「テミスの不確かな法廷」演出陣が松山ケンイチ&齋藤飛鳥の演技、クライマックスへの見どころ語る2026/02/23 07:00

NHK総合で放送中の松山ケンイチが主演を務める連続ドラマ「テミスの不確かな法廷」(火曜午後10:00)が、ミラノ・コルティナ2026オリンピック特別編成により休止していたが、2月24日から放送再開。演出を手がけたディレクター4名より、撮影の裏側や、第6話とクライマックスに向けての見どころについてのコメントが届いた。
本作は、新聞記者・直島翔氏による異色のリーガルミステリーを実写化。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)を抱えながらも周囲に明かさず、裁判官として職務に向き合う特例判事補・安堂清春(松山)を主人公に、裁判所職員、検事、弁護士らが真実を求めてぶつかり合う法廷の攻防を描く。緊迫感のある展開の中で、時にかみ合わない会話から生まれるユーモアや人間関係の温度も織り込みながら“普通”や“正義”とは何かを問いかける。

チーフ演出の吉川久岳氏は、第1話「裁判官忌避」、第2話「真実義務と誠実義務」、第7話「裁判所主導の職権主義」、第8話「向き合う覚悟」を担当。「第1話の冒頭で、安堂が歩道のタイルに沿って真っすぐ歩いていくところは特に印象深い場面の一つです。あえて安堂の表情を見せずに彼が抱えている悲しさを表現したかったんですけど、すごく難しいなとも思っていて。撮影初日で松山さんも探り探り演じている部分があったと思いますが、リュックを背負ったその背中がものすごく悲しそうに見えて手応えを感じることができました。安堂というキャラクターを理解する上でも重要な意味を持つシーンです」と松山の演技について触れる。

今後の見どころに関しては、「第7話と第8話についてはまだお話しできない部分が多いのですが、25年前の事件の真相を追究していく中で、地裁の人々の安堂に対する理解が深まっていったり、チーム感が色濃くなっていくのも見どころの一つだと思います。物語の前半で描かれていた伏線がこんなところにつながっているのかという驚きの展開もありますし、最後に安堂が法廷で何を話すのかというところもぜひご注目いただけたらと思います」とアピール。
加えて、「松山さん自身も『まさかこんなふうになると思っていなかった』と驚いていたくらい、松山さんと安堂が一体となった芝居に、最後までぜひご期待ください」とメッセージを寄せた。
第3話「裁判官の資質」、第4話「伝説の反逆児」を担当した山下和徳氏は、法律やASD・ADHD関連の取材を担当したことを明かす。

「今回は吉川さんを始め4人で演出を担当したのですが、それぞれ役割を分担し、私はおもに法律に関する部分やASD・ADHD関連の取材を担当しました。ドラマの中で、安堂が落ち着きなく机を指で小刻みにたたく場面が出てきますが、ASDの人とADHDの人とではその行動に至る理由が全く違います」と説明。
続けて、「ASDの場合、何かモヤモヤしたり自分のルーティンから外れると不安になり、それを抑制するために指で刺激を加える。一方、ADHDの場合はじっとしていられない衝動から動き始めるわけです。しかし、定型発達の人から見ると、この特性の違いはなかなか区別がつかないでしょう。ASDの人は他者とのコミュニケーションに苦労することが多いという共通の特徴があります。ただ、安堂の場合は、自分の意思を言語化できるために周囲の人から障害を持っていることを認識されにくい傾向にあります」と解説し、「第3・4話では、そうした特性やカムフラージュしている部分を分かりやすく可視化することで、安堂の生きづらさや葛藤をできるだけ理解してもらいやすいよう意識して演出しました」と制作への思いを述べた。

第5話「書証主義と人証主義」を担当した相良健一氏は、「これまでの放送をご覧いただいた皆さんのSNSの書き込みなどを見ていると、『法廷物のドラマというとシリアスなイメージがあるけど、エンターテインメントとして面白く見られる』という声が寄せられていてうれしい驚きがありました。『僕は宇宙人。だけど、地球人のふりをして生きている』という安堂に、自分自身を重ねて親近感を感じてもらえているのかなという印象も受けています」と反響を明かす。

第5話での恒松祐里と市川実日子のシーンについては、「2人で公園を歩きながらそれぞれの本音を吐露する場面は、本当は秋の設定だったんですけど、スケジュールの都合で冬枯れの公園での撮影となりました(苦笑)。落合が箱から出た、殻を破る部分の演出がストレート過ぎていないか、視聴者にどう受け止められるか不安だったんですが、放送後に『落合が悩んでいる表情を見て彼女をもっと好きになった』という声が多かったのでホッとしました。そこは、恒松さんや市川さんをはじめキャストの皆さんが作品を後押しし、ドラマを豊かにしてくれたと思います」と撮影を振り返った。

第6話「再審請求審」を担当した富澤昭文氏は、「第1~5話でも時折出てきた『前橋一家殺人事件』。その全貌が少しずつベールを脱ぎはじめるのが、放送が再開される第6話です。この事件の詳細と並行して、安堂が誕生した瞬間まで時を遡り、結城との親子関係に光を当てていきます。演出するうえで意識していたのは、『変わっていくもの』と『変わっていかないもの』があるということ。つまり、大人になった安堂が持っている特性は、子どもの頃からそうだったのか、あるいは成長とともに変わっていったのかを明確に描こうと思いました」と演出意図を説明。
さらに、「安堂は、赤ん坊の時、小学校の時、そして現代と父親の腕をつかむ場面が3回あるのですが、それぞれ意味合いが異なるので、その違いが視聴者の方にもうまく伝わるといいなと思っています」と注目ポイントを紹介した。

第6話以降のキーパーソン・吉沢亜紀を演じる齋藤飛鳥に関しては、「齋藤飛鳥さんの存在は、ラストに向けてすごく大きいと思います。父親の遺品を見て感情的になる場面が描かれるのですが、それが齋藤さんにとっての撮影初日だったんです。非常に難しいお芝居だったと思いますが、目の表情から亜紀の葛藤や裁判への思いが強く感じられました。すでに出来上がっているチームに自ら積極的に加わろうと努力される姿勢も素晴らしかったですね」と齋藤の演技を称賛した。
第6話「再審請求審」は、一家4人が惨殺された「前橋一家殺人事件」で死刑が執行された秋葉一馬の娘・吉沢亜紀(齋藤)が、父の無罪を訴え、新たな証拠を手に再審を求める。再審開始を認めるか否か、その審理に関わるべきか葛藤する安堂(松山)の脳裏に、封じてきた苦い記憶がよみがえる。それは、かつて秋葉に死刑を求刑した検察官・結城(小木茂光)との、消せない過去だった。
なお、23日には、第1~5話を一挙再放送。第1話は午後3:05~、第2話は深夜0:35より順次放送される。

【番組情報】
ドラマ10「テミスの不確かな法廷」
NHK総合
火曜 午後10:00~10:45
文/TVガイドWeb編集部
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