ソン・ジュンギとチョン・ウヒの繊細な演技が光る！　ロマンス作品「マイ・ユース」の魅力2025/09/09

　つらい青春時代を過ごした主人公が初恋相手との再会を経て、人生の温かい手触りやときめく心を取り戻していく「マイ・ユース（My Youth）」。「ヴィンチェンツォ」や「財閥家の末息子～Reborn Rich～」のヒットも記憶に新しいソン・ジュンギと、「彼女が泣けば視聴者も泣く！」と言われるほど共感性の高い演技に長けた実力派のチョン・ウヒの共演も話題の本作が、FODでの配信開始とともに注目を集めている。

　主人公のソンウ・ヘ（ソン・ジュンギ）は現在、生花店を営む一方、小説家として何作かの著書を世に送り出してもいる。静かで穏やかな暮らしを送っているかに見えるヘだが、子ども時代は芸能界で活躍した子役のスターで、あるトラブルに巻き込まれて母親を亡くして芸能界を去った経緯がある。以来、容易ではない人生を歩んできた彼の日常に明るい光を照らしたのが、高校生時代の同級生でありソン・ジェヨン（チョン・ウヒ）。ヘにとって、ジェヨンは初恋の相手でもあった。

　そんな2人が10年ぶりに再会し、お互いの人生を再び交錯させることで物語が動き出すのだが、日本での配信を前に来日したソン・ジュンギは、記者会見の席で「幼い頃にいろいろな心の痛みを受け、いろいろな人の裏切りを経験し、大人になっても痛みを引きずっている」と役柄を説明。「ソンウ・ヘにとっては子ども時代の記憶のほとんどがネガティブなもの。その中で唯一ときめきを感じられるのが、ジェヨンとの思い出なんです」とヒロインとの関係についても言及した。一方、彼の光となる存在をチャーミングに演じ、ソン・ジュンギと共に会見に出席したチョン・ウヒも、「未熟な2人が恋によって成長していく物語です。ご覧になる方々も、きっと彼らを応援したくなるのではないでしょうか」と、主人公2人のロマンスに期待を持たせた。

　主演2人の言葉通り、このドラマの魅力はソンウ・ヘとソン・ジェヨンが織り成すストーリーにある。もどかしくも愛らしい心の機微を絡ませ合っていく彼らのやりとりはもちろん、周囲の人々との関係の行方も見どころ。「ユミの細胞たち」のイ・サンヨプ監督と「それでも僕らは走り続ける」の脚本を手掛けたパク・シヒョンが、心の奥底をくすぐってくるようなヒューマンドラマの味わいをもたらす。ちなみに、ソン・ジュンギいわく、ジェヨンは「とても明るく、健康的で、ラブリーで、ヘを息づかせてくれる存在」。一方、チョン・ウヒによると、ヘは「繊細で、優しく、物腰の柔らかいエストロゲン男子（笑）」だそうだ。

　“エストロゲン男子”と“息づかせてくれる存在”のロマンスなのだから、当然ながら雰囲気は柔らかくなってくる。波乱や困難、それに伴う痛みや切なさはあるものの、2人のいる世界はどこまでも人間味にあふれていて、優しい。それはイ・サンヨプ監督の人柄にもよるそうで、「監督はとても叙情的で、ソフトな方」とソン・ジュンギ。チョン・ウヒも「監督と一緒に、ワンシーンずつ作り上げていく感覚がありました」と撮影現場での雰囲気を振り返り、その空気感が作品にも直結していることを示唆した。

　ただし、全12話が終始優しく、穏やかに進むわけではない。そもそも、ヘとジェヨンが再会したのは、現在のジェヨンが芸能事務所で働き、過去にヘと共演経験のある女優のマネジャーを務めているから。ジェヨンと再び関わり合うことは、ヘにとって、一度は去った芸能界と新たな関わりを持つことを意味する。また、ソンウ・ヘを取り巻く人間模様は思いのほか複雑で、心の離れた実父や父の現パートナー、さらにはパートナーの息子とも無縁ではいられない。ねじれた人間模様、それぞれのキャラクターが抱える胸の内も、物語に欠かせない要素となってくる。そんな中、有能なビジネスパーソンであるジェヨンのお仕事事情も浮き彫りに。シンプルな美しさをたたえながら、シンプルなだけではない人生を突きつけもするストーリーを、主演2人の繊細な演技とともに楽しむことができる。