悲しみを乗り越えて…宇都宮がBリーグ最多3度目の優勝に輝く!2025/05/30

2024-25シーズンの王者を決める「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2024-25」は、シーズン最高勝率の宇都宮ブレックスと天皇杯王者の琉球ゴールデンキングスという顔合わせになった。ともに優勝経験のある強豪同士。まさに東西の横綱がぶつかる頂上対決は、予想通りの大激戦となった。
2戦先勝方式で争われるファイナル。GAME1では宇都宮が、得意の3ポイントシュートを40%超の高確率で決め、さらにはルーキー小川敦也選手が15得点の活躍を見せて、81-68で宇都宮が先手を取った。
続くGAME2。前半は宇都宮にリードを許すも、琉球が意地の粘りを見せて75-87で逆転勝利を収めた。試合終盤、ベンチプレーヤーの荒川颯選手の連続3ポイントシュートで一気に突き放した。これで1勝1敗。勝負は運命のGAME3へと持ち込まれた。





中1日の休養を挟み行われたGAME3は、平日開催にもかかわらず会場の横浜アリーナには13,159人の観客が詰めかけて超満員。両チームのファン・ブースターの大声援の中、試合も白熱した展開に。前半は宇都宮のシュート確率が悪く、琉球ペースで試合が進む。じわじわと点差を広げて28-40。琉球が12点リードで後半へ。
琉球の桶谷大ヘッドコーチ(HC)が「うちのターンオーバーはちょっと危惧していた」と、試合後の会見で語ったように、第3クォーターでは、宇都宮のアグレッシブなディフェンスで琉球のターンオーバーを誘い、宇都宮が追い上げを見せる。


第4クォーターに入ると、D.J・ニュービル選手(宇都宮)のテクニカルファウル、ジャック・クーリー選手(琉球)、ギャビン・エドワード選手(宇都宮)のファウルアウト(退場)など、さらに激しさが加速する。両チームともに総力戦の中、勝負を決めたのは宇都宮のダブルエース、ニュービル選手と比江島慎選手の3ポイントシュートだった。特に比江島選手は、GAME1、GAME2とエースらしい活躍ができず苦しんでいて、さらにはこのGAME3の前半も無得点。その苦しい中でも、後半だけで17得点と爆発力を見せ、勝負所で決めるあたりはさすがエース。会場のボルテージも最高潮に。最後の最後、琉球も3本のフリースローで同点に追いつくチャンスはあったが、ケヴェ・アルマ選手が2本目を外し、最終スコアは73-71で宇都宮が大逆転勝利を収めた。ロースコアながら、最後の最後までどちらに転ぶかわからない、バスケットボールの魅力が詰まった名勝負に、会場のファン・ブースターからは大きな拍手が寄せられた。





これで宇都宮はBリーグ史上最多となる3回目の優勝。また、シーズン最高勝率のチームが優勝したのも初めてとなり、「完全優勝」を達成した。今季の宇都宮は、シーズン中にヘッドコーチを務めていたケビン・ブラスウェル氏が病気で急逝するという厳しい状況の中での戦いを強いられた。その悲しみを乗り越えて、チーム全員が「ケビンのために」という思いで勝ち取った優勝は特別なものだったに違いない。比江島選手は「ケビンが最後の3ポイントでは後押ししてくれて、アルマ選手のフリースローの場面ではプレッシャーを与えてくれた」と振り返り、亡きヘッドコーチの見えない力があったことへの感謝を述べ、さらには「難しい状況の中で個性派集団のチームをまとめてくれた」と、ジーコ・コロネルヘッドコーチ代行にも敬意を表した。
以下、GAME3終了後の両チームの選手・ヘッドコーチのコメントを紹介する。

