金子ノブアキがドラマ「スモーキング」を語る。「血も流れますけど、流れ出ているものは心」

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 テレビ東京で放送中の石橋凌主演の木ドラ25「スモーキング」(木曜深夜1:00)は、岩城宏士氏の同名漫画を原作に、同局と動画配信サービス・Netflixがタッグを組み、法や国家権力では裁くことのできない悪を、依頼を受けて暗殺するアウトロー集団・スモーキングの活躍を描く。スモーキングは、ターゲットの体から入れ墨の皮を剝がす“剝ぎ師”でリーダーの佐辺重蔵(石橋)、重火器から廃棄弁当まであらゆるものを調達する“物足師”八丁(金子ノブアキ)、素手で悪党をつぶしまくる“潰師(つぶし)”ゴロ(丸山智己)、劇薬から生薬まであらゆる薬を作る“薬罪師”ヒフミン(吉村界人)の4人。このほど、撮影中のロケ現場で、スモーキングの一員・八丁を演じている金子が取材に応じた。

「最初にお話を頂いた時は、関西弁のキャラだったので、僕は関西弁のセンスがないのでお断りしようと思ったんです。でも今回の映像化では、原作の人物設定を深く掘って、キャラクターの過去であったりとか、そういうところが明らかになるんですね。そういった話をお聞きする中で、この設定ならやれるのではないかと。また、この現場は、監督はじめ主要スタッフに古くから縁のある人間が非常に多くてですね、『これは、頑張りたいな』と思って、はせ参じた次第でございます」と、ドラマへの出演の経緯を明かした。

 八丁というキャラクターについては、「いわゆる狂言回しのキャラクターで“口八丁”ですね(笑)。その裏に何があるのか?ということですよね。その裏には深い闇が落ちているのか、すごく悲しいことがあったのかとか、そういう側面からキャラクターを作るということが、このドラマ版のトピックの一つなのかと。プラスして目標は、やはり“原作ありき”のものなので、こっちでいくら広げたとしてもその先には原作に帰ってもらえるようにというところは絶対に失いたくないので、監督や制作の皆さんと話を密にしながら、現場でディスカッションしていますね。原作の岩城先生もそれでやってくれて構わないと言ってくれてるんですけれども、やっぱりそこは、ちゃんとリスペクトしてやらないと、とても良くないことだなと思うので。特に、過去の描写であったり、原作で描かれていない先の物語を描くのはとても珍しいですよね。そこは特に僕も力を入れて、そこがあるから、普段チョケてる(ふざけてる)という。やっていて目標があるし設定できていたので。単純にそういうキャラクターというのだったら、僕は何をどこへ設定すればいいのかをもっと迷っていたかもしれないですね。明確な目標が一つあったので、もう一度原作に戻れるようにという、そこをループ化してくれたらいいなということは、これは実写化の常ですけれどね」と、原作のあるキャラクターを演じる際の思いを告白。

 そして、原作にない部分を演じることには、「ここは監督とかに話を聞いていただきたいんですけど(笑)。本当にこの撮影クルーはそこを付き合ってくれる人たちで。もう、ずっとその話をしている。『この人は、こういう場合どうするだろうか?』とか、脚本段階から現場に行って、結構マイナーチェンジがあったりとかしますけど、本当にそこが柔軟でしたね。スケジュールもものすごくタイトで、同じシチュエーションのシーンをまとめて撮っていってしまうという手法だったので、綱渡りで僕らが作っていける喜びとともに、基本的にみんなハードディスクパンパンの状態で楽しかったですけど。ただそれは撮影日数も限られた中でキャラクターと常に寄り添って、寝起きを共にしてたような感じでしたね。密度が濃いから逆にそうなれたのかもしれないですよね」と苦労も楽しさの一つだったという。

 作品性については「大きなテーマの一つに“ノワール”ということをクランクインする前から、皆さんおっしゃられていたので、『ノワールを描きたいんだ』というのがキーワードですね。撮り方もそうですし、エピソードで見せていくみたいな。説明とかもしないところはしないし、ポンと置かれている何かがあったりとか。いわゆるコンプライアンスみたいなことも含めて、すごく勇気あるプロジェクトだと思うし、今、こういうものが作られていかなければいけないという気概をすごく感じたので、そこは現場の中に大義みたいなものは確実に生まれていましたよね。強い現場でしたね。気力・体力的には相当ハードでしたけど、楽しかったですよ」とテーマ性を力強く語った。

 さらに「自分の意見が通りやすい現場だった」と言い、「せりふの変更とかに関しては、このノリで違う現場に行ったら、怒られるかもしれないなというくらいガンガンガンガン言う(笑)。まあ、キャラクターのことを考えると居ても立っても居られないというかね。『これは言わないんじゃないかな』とか。脚本を書いてる時点では、そこまでイメージつかないですからね。現場で起こっていることが最前線だったりするので、それを現場全体で守ってくれたというのは『書いてることを言ってください』というのじゃなくて、『生きたせりふにしようよ』ということを、特に過去とのつながりがあったりした時に、結構大事なせりふとかも1人称が変わったりするだけで全然変わるんじゃないかとか。細かいところですけど、全員でそのへんは、演出じゃないですけど肉付けをさせてもらえたかなと思って。“ものを作る喜び”というんですかね。僕が現場をすごい好きな理由は、プロセスが好きなんですよね。もちろん結果が出て、褒めてもらえて、いいことがこのチームに起きたら、それは最高の報酬だよ、と思うけど、やっぱり、このプロセスが最高に好きで」と、一体感をもって作品が作られる過程を話した。

 また、石橋との共演について「凌さんと共演するのは初めてで、バンドマンとしても超大先輩なわけで、やっぱり一つ一つの振る舞いとかから学ぶことは多いですね。僕が、あと20何年かして凌さんくらいの年になった時に、何が見えてるんだろうとか。やっぱり演技の一挙一動を見ていても、八丁からひっぺがされて素の自分に戻ってしまいそうになるくらいの迫力のある瞬間はありました。それくらいのすごい方ですね」とリスペクトする気持ちを表した。

 自身も大満足のシーンが撮れたこともアピールし、「キャラクターの過去が原作以上に明らかになっていく。そこの描き方というのが、壮絶なものが多くて、僕も本当に命を削るような思いで『すごく良い感じだな』とやりながら思ったし、きっと僕のこの先のキャリアを振り返った時に、VTRでダイジェストで流したら、きっと出てくるだろうというシーンが撮れましたね。だから、悪い意味ではなく、7割がた登ったところで、すごく安心して途中から『もう大丈夫だろう』と。『一番大事なところは撮れてるね、監督』って言って、『よっしゃ!』という感じで途中から行けたので、これは楽しみにしていただいて(笑)」と述べた。

 最後に、「こういうゴア表現。いわゆるバイオレンス表現とか暴力・グロテスクなものというのは、基本的にはそれを見せたいわけではないんですよね。人間の繊細な部分だったり、愚かしい部分の描写だったりするので、違った角度からメッセージがあるというのを見ていただけたら。後半にいくにしたがってパズルがどんどんはまってあらわになっていき、そこは本当に血も流れますけど、流れ出ているものは心だったり。それは正直に撮れたんじゃないかな。変な言い方ですけど、すごく優しい作品だと思うので、心根は。そういったところは最後に残ると思いますね。見終わった後に『何か優しいな』という感じで終わるのかもしれないですよね。それを願って作ってるし、そうなってるんじゃないかな。まだ編集もこれからなので、全然変わっちゃったら困るけど(笑)」と、本作への思いとともにその本質について熱く語った。

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