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最年少主演・菅生新樹が語る新人銀行員の役作り──黒木瞳との共演で学んだことは2025/12/22 12:00

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主人公の銀行員・山田一役の菅生新樹/連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」

 12月27日・28日にWOWOWにて放送・配信される、ベストセラー作家・池井戸潤さんの「かばん屋の相続」を原作にした、連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」(午後10:00)。27日の午後11:00から放送・配信となる第2話「芥のごとく」は、全4話の中で最も若い銀行員・山田一が主人公で、演じるのは26歳の菅生新樹さん。

 4話すべてに主人公の働く男たちが対峙(たいじ)する取引相手が登場するが、山田が関わるのは土屋鉄商の女性社長・土屋年子。演じる黒木瞳さんから学んだことや、俳優としてのスタンスなど、さまざまな話を聞かせてくれた。

──出演が発表された時、「池井戸潤さんの作品に出演できる! すごくうれしい気持ち」とコメントされていましたね。

「(出演キャストが並んだ作品資料を見て)この資料、今初めて見たんですけど、『自分がこの中にいるのか…』とあらためて感じます。撮影中も思っていましたが、こうしてプロモーションが動いてくると、さらにその重みを実感しますし、4人の中の一人として主演をさせていただけることに感謝しかありません」

──主演4人の中で菅生さんが最年少、演じる役柄も新人銀行員です。役作りはどのように?

「台本を読んで意味が分からなかった専門用語がたくさんあったのですが、それをそのまま話すのは違うと思ったので、まずはしっかり調べて自分の中にインプットしました。ただ、今回の作品で描いているのは銀行そのものではなく、“銀行員”という職業を通しての人間関係だと思ったんです。なので、銀行員としての役作りは台本に書かれている言葉の意味を理解することでした。それ以外に重視したのは、山田が関わる取引先の具体的な姿をイメージすることでした」

──人間ドラマだと感じたからこそ、その関係性を深く理解しようとした。

「僕が山田を演じた『芥のごとく』は、いわゆるドロドロした展開が少ない話だと思ったんです。ハートフルな印象があることが、ほかの3話とは違う一番の見どころじゃないかなと」

──新人銀行員として頑張っている山田に共感する場面はありましたか?

「山田は実直でとにかく真っすぐ。目の前のことに対してもがいてもがいて、空回りもしちゃうし惑わされたりもする。でも、今は失敗だと感じることも、長い目で見たら失敗じゃないんですよね。僕も今、考えるより早く行動することを大事にしようと考えているので、山田が持っている物事に対する情熱には共感する部分がありました」

──そんな山田が体当たりで向き合っていく、女性社長・土屋年子役の黒木さんとのお芝居はいかがでしたか?

女性社長・土屋年子役を演じた黒木瞳/連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」

「今までも多くの大先輩方とお会いしてきましたけど、黒木さんはまた違う雰囲気をお持ちでした。現場に入って来られた瞬間、スタッフもキャストもすごくいい意味で引き締まるんです。『さあ、やろう!』という空気にさせられるから、黒木さんがいらっしゃる時は、みんながギュッと結束して撮影に取り組む。僕はまずそのオーラに圧倒されたんです。だから最初は会話もつたなかったと思います」

──その後、現場ではどのようなやりとりを?

「お芝居を通じて、黒木さんにさまざまな案を出していただき、ブラッシュアップしてもらった部分がたくさんありました。監督を交えて『ここはこうしよう』と話し合いをした上で、ドライ(カメラなしのリハーサル)ではテンポ感を意識した会話のキャッチボールをして。アドリブというほどではありませんが、会話でスムーズに感じない部分では、いかに自然なやりとりができるか相談させていただいて。僕が“つかみにいく”感覚がすごく強かったですね」

──緊張感ありますね。

「いや、でも、僕は先輩方とのお芝居がすごく好きなんです」

──というのは?

「僕にはまだまだ、自分一人で問題を解決していくのが難しい場面があります。そんな時、同世代とのお芝居だと経験値が足りない同士だったりするので、探り合いをしながら作り上げていく。それもすごくやりがいがありますが、先輩方が作ってくださる波に乗る瞬間にも面白みがあるんです。今回は黒木さんからたくさん勉強させていただいたので、次は、『かばん屋の相続』に出演されているほかのベテランの方々ともご一緒したいなと思いました」

──ほかの回のキャストの方ともお会いしたんですか?

「伊藤(淳史)さんの作品がクランクアップする日にたまたまその現場に居合わせたんです。ベテランキャストの方が多過ぎてビックリしました。僕より年下の出演者がいない! って(笑)」

──若手銀行員の活躍を描く「芥のごとく」、菅生さんが思う見どころは?

「どの作品も銀行だけにフォーカスが当たっているわけではないと思いますが、『芥のごとく』は銀行を交えた人間模様を描いている作風が一番強いと思います。銀行員に限らず、頑張っている若手の社会人は、上司や取引先との板挟みになることがきっとありますよね。だから、どんな方にも共感できる作品だとも思います。単体で見るのと全4話を見比べてみるのとでも印象が変わるんじゃないかなと。僕自身も、ほかの3作品を見るのがすごく楽しみです」

黒木瞳と菅生新樹の対峙シーン/連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」

──「芥(あくた)のごとく」は、“取るに足らないもの”“つまらないもの”といった意味がある言葉です。そんな言葉が使われている本作のタイトルを見て思ったことは?

「タイトルの意味を正しく理解できているか分かりませんが、池井戸先生流の言葉の紡ぎ方なんだと受け止めました。ただ、土屋鉄商に限らず、世の中にはすぐに淘汰されてしまうものがいろいろあるんだろうなと思ったんです。そんなニュアンスを込めた“芥”でもあるのかなとは思いました」

──菅生さんにとって、“はかない”と感じる出来事はありますか?

「僕は今26歳でまだまだ若い年代ですが、だんだんと年を重ねる中で、友達との関係性が変わってきたなと思うことがあります。昔は仲良かった人とも会話が合わなくなってくることがあって。これからも仲良くしていきたいのに、話がかみ合わない瞬間があるんですよね。30代に向かうにつれて、そう感じることが増えていくんだろうなと思うと、寂しいですよね」

──分かります。人生あるあるですよね。

「気分的には大人になったつもりなんか1mmもないのに、やはり26歳にもなれば子どもではいられないですから。バイトしかしていなかったような頃はたわいもない話しかしていなかった友達とも、今では会えば仕事の話しかしない。大人にならなきゃいけない時期なんだなと思うと、寂しいようなはかないような、そんな気持ちです」

【プロフィール】
菅生新樹(すごう あらき)
1999年8月26日生まれ。大阪府出身。2022年より俳優としての活動を開始。「凋落ゲーム」(フジテレビ系/23年)で初主演を務め、その後の出演作には、日曜劇場「下剋上球児」(TBS系/23年)、連続テレビ小説「おむすび」(NHK総合/24年)や「失踪人捜査班 消えた真実」(テレ東系/25年)などがある。26年1月8日スタートの連続ドラマ「人は見た目じゃないと思ってた。」(テレ東系)で主演を務める。

【番組情報】
連続ドラマW 池井戸潤スペシャル「かばん屋の相続」
WOWOW
2025年12月27日、28日
午後10時放送・配信(全4話)(第1話無料放送)
※第2話「芥のごとく」は12月27日 午後11:00~放送・配信

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取材・文/TVガイドWeb編集部

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