岸本隆一選手(琉球)
「4年連続でファイナルに来られたということは、間違いなくチームのスタンダードが上がっている証明にもなったと思う。(準優勝は)もちろん望んだ結果ではないですが、自分たちのここまでの過程はいいものだったと思う。個人的に、けがのためファイナルの舞台でプレーできなかったことに対しては、すっきりしていないので、今後の自分の力に変えたいと思います。今季を振り返ると、イタリア遠征、EASL(東アジアスーパーリーグ)など、いろんな経験ができたことでチームにとっては実りのある時間になりました」

松脇圭志選手(琉球)
「今日は比較的いいシュートタッチでできていました。第4クォーターは、シュートというよりも自分たちのディフェンスをやるべきだと思っていて、そこの部分で、相手に流れが行った時にチームとしてハドルを組むとか、細かいところで差が出てしまったのかなと。シーズン序盤は11人で始まったチームが、こうやってファイナルの舞台に来れたことは誇れることだと思うし、チームとしてやってきてよかったなと思います。勝ちたかったというのが本音ですけど、チームはいい方向に進んでいったかなと思います」

小野寺祥太選手(琉球)
「この試合は3ポイントをやられてはいけないというのがあった中で、最後にビッグショットを決められて…。コミュニケーションがうまくいかずにギャップを作られたのかなと。率直にこのチームで勝ちたかったというのは感じました。このチームは、誰か一人に頼るのではなくて、日替わりでヒーローが出てくるチームで、そうやってレギュラーシーズンを勝ち進んできました。ファイナルでも荒川選手がXファクターになりました。本当にこのチームで優勝したかったです」

桶谷大ヘッドコーチ(琉球)
「今日の前半は自分たちのペースでいいバスケットができたと思います。ただ前半から、ターンオーバーはちょっと危惧していて…。第3クォーターに、うちのターンオーバーで得点が止まったところから、じわじわと宇都宮さんにやられたという感じ。最後、3ポイントをケアしないといけない2人(ニュービル選手と比江島選手)にやられました。選手たちは本当によく戦ったと思います。最後に(優勝という)結果はほしかったですけど、シーズンを通しては、本当に大成功と言えると思います。間違いなく、みんなが持ち味を出して、役割をしっかり担ってプレーして、全員が成長するチームになったこと。これはどのチームでもそういうチームを作りたいと思っていると思いますが、難しいことです。ここまで来られたのは選手みんなのおかげです。また、ファン・ブースターの声援あっての、今日のゲームだったと思うので、ファンの皆さまには本当に感謝したいです。キングスは、ファンも含めて総合力のチームだと思っているので、これからもみんなと一緒に沖縄のために、キングスをもっと強いチームにしていきたいです。僕たちの試合を見てくれたファンの方が、何かエネルギーをもらえたとか、キングスに入りたいとか、沖縄のために何かしたいと思ってくれたら、そんなふうになっていったら素晴らしいことだと思います。勝ち負け以上のエネルギーを与えられていたらいいですね」

田臥勇太選手(宇都宮)
「いやー、すごい試合でしたね! 最後の最後まで誰一人として諦めずに戦った結果と、ファンの方の後押しと、あとは本当にケビン(・ブラスウェルHC)が勝たせてくれたと思っています。うちのダブルエースの1人(比江島選手)が、なかなかエンジンがかからなかったですけど(笑)、それでもみんながマコ(比江島選手)のことを信じていたし、絶対にやってくれると思っていたし、そのために周りもサポートしていました。勝負どころでやってくれたのは、さすがですね(笑)。これもケビンが比江島選手のお尻をたたいてくれたんじゃないかと思います。3回目の優勝ですが、今回もまた特別なものになりました。第4クォーターの終盤は、とにかくケビンの力が必要だと思って祈っていました」


比江島慎選手(宇都宮)
「本当に苦しい苦しい展開だったんですけど、それでも前半は我慢して相手についていきました。自分も相当迷惑を掛けましたけど、最後にチームを助けることができて良かったです。僕のためにいろいろサポートしてくれたチームのみんなに感謝していますし、全員で勝ち取った優勝だと思います。第4クォーターは、ただ、がむしゃらにリングだけを見てアタックしようという気持ちで臨みました。強気でプレーすること、チームメイトのため、ケビンのためという思いでプレーしました」


