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新木宏典、元最強の忍びを演じる主演舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」インタビュー【前編】2026/07/31 12:00

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新木宏典、元最強の忍びを演じる主演舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」インタビュー【前編】

 俳優・新木宏典の主演舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」が8月14日よりサンシャイン劇場(東京)にて開幕する。本作は「羽州ぼろ鳶組」、「イクサガミ」シリーズの直木賞作家・今村翔吾による同名小説の舞台化で、江戸時代中期、市井に生きる人々のささやかな営みとその胸の想いを爽快感あふれる筆致で描き出す青春時代小説の傑作。元・最強の忍びでありながら、寺子屋の師匠として生きる男・坂入十蔵を演じる新木宏典のインタビューを前編・後編の2週にわたってお届けする。

――最初に本作品に触れた時の印象、台本を読まれての感想からお聞きしたいです。

「今回(新木の所属事務所の)ワタナベエンターテインメントも企画で参加しているのですが、東映さんと一緒に作る意味のある舞台と言いますか、分かりやすくて万人に楽しんでいただけるエンターテインメント作品だなと思いました」

――演じる坂入十蔵の第一印象は? どのように演じてみたいと思いましたか?

「自分の価値観のもとで台本を読んだ時、十蔵という人間がどのように生きてきたのかというところには共感できました。“そうだよね”って思う部分が多かったんです。ですが、僕は、十蔵を演じる役者としてこの現場に入るわけで、役作りという面でいうと、価値観が近ければ近いほど悩ましい部分も出てくるのかなと。作品作りのかじ取りをするのは演出家なので、演出家が求める十蔵像を考えると自分が共感できた部分が邪魔になりそうだな、と。演出の青木豪さんが持つ十蔵像と僕が受け取った、共感できた十蔵像がリンクしない箇所が出てきてしまったら、その箇所が一つあるだけでつじつまが合わなくなってしまう。僕の価値観で作った十蔵を一つ変えられるだけで、“僕それしないよ”となった瞬間一気に崩れてしまうので(笑)。なのであくまで余白をしっかり持って十蔵像を作っておかなきゃいけないな、気を付けなければいけないなと思っています」

新木宏典、元最強の忍びを演じる主演舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」インタビュー【前編】

――それほど十蔵という人物と共感する部分が多いのですね。今回立ち回りのシーンも多いですが、稽古前に役作りと並行して何か事前準備はされていますか?

「どのジャンルの作品でも、アクションでも殺陣でもダンスでも共通するとは思うんですけど、とにかくけがをしないよう体作りは常日頃行っています。それが唯一やっている事前準備かもしれないですね。今回のアクション時代劇でいうと、アクション演出、殺陣演出の付け方によって魅せ方が違うので、動ける体、動いてもけがをしない体を作って稽古場に入ることが事前準備になります」

――それも余白と言いますか、対応できる体を作ることまでが事前準備ということですね。

「そうですね。それ以外のこと、それよりも踏み込んだことだと、アクション監督の方とすり合わせしていく作業ですので、現場に入ってしっかりとコミュニケーションをとって作っていきます」

――今回は元忍びの役ということで、武士や侍の役とは違った、たたずまいや所作はどのように考えていますか?

「こう動いていたとかト書きに書かれていたり、誰かのセリフにあったり、忍びとしての要素が台本に書かれていたら、そこを意識していくと思います。それをもとにアクション監督の方と相談しながらキャラクターがブレないように。情報として台本からくみ取って準備しておかなきゃなと思います」

新木宏典、元最強の忍びを演じる主演舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」インタビュー【前編】

――寺子屋の筆子役の俳優たちとの芝居はどのように構築していこうと考えていらっしゃいますか?

「豪さんのお考えにもよると思っています。どこまで時代背景を感じさせるか、どういうマインドで筆子としていてほしいか、どういう教育理念のもとで育てられているのか……現代の若者の感覚のままで芝居をしたら、時代背景が見えづらくなる。でも今回フィクション性の高い物語だから、そこまで気にしなくていいのかもしれない。でも、気にしなくていいとなったら、現代の若者のままですし。こういう時に起こりうることってリアクションの取り方なんですよね。現代のノリで考えてしまった場合、リアクションは全部薄くなってしまう。筆子たちがどういう芝居になるかによって僕の距離感や見せ方、関係性のバランスが変化していく。二十年やってきた自分がフォローに入るべきところは入りたいなとは思っています」

――まさに物語と同様、師匠ですね。そして十蔵の元奥方の睦月はとても魅力的な登場人物です。睦月という女性をどう捉えられていますか?

