める中で高良は、役作りの参考にした作品について触れ、「ブラック・ジャック創作秘話という漫画の中に、手塚先生が当時関わってた方々とのエピソードがあって、情熱を持って漫画を描いていたり、未来の子供たちに向き合っていたことを知りました」と手塚への思いをにじませた。さらに、「役作りとして2か月ほど、琥之佑くんと一緒に漫画を描く練習をして、手元だけ僕たちが演じている部分もあります」と撮影の裏側を明かす。
その上で、「自分が大切にしているもの、救われたもの、向き合わないといけないものへ取り組む姿を見て、手塚先生はあそこまでやったんだからという仕事へ向き合う姿勢を学びました」と語り、手塚から受けた影響の大きさをうかがわせた。

手塚が書き始める漫画「紙の砦」の主人公の鉄郎を演じた原田は、試写を見た記者を前にして「この作品を見た人たちの顔を初めて見て、わくわくしています」とコメントし、「自信を持って頑張ったと言える作品ができて、うれしいです」と充実感を語った。
鉄郎を演じた原田は、「非国民だと周りから言われても、ただ漫画を描きたいから描く。やりたいことをやるという、自分の心が動くことを大切にしていて、殴られたりもしましたが、鉄郎は強いなと改めて思いました」と役への思いを語った。鉄郎については「描いた漫画に納得できても、満足してたまるかという気持ちを持っていると思って……。それが表現者として大切なことだなと勉強になりました」とも話し、役を通じて得た学びを打ち明けた。

一方、音楽舞踊学校に通う岡本京子を演じた野内は、「話を知っているのにも関わらず、泣いてしまって……」と改めて作品の重みを感じたといい、役を通して「学ぶことがたくさんあった作品なんだなと感じています」と振り返った。また、作中の踊りのシーンについて問われると、「初めて作品で踊らせていただいたので緊張はしていたんですが、先生が何度も丁寧に教えてくださったので楽しくできました」と笑顔を見せた。
京子から見た鉄郎についても触れ、「ただ漫画を描いてる子じゃなかったんです。漫画を描きたいという気持ちを守り抜いた方だと思っていて、それを見て京子もまだ舞台に立つという夢を諦めなくてもいいと影響をもらうんです。でも戦争でその夢は断ち切られて、あらがいたくてもあらがえない戦争に対照的な部分も感じました」と、やるせない思いを口にした。

鉄郎が書く漫画に魅せられる親友・明石健司を演じた久野は本作がドラマデビューとなる。久野は、「最初のシーンで手が震えてしまいましたが、皆さんの支えがあって、このようなすてきな作品に参加できました」と感謝を述べ、「撮影中も幸せでしたし、作品を見てくださった皆さんの前で今、お話しできるのも幸せです」と初々しさを見せる。
久野は手塚の姿と自身を重ね、「自分は一喜一憂してしまう性格で、でも手塚先生を通して、ちっぽけな問題で浮き沈みしている暇ないなと思いました。テストとかでも浮き沈みしてしまうんですよね……」と高校生ならではの悩みを告白。そして、「自分の浅さを知って、もっと頑張ろうと。この作品に出合わないと気付けませんでした」と今後の糧となる作品だったと語った。

真面目な少年・三井明役の山田は、「尊い時間を過ごさせていただきました」と語り、「学生役の皆さんと青春の時間を過ごせて、それが映像に表れていたのが何より誇りです」と満足げに話した。
山田は続けて、手塚について「誰にも平等に接することを大切にしていて、それを持ち続けた手塚先生は自分の心の鏡のような方です」と紹介し、「うそをつかずに生きるということを、僕は手塚先生とこの作品から学びました」とメッセージを寄せた。
1945年の戦時下に生きる人物を演じた4人は、考えさせられることが多かったという。原田は、「三井や明石とは明るくお別れできたんですが、片目をやけどした京子を初めて見た時に、心が締め付けられました。鉄郎にとって、京子は特別な存在だったので、つらかったです」と、かみ締めながら答えた。
野内は、「自分の街が燃えたり、けがしてしまったり、でもその状況を全て受け入れないといけない心情になってしまうんですよね。それが戦争の怖さだなと実感しました」と神妙な面持ちで語った。
久野は不時着した米兵を皆で殴るシーンを挙げ、「あのシーンに、人間の怖さが出ていたと思いました。いざその状況になると自分はできるのかなと。置かれた状況によって変わってしまうっていうのは怖いなと……」と、もどかしさを語り、平和を願う。
「戦争に行かれた方の気持ちは簡単に言葉にすることはできない」という山田は、「年相応に得られる思い出を戦争によって奪われていくのが悲しいなと演じながら気付きました」と話した。
会見ではドラマの話題に加え、熊本出身の高良は7月28日に発生した熊本地震についても言及した。

「前回の地震から10年という節目で、また大きな地震が起き、その10年間の復興の様子を見ていたので胸が痛くなりました」と、やるせない思いを吐露。そして、大きな被害が出た八代市在住の自身のいとこのメッセージとして、「老人ホームでは、水とか食事、またおむつや介護士の手袋などが工場が停止している中で不足しています。加えて、保育園でも水不足の状況があるそうで、人が人を見る場所に物資が足りてない状況です。さらに、エアコンが届いたとしても、電気が通ってないので、避難所には昼は誰もいなかったり、水は足りていてもお風呂に入れないという状況が現地ではあるそうなんです」と現地の声として伝える。
自身の今後の復興活動について、「こういう場所から発信することによって、いろんな人に伝わっていけばいいなと思ってます。僕が今できることは、この瞬間だけではなく、継続的に向き合っていくことだと思ってるので、被災された方々が1日も早く日常を取り戻して、少しでも心が休まる出来事が現地の方にあればと祈るばかりです。まずは被災された方の心を傷つけないようにしながら、タイミングを見て自分自身も行動したいと思ってます」と支援への決意を示した。
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