小川敦也選手(宇都宮)
「自分にアドバイスをくれたり、自分がミスしてもカバーするからと言ってくれる先輩たちに出会えて自分は幸せだなと。そういう先輩たちに恩返しをしたいという思いがありましたし、今日は自分の力をコート上で出して、優勝できて幸せでした。今季は自分がクリエートしたり、ドライブをして周りを生かしたり、そういう自分が起点になる部分でステップアップできたと感じています。ファイナルでは、GAME1は得点を取ることができましたけど、GAME2とGAME3では得点が減ってしまったので、そういう波を減らすことが今後は求められると思います。(ケビン・ブラスウェルHCからは)試合に出られなかった時期に『お前はビッグになれるからもっと自信を持て』とずっと言われていて。それを信じ続けて、自分もこういう大舞台でシュートを決められたので、自信を持つことの大事さを改めて感じました。(比江島選手について)本当に一緒にプレーできて幸せですし、日本一のエースだと思っています。マコさん(比江島選手)も本来の力を出せていない逆境の中で、後半だけで17点決めて、改めてカッコよかったです!」

遠藤祐亮選手(宇都宮)
「いやー、うれしいですね! 前半は駄目なところばかりが出ていたけど、それでも誰一人下を向いていなかったし、最後の最後まで自分たちは勝ち切れると自分たちを信じていました。ケビン(・ブラスウェルHC)が言い続けていた、良い習慣をやり続けてきて、その成果が最後に出たんじゃないかと思います」


D.J・ニュービル選手(宇都宮)
「競争の激しい厳しい試合でしたが、本当に素晴らしい試合になりました。チーム、コーチ、スタッフのみんなを誇りに思います。劣勢の中でもチームメートを信じて、チームが一丸となってプレーできたことが勝機を生んだと思います。逆転の3ポイントシュートについては、コーチが自分を信頼してくれて、自分にボールを託してくれたので、決め切れてよかったです。あのシュートは、お互いを信じて一丸となってプレーするという、今までやってきたこのチームを象徴しているなと感じています。今までやってきた練習を信じて決めることができました。あの瞬間は魔法のような時間でした」

ジーコ・コロネルヘッドコーチ代行(宇都宮)
「まずは、4年連続でファイナルに進出された琉球ゴールデンキングスにおめでとうと伝えたいです。本当に素晴らしいチームで、自分たちにとってはそれを越えていくという難しいタスクでしたが、その難しいチャレンジを与えてくれた琉球さんにまずは感謝を述べたいと思います。試合序盤は、なかなか流れが来ずに、苦しい時間帯が続きましたけど、あきらめずに戦い続ける気持ちを持ち続けることができました。そのおかげで、後半は相手のターンオーバーを誘発して、自分たちの得点につなげることができました。第4クォーターは、2日前に言ったように比江島選手がやってくれました。今日の第4クォーターのパフォーマンスは本当に素晴らしかった。あのパフォーマンスができるからこそ、われわれは彼のことを『コービー(・ブライアント)』と呼んでいるのです」
今回のファイナルは、バスケットLIVEなどで見逃し配信も行われているので、見逃した方はもちろん、もう一度余韻に浸りたい方もぜひチェックしてもらいたい。
【配信情報】
「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2024-25」
●見逃し配信
バスケットLIVE https://basketball.mb.softbank.jp/
U-NEXT https://video.unext.jp/league/LEG0000014
J SPORTSオンデマンド https://jod.jsports.co.jp/basketball/bleague
DAZN https://www.dazn.com/ja-JP/home
TVer(GAME1 ※6月1日 午後3:59まで) https://tver.jp/series/srvlpl4scb
NHKプラス(GAME2 ※6月1日 午後3:30まで) https://www.nhk.jp/p/bleague/ts/KXJ2JGY6WW/plus/









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