「すごく変わった女性、異色な女性、ですよね。あの時代では考えられないような価値観を持っていて、現代の女性に近い。だからこそ十蔵がひかれたんだろうなと思います。お互いに思い合っているということが大前提にある。でもそれを表面的に表現することはないから、互いに伝わりづらい愛情表現をするんだろうなと。(睦月のことを)思い続ける、頭の隅に常に存在させる、決して消えることのない存在だと意識しておかなきゃいけない。そして、その思いがこぼれてしまったら、にじみ出てくるのだろうし。出会ってから好意を持って夫婦になって別れてという変化の中で、相手を思い続けるという部分を丁寧に演じたいですね。表面的に表現できないからこそ芯にあるものを色濃く意識しなきゃいけないと考えます」

――舞台公式HPに「元忍びの寺子屋の師匠という役所は、私個人の今の生き方に重なる部分が多く、『自分の人生を一人で生きてきた中で、見出した答えのようなものを次世代に伝え、残すことを考えるようになった自分には強く残る作品です』とコメントされています。これは、ご自身の経験や技術を、後輩の役者たちや演劇業界に残していきたいという思いでいらっしゃるということでしょうか?

「残していきたいというか残ったらラッキーだなと思っています。演劇人として僕の考え方、取り組みに触発された同じマインドの役者に参考資料として渡すことができたらな、と。僕がやっている取り組みを新しい発見として興味を持ってくれて、自分もやりたいと思ってくれる役者が現れたら、渡したいと考えているので。だから僕は若い役者たちがいる現場に、同じようなポジションで出続けるという選択をしています」

――後輩たちにとっては大きな刺激になりそうですね。

「どうなんでしょうね、良くも悪くもちょっと影響を与えたかなと思う部分はあります。2.5次元作品に出ている今第一線で活躍している役者たちの平均年齢が上がってきているので(笑)」

新木宏典、元最強の忍びを演じる主演舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」インタビュー【前編】

――それはジャンルとして完成・成熟したことで生じた必然的な現象なのでは?

「やり続けるという選択を取ってくれた役者たちが増えたということはありがたいことだとも思うんですけれど、次世代に渡すということも必要だから。新しいことを開拓していけばそこに居続けていいと思うのですが、開拓せずに居続けると新しい芽を潰すことになる。そういう意味ではあんまり良くない影響の与え方をしてしまっている部分もあるんだろうなと」

――いやいや、そこに新木さんがいらっしゃるだけで、新人や若い役者たちは学びになると思うのですが……。

「いい部分ももちろんあるとは思うんですけど、複雑ですね(笑)。だから、これからも演劇の現場の皆さんにはいっぱい作品を作り続けていただきたいですね」

――確かにそうですね。いろんな場所が生まれる。

「残る人たちが残り続けられる場所もあれば、新しい人たちがちゃんと芽吹いていく場所もある。たくさん作っていかなきゃいけないんだろうなと思いますね」

 次週、後編では本作のセリフにちなんだ質問を投げかけ、新木の素顔に迫る。

新木宏典、元最強の忍びを演じる主演舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」インタビュー【前編】

【プロフィール】
新木 宏典(あらき
ひろふみ)
1983年6月14日生まれ。兵庫県出身。丹波市観光アンバサダー。主な出演作は、ミュージカル「刀剣乱舞」シリーズ、舞台『モノノ怪』シリーズ、ミュージカル「Fate/Zero」シリーズなど。9月5日に品川インターシティホールにてイベント「未定」が開催。

【作品情報】
舞台「てらこや青義堂 師匠、走る」

開催日:2026年8月14日~30日
会場:サンシャイン劇場(東京)
原作:今村翔吾『てらこや青義堂 師匠、走る』(小学館文庫刊)
作・演出:青木豪
出演:新木宏典 彩みちる 一色洋平
八木美樹 小島歩琉 大熊蒼空 村山暁 久保田直樹
鈴木幸二 伊与勢我無 南誉士広
姜暢雄 山本亨 ほか

取材・文/TVガイドPERSON編集部 撮影/尾崎篤志

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