「ある小説家の日記」主演は夏帆。“日記界わい”を背景に、作家の死後の秘密が動き出す2026/02/09 05:00

夏帆が、NHK総合で3月8日放送の特集ドラマ「ある小説家の日記」(午後11:00)で主演を務める。また、シルビア・グラブ、板尾創路、松尾諭、林裕太が出演することも分かった。
本作は、ヒットメーカーのミステリー作家が死後残した日記をめぐり、2人の女性が秘密の行為に出るサスペンスフルなヒューマンドラマ。本来は個人の秘められたものとされてきた日記。しかし、それは今、SNSなどで日常の思いや出来事を他人に共有する「日記界わい」と呼ばれる動きとして注目されている。いまでは誰もが閲覧できる“パブリックな表現”へと変貌している。
念願かなってヒットメーカーを担当するはずだった女性編集者が、そのチャンスを失った時、踏み入れてはいけない領域に足を踏み入れる。作家が残した日記の存在を妻から教わり、その妻の長年の思いを知って、日記をより魅力的に磨き上げて出版しようと持ちかける。そうして妻は、夫がひそかに胸の内を明かしていたAIと対話を始める。創作の難しさ、尊さとその魔力を描く意欲作だ。
脚本を手がけるのは、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了の上原哲也氏。脚本家・坂元裕二氏に師事し、「第50回創作ラジオドラマ大賞」(2022年)を受賞。本作がテレビドラマ初脚本となる。演出は平竣輔氏が担当し、こちらもテレビドラマの演出は初という。

夏帆が演じるのは、出版社「灯文舎」の中堅編集者・江藤恵。編集部に残留できるかの瀬戸際に立っている江藤は、1年前、大ヒット小説家・芹澤環の小説執筆にようやくこぎ着けたが、直後に彼が事故死。あきらめきれない中、芹澤の私生活をつづった日記の存在を知り、編集者としては一線を越えた行動に出ていく。
夏帆は、「演出の平さんと脚本家の上原さんが温めてきたこの企画が選ばれ、映像化することになりました。お二人ともこのドラマがデビュー戦です。創作に熱意のある現場で、脚本を読んで感じた不思議な手触りが、どのように映像化されているのかとても楽しみです」と撮影を振り返る。
そして、「あらすじを一読しても、どんな作品か見当もつかないかもしれませんが、このドラマにしか味わえない体験が詰まっていると思います。ぜひ楽しんでいただけたらうれしいです」と視聴者へメッセージを送った。

シルビアは、芹澤の妻・真理子役。草花に詳しく、ガーデニングが趣味だ。亡き夫が生前に書いたという日記を江藤に読ませ、触れたくても触れられなかった夫への思いと、彼が頼りにしていた生成AIとの出合いに駆り立てられ、江藤の驚くべき提案を受け入れる。
シルビアは、「撮影中は夏帆さんとAIと、とても濃密な時間を過ごさせていただきました。現代にあり得るこのAIとの関係性、まだあまり描かれていないこの世界観、演じながらとても興味深いと思いました。みんなで愛情を込めて育てたこの作品が皆さまに届くのが楽しみです」とコメントを寄せている。

一方、板尾が扮(ふん)するのは、熱狂的なファンを持つ人気ミステリー作家・芹澤。江藤の「灯文舎」での小説執筆を約束していたが、1年前に階段から転落死した。江藤に残した究極の一言が、彼女を呪縛することになる。
板尾は、「芹澤環を演じました板尾創路です。1年間かけて本作の準備をしたスタッフの皆さんに報えるようにとの思いでドラマに参加させていただきました。このドラマは小説家・芹澤環に登場人物全員が思いをはせる物語です」と役柄を説明。
続けて、「しかし、芹澤環の場面は冒頭のシーンに集約されていて、存在感を出すにはどうすればいいか悩みました。今も完成を見るまで不安と楽しみでモヤモヤしてます。衣装、メーク、小道具すべてに神経を使っていただき現場の皆さまに感謝しております。視聴者の心に残るドラマになればいいなと思います」と意気込みを示した。

松尾が担当するのは、江藤の上司にあたる編集長・林大輔。部としての売り上げ目標を考えるなかで、結果を残せていない江藤に異動の話を持ちかけ、そのことが彼女の運命を大きく変えていく。
松尾は、「少し前までは、AIはどこか空想の世界の話のように語られる存在でしたが、今ではすぐそばにある身近なものになっています。かつてSFとして楽しんでいた物語が、現実の延長のように感じられる時代になってきました」と時代の変化に言及。
加えて、「『ある小説家の日記』は、そんな変化をそのまま映し出しているようなドラマです。撮影中に感じた空想と現実の間でふわふわと浮いているような感覚はほかではあまり味わえないものでした。出来上がりをまだ見ていないので、3月8日にテレビで見るのが楽しみです」と作品への期待を明かした。

林は、「灯文舎」文芸編集部のアルバイト・新木翔役で登場。サボりがちな現代っ子だが、芹澤の大ファンであり、創作には深いリスペクトを抱いているという、意外な一面も持ち合わせている。
林は、「新木役を演じさせていただく林裕太です。描かれたものの中に描いた人の輪郭は存在するのか、そばにいる人のことを僕は理解していると言えるのか、台本を読んで、そんなことを最初に考えました」と台本を読んだ印象を語る。
そして、「人を理解するとは何か、思索しながら新木という役に向き合っていけたらと思います。自分と他者について迫る作品に、すてきなキャストの皆さん、スタッフの皆さんと一緒に挑んでいけるのが楽しみです」と撮影への思いを語った。
演出を務める平氏は、「『一つの日記をめぐる物語をやりませんか』。上原さんにそう熱く語られたあの日から、気付けば1年半以上が経ちました」と企画の始まりを明かす。
加えて、「夜な夜な企画について語り合い、好き放題に言葉を投げ、そのすべてを受け止め、形にしてくれた上原さんには感謝しかありません。そうして生まれた物語は、素晴らしいキャスト・スタッフの皆さんとの対話を重ねる中で、2人だけではたどり着けなかった場所まで羽ばたいてくれました。創作の難しさに何度も立ち止まり、それでも創ることの喜びを感じながら、出来上がったドラマです。誰かの日記を、そっとのぞくような時間を楽しんでもらえたらうれしいです」と作品への思いを伝えた。
また、音楽を担当するのは、作曲家、アレンジャー、ピアニスト、キーボーディストとして活動する髙位妃楊子氏。映画「岬の兄妹」(19年)、「さがす」(22年)、「雨の中の慾情」(24年)、連続ドラマW 東野圭吾「さまよう刃」(21年/WOWOW)など、シリアスで繊細な作品を手がける一方、アコースティックの質感とエレクトロニクスを融合させたポップなサウンドを生み出している。
髙位氏は、「AIの怖さに切り込むこの作品を前に、私自身も創作に伴う『怖さ』を抱えながら制作に向き合いました。今や奇妙さもなく人の表現にきれいに紛れ込み、時には自分でもたどり着けなかった言葉を代弁してしまうAI。自身の楽曲を模倣させる試みも重ねながら、新しい時代における音楽の価値とは何か、そして『共感』や『人間らしい良い曲』とは何なのかを問い続けています」とAI時代の創作について語っている。
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