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あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由2026/03/06

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 中国大陸が南北に分断され、それぞれに王朝が興亡していた南北朝時代。北で北斉(ほくせい)と北周(ほくしゅう)の二大勢力が覇を競う中、皇族として生まれながら最前線に立ち「あまりの美しさから仮面をつけて戦った」という伝説を生んだ、蘭陵王(らんりょうおう)をモチーフとしたアクションロマンス時代劇「蘭陵王」(火~金曜、午前4:00~5:00)がBS11で放送中だ。歴代中国時代劇でも傑作として名高いドラマの魅力を、四つの美しさから徹底解剖していこう。

①伝説の再現美(キャスト)
美しすぎて仮面を被った王のビジュアルに加えライバルまでイケメンぞろい。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 蘭陵王は、6世紀後半の中国に実在した北斉の皇族で、本名は高長恭(こうちょうきょう)という。蘭陵王の呼び名は、統治していた領地からとったものだ。敵対する北周に包囲された城を援軍するためにわずかな兵で突入する高長恭。しかし、城を守る兵士たちは、その武将が味方かどうか疑い、門を開けない。そこで、城の前で被っていた仮面をとって味方だと知らせて入城を果たした。兵たちは「蘭陵王入陣曲」という歌謡をつくって勇気をたたえ、このエピソードが後に「美しすぎて仮面をつけて戦った」という伝説に変化。その後中国が隋、唐によって統一されると、奈良時代には日本に伝わり雅楽演目の「蘭陵王」が作られた。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 中国での人気はすさまじく、京劇などの舞台では、「三国志演義」でイケメン天才軍師で美周郎(びしゅうろう)と呼ばれる周瑜(しゅうゆ)と並び、蘭陵王はイケメンスターが演じるものと決まっている。そんな名作の映像化となればファンを納得させるのも簡単ではないが、本作に主演したウィリアム・フォンの蘭陵王は、美しさに加えて精悍(せいかん)さや立ち居振る舞いまですべてが完璧。恐ろしい仮面を外した時の息をのむビジュアルにうっとり。「美人心計〜一人の妃と二人の皇帝〜」や「王の後宮」など、中国では既にトップスターだったウィリアム・フォンは、本作によりアジア全域にまで人気が拡大した。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 蘭陵王のビジュアルに負けていない、ライバルの存在も忘れてはならない。北斉と敵対する北周の皇帝・宇文邕(うぶんよう)を演じるダニエル・チャンは、香港を代表する人気歌手。俳優としても90年代から数々の映画に出演し、香港返還後は中国ドラマにも進出した人気スター。国の覇権を巡るライバルというだけでなく、恋のライバルとしても対立することになるが、単なる敵役以上の存在感を示した。

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 また、蘭陵王の誠実な弟である安徳王(あんとくおう)・高延宗(こうえんそう)を演じるジョージ・フーにも注目。台湾の歌手であり30本以上のドラマに出演してきたスターで、本作で中国時代劇初挑戦。実は中国、香港、台湾のトップイケメンが勢ぞろいしているのだ。

②極彩色の映像美(美術・衣装)
中国時代劇ならではの潤沢な制作費が生み出す豪華な衣装と圧巻の映像美。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由
あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 中国の南北朝時代というのは史料が少なく、史実をベースにしたドラマとして描くのは難しい時代だが、台湾の人気プロデューサーであるフランキー・チェンを筆頭に中国・香港・台湾のトップクリエーターが集結し、時代考証をふまえながらも大胆に衣装やセットを構築している。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 皇帝の豪華衣装から女性陣のファッションまで、華やかな色遣いで、蘭陵王の仮面や金色に輝く甲冑姿も勇壮。大規模な戦場、美しい山河の風景など、ドラマの枠を超えた映像美で視聴者を魅了する。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 さらに、日本上陸にあたっては、写真家から映画監督まで幅広く活躍する蜷川実花がキービジュアルを担当。ヒロインを守る優しくもりりしい蘭陵王の姿を、大胆な色彩で浮かび上がらせており、美しく艶やかな世界観を創造した。

③至純の愛の美(ロマンス)
強い絆で結ばれた愛から、ただ尽くす愛、歪んだ愛と、異なる愛の形がそれぞれに純粋。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

アリエル・リン演じる天女・雪舞(せつぶ)とウィリアム・フォン演じる蘭陵王の、互いを守り抜こうとする純粋な愛。最初は反発しながらも運命に導かれるように接近し、やがては自分の命よりも相手の命を優先するほどの強い結びつきは、例え離れ離れになっても途切れることがない。そんな2人に割って入る皇帝・宇文邕の「見返りを求めない愛」という愛の形もまた純粋なもの。宇文邕は蘭陵王と敵対するが、雪舞を守るということでは思いは同じで、互いの力を認める好敵手でもある。そんな三角関係ができあがるのも、雪舞の純粋な心とひたむきさがあってのこと。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 一方で、雪舞に想いを抱きながらも、友人として雪舞を支え続ける、韓暁冬(かんきょうとう)(演:ウェイ・チェンシャン)の生き様も、また別の愛の形といえる。嫉妬心から雪舞の命を狙う阿史那(あしな)(演:ウェンディ)皇后や鄭児(ていじ)(演:ニキータ・マオ)たちの歪んだ愛など、本作ではさまざまな愛の形が交錯。ハッピーエンドもあれば悲劇的な結末を迎えることもあり、メインのロマンスから、安徳王と小翠(しょうすい)(演:ジュー・ハイジュン)のサブロマンスまで、すべての愛の物語に注目。

④悲劇の美(ストーリー)
歴史の荒波に翻弄(ほんろう)されながらも強く生きた伝説の男の物語に感動。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 史実でいえば、蘭陵王は皇帝となった高緯(こうい)から危険視され、毒薬を贈られて自死を強要される。蘭陵王の死により北斉はみるみるうちに弱体化し、北周の宇文邕(武帝)の侵攻を受けほどなく滅亡する。しかし、やがて宇文邕も病死し、暗君が続いた北周では臣下であった楊堅(ようけん)が実権を握り、新たに隋を建てて南北統一が果たされる。

あまりの美しさに涙する――中国時代劇「蘭陵王」が「美しすぎる」四つの理由

 ただ、本作では未来を予知する一族が登場するなどファンタジー要素も強く、史実の通りに話が進むとは限らない。そもそもヒロインの雪舞は架空の人物なので、彼女が歴史とどう関わってくるかも見どころだ。

 歴史の荒波に翻弄されながら美しく散るか、それとも歴史にあらがい愛を貫くか、登場人物たちの運命が大きく動き、クライマックスへと向かっていく。現在の中国では、史実を大きく変えるようなドラマには規制が入るので、自由なアレンジが可能な時代だったからこそ描けた、美しく感動的なラストを見届けてもらいたい。

【番組情報】
アーリーモーニング 中国時代劇「蘭陵王」

BS11
火~金曜 午前4:00~5:00
※TVerで放送後見逃し配信。BS11公式動画サイトBS11+では、字幕版と、吹替版(ノーカット)を配信。

文/菊池昌彦

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