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「武則天-The Empress-」で中国時代劇の美しさを堪能する2026/06/09

「武則天-The Empress-」で中国時代劇の美しさを堪能する

 日本では「則天武后(そくてんぶこう)」と呼ばれることが多い、中国史上初の女帝の生涯を描いた「武則天-The Empress-」。当時(2014年)破格の予算を投じ、トップ女優ファン・ビンビンをヒロインとして起用。共演俳優陣もイケメンぞろいな上に、ハードなストーリー展開で視聴者をくぎ付けにした本作。当時放送された全テレビ局、全配信サイトの視聴記録を塗り替えたという空前の話題作となった。初回放送から10年が過ぎても色あせない迫力で、中国ドラマ未体験の方にもリピーターにもおすすめのドラマが、BS11で6月10日水曜からスタート(毎週月~金曜 前10:00~11:00)する。

皇帝の寵愛を求めてしのぎを削る女たち。ドロドロ過ぎる唐の後宮は中国版“大奥”

「武則天-The Empress-」で中国時代劇の美しさを堪能する

 第2代皇帝太宗(たいそう)・李世民(りせいみん)が治める唐王朝初期。後の武則天(ぶそくてん)となる武如意(ぶにょい)は、わずか14歳で才人(さいじん)という中級の女官として後宮に入り、皇帝の寵愛(ちょうあい)を巡る妃嬪(ひひん)たちの泥沼の争いを目の当たりにする。ある日、唐と緊張関係にある漠北(ばくほく)との弓術対決の席で、見事な馬術を披露して唐を勝利へと導く武如意。その突出した勇気と技量を称賛した李世民から「媚娘(びじょう)」の名を賜り、さらに側近として仕えるよう命じられると、嫉妬にかられた皇后や他の貴妃から執拗(しつよう)な嫌がらせを受ける。

 武媚娘へのいじめは、泥棒の嫌疑をかけられたり、牢に入れられたり、命を狙われたりとエスカレート。後宮を追われ、授かった子も流産させられ、親友にも裏切られるという苦難の連続。それでも逃げることなく、対立する側室や皇后まで追い落としていく武媚娘の反撃も容赦がない。敵の敵は味方とばかりに、時には手を組み時には裏切り、嫉妬の炎と権謀術数渦巻く後宮で、やがて第3代皇帝高宗(こうそう)・李治(りち)の皇后となり、表舞台にまで立った女傑の生涯がすさまじい。

14歳から82歳まで美しいまま演じきり 中国芸能界の女帝となったファン・ビンビン

「武則天-The Empress-」で中国時代劇の美しさを堪能する

 第1話では、老いて政権崩壊寸前の岐路に立たされた武則天が登場。そして時間は巻き戻り、まだ14歳だった武如意の物語が始まる。この14歳の武如意と82歳の武則天と、どちらも演じているのが、中国を代表する美人女優のファン・ビンビンだ。

 16歳でデビューし、2000年代にはドラマや映画で活躍。日本ではウーロン茶のCMで知られ、アジアンビューティーの代名詞となった。さらに「アイアンマン3」や「X-MEN:フューチャー&パスト」などハリウッド映画にも出演し、キャリア絶頂期に主演することになったのが本作で、総合プロデューサーとしても参加している。

 かれんな少女時代から老練な政治家となる晩年まで、波乱万丈な女帝の生涯を巧みに演じ分けており、老年期のメイクには毎回7時間もかかったというが、老けメイクすら美しい。中国のエミー賞といわれる2015国劇盛典(TV DRAMA AWARDS MADE IN CHINA)で、最優秀女優賞とパーソン・オブ・ザ・イヤーのダブル受賞を果たしており、きらびやかな衣装や装飾品に負けないたたずまいと吸い込まれるような瞳にうっとり。

画面が割れるほどの眼福イケメン勢ぞろい 総製作費56億円の壮大なスケールの中、美麗な衣装をまとう最強の男たち

「武則天-The Empress-」で中国時代劇の美しさを堪能する

 武媚娘(後の武則天)の相手役もまたイケメンぞろい。最初に武媚娘を見初める李世民を演じるチャン・フォンイーは、たくわえたひげがダンディなイケオジ。「三国志演義」の赤壁の戦いを映画化した「レッドクリフ」で曹操(そうそう)を演じた名優で、武媚娘を守ったり突き放したりと揺さぶりをかけてくる。

「武則天-The Empress-」で中国時代劇の美しさを堪能する

 対して、幼い頃から武媚娘を慕う李治を演じるのは、香港出身のアーリフ・リー。温和な性格でありながら、武媚娘を守るために第3代皇帝に即位するという包容力がたまらない。精悍な細マッチョというのも魅力だが、さらに現役の歌手でもあり、エンディング曲の作曲もしている。

 そして、武媚娘の幼なじみで将軍にまでなり、影のように武媚娘を見守り助ける李牧(りぼく)に「三国志〜司馬懿 軍師連盟〜」で曹丕(そうひ)を演じたリー・チェン。武媚娘に捧げる無償の愛がせつない。

 本作の総製作費は当時として歴代最高の56億円。豪華なセットや本格的な衣装、装飾品の数々に圧倒されるが、それを身にまとう俳優陣の着こなしにも注目。宮中の皇帝服から戦時の甲冑(かっちゅう)姿まで、モデル並みのイケメンたちのりりしい姿が映える。ちなみに、第14話には「仮面ライダードライブ」などで活躍する松島庄汰が、当時若手ながら日本人キャストとして出演しているのでチェック。

優秀な人物を登用し、唐の繁栄を築くも 悪女として名を残した中国史上唯一の女帝

「武則天-The Empress-」で中国時代劇の美しさを堪能する

 武則天が生きた唐代初期は、日本ではまだ飛鳥時代。武如意や武媚娘はドラマ用の名前で、本名は武照(ぶしょう)と伝わる。第2代皇帝太宗、第3代皇帝高宗の父子の妃となり、帝位を奪って独裁政権を築いたため、漢の呂后(りょこう)、西太后(せいたいごう)と並び、中国三大悪女の一人に数えられてきた。とはいえ、中国歴代王朝の中で帝位についた女性は武則天のみ。男尊女卑の風潮が続いてきた中国にあっては、女性がトップになったというだけで批判の対象だったといえる。

 一方で、武則天が打ち立てた功績も見逃せない。隋の時代から6度も失敗していた高句麗遠征を成功させた。他の皇后のような名門の後ろ盾がないため、出自にとらわれず有能な人材を積極的に登用した。ドラマや映画で名探偵として描かれている狄仁傑(てきじんけつ)は、武則天に重用されて宰相にまでなっている。武則天亡き後、唐は孫にあたる第9代皇帝玄宗(げんそう)の代で最盛期を迎えるが、玄宗を支えたのは武則天が抜てきした官僚たちだった。

 唐に繁栄をもたらした基礎は、武則天が築いたと考えることもできる。宮中で繰り広げられる陰謀戦。2代にわたって皇帝から寵愛を受けるというロマンス。低い身分から皇后、女帝にまでなったサクセスストーリー。そして、女帝となっても終わらない政治闘争。時代ごとに変わっていく見どころいっぱいの一代記を今こそ体験してみよう。

【番組情報】
中国時代劇「武則天-The Empress-」
BS11
6月10日 水曜スタート
月~金曜 午前10:00~11:00
※BS11公式動画サイトBS11+とTVerで見逃し配信

文/菊池昌彦

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