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その色は「誘惑」か「宣告」か? 韓国ドラマ「ピンクのリップスティック」に隠された残酷な二面性2026/02/02 12:00

その色は「誘惑」か「宣告」か? 韓国ドラマ「ピンクのリップスティック」に隠された残酷な二面性

 韓国の復讐(ふくしゅう)ドラマといえば、感情むき出しの修羅場が定番だ。怒鳴り合い、髪をつかみ合い、グラスワインをぶちまける……そんな“分かりやすい激しさ”で憎しみを描く作品が多かった。

 ところが2010年、そんな復讐ドラマの王道をいい意味で裏切ったのが「ピンクのリップスティック」。大声も、取っ組み合いもほとんどないのに、なぜか背筋が冷える。そんな新感覚の復讐劇だ。

 主人公のユ・ガウン(演:パク・ウネ)は、裕福で心優しい“箱入り娘”。大学時代から付き合っていた恋人のハ・ジョンウ(演:イ・ジュヒョン)と結婚し、順風満帆な人生を歩んでいるように見えた。しかしその裏で、親友キム・ミラン(演:ソ・ユジョン)と夫が不倫関係にあることが発覚。しかもジョンウは、ガウンの父が経営するアパレル会社まで奪い取り、彼女を捨てる。

 ここから始まる復讐が、このドラマの最大の特徴だ。ガウンは怒鳴らない。泣き叫ばない。代わりに選んだのは、「完璧な笑顔」と「演技」。理性を失わないからこそ、むしろ怖い……そんな復讐が静かに進んでいく。

 ガウンを演じたパク・ウネの可憐(かれん)でつつましいパブリックイメージを根底から覆した本作が、BS11で2月6日から放送スタート(毎週木・金曜 午前10:00~10:55)。今なお色褪せない、現代のドラマにも通ずる、緻密な心理戦の魅力をひもといていきたい。

派手じゃないのに、なぜこんなに怖い? 復讐劇を変えた「静かなる恐怖」

ガウンが受けた衝撃の裏切り
①夫ジョンウの不倫
ガウンは大学時代からの恋人ジョンウと結婚し、幸せな家庭を築いていた。しかしその裏で、ジョンウはガウンの親友ミランと不倫関係にあった。

②養女ナリの出生の秘密
ガウンが愛情を注いで育てていた養女ナリ。
実はそのナリは、ジョンウとミランの間に生まれた実の子だった。

③夫のさらなる悪行
ガウンの家族を姑息(こそく)な策略で……。

 パク・ウネ演じるガウンは、復讐相手に怒りをぶつけることなく、むしろ相手が欲しがる言葉、信頼、安心感を与え続ける。そこには従来のドロドロ劇にはなかった、心理サスペンスのような不気味さがある。

 さらに視聴者は、ガウンの計画を知る“唯一の目撃者”として物語に巻き込まれていく。登場人物たちは何も疑っていないのに、こちらだけが行く末を知っている。その構図が、サスペンスとしての緊張感を最後まで途切れさせない。

かわいいタイトルにだまされるな「ピンク」が持つ、もう一つの顔

「ピンクのリップスティック」というタイトルは、一見するとロマンチックだ。ピンクといえば、恋や純粋さ、幸せのイメージ。でもこのドラマでは、その色彩は幸福の象徴ではなく、復讐や裏切りのメタファーへと転じている。世間知らずだったお嬢様が、裏切りを経て「魔性」へと変貌する。その変身装置こそが、ピンクの口紅だ。彼女は復讐心を隠すため、あえて可憐な自分を演じる。守ってあげたくなる女性でいるために、ピンクを選ぶ。

 鏡の前でリップを引く瞬間は、単なる身支度ではない。それは復讐へ向かう“出陣の儀式”であり、相手に死刑宣告を下す無言のサインだ。かわいらしさと残酷さが同時に立ち上がる、その瞬間の背徳的な美しさが、この作品を象徴している。

清楚派パク・ウネの豹変がもたらした衝撃

その色は「誘惑」か「宣告」か? 韓国ドラマ「ピンクのリップスティック」に隠された残酷な二面性


主人公:ユ・ガウン(演:パク・ウネ)
 太陽アパレル社長令嬢として裕福に育つが、7歳で弟が行方不明に。自身も誘拐され、両親は離婚。その経験から閉所恐怖症を抱え、実母とは音信不通に。また、8歳の時に父が再婚し、義母と異母妹ヨンウンと暮らしている。

ガウンの夫:パク・ジョンウ(演:イ・ジュヒョン)
 7歳で父を亡くし、貧困の中で育った経験から「必ず成功する」と誓う。勉強とアルバイトに明け暮れ、大学復学後にガウンと出会う。ガウンが太陽アパレル社長令嬢だと知り、彼女を“成功の踏み台”として利用することを決意。そんな中で、ミランと出会い、さらなる欲望へ傾いていく。

ガウンの親友:キム・ミラン(演:ソ・ユジョン)
 トラブルメーカーの母とアルコール依存症の父のもとに生まれ、幼い頃から家庭内の争いを見て育つ。8歳で両親の怒鳴り声に耐えられず、自ら施設に入るほど気の強い性格。貧しい環境から抜け出すために必死で勉強し、上昇を夢見る。ガウンの恋人とは知らずにジョンウにひかれていく。

ガウンの支援者?:ハ・ジェボム(演:パク・クァンヒョン)
 出生にまつわる秘密を抱えている。ホゴルが率いるホームショッピング会社で、本部長として活躍する有能なエリート。仕事では冷静で優秀だが、内面は情熱的で感性豊かなロマンチスト。ガウンとの関係は、最初は誤解から動き出したものの……。

ガウンの支援者?:メン・ホゴル(演:ドッコ・ヨンジェ)
 ホームショッピング会社とデパートを所有する大企業の会長。短気で血の気が多く、感情が爆発しやすい激情家で、これまで3度の結婚を経験している。ガウンは復讐を成功させるためにホゴルに近づく。

復讐劇の裏にある“家族の傷と再生”の物語

「ピンクのリップスティック」に潜む“家族の問題”まとめ
■ガウンと“家族の断絶”
実母は不倫の末に家を出てアメリカへ。その後、継母に育てられる複雑な家庭環境で成長。

■ガウンと養女ナリ
ガウンは愛情深くナリを育てるが、ナリは夫ジョンウと親友ミランの実の子だったという衝撃の事実が発覚。

■ミランと母の関係
ミランはトラブルメーカーの母とアルコール依存症の父のもとで育つ。

■ジェボムの出生の秘密
幼い頃に養子となり、自分のルーツを知らないまま大人になった男性。

 このドラマのもう一つの魅力は、復讐劇の裏にある“家族の傷と再生”の物語だ。血縁の裏切り、育ての親との絆、愛されなかった子どもの渇望、出生の秘密……これらが複雑に絡み合い、ただの復讐劇では味わえない深い余韻を生み出している。

 派手な展開に慣れた今だからこそ、この“静かな恐怖”は新鮮で、むしろクセになる。
復讐ドラマのイメージを覆す一本を、ぜひ自分の目で確かめてほしい。

【番組情報】

韓国ドラマ「ピンクのリップスティック」
BS11
2月6日 スタート
毎週木・金曜 午前10:00~10:55
※4月3日より毎週金曜 午後5:00~6:45(2話連続)
※BS11公式動画サイトBS11+とTVerで見逃し配信あり

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