永作博美、樹木希林らが糸島で会見
NHK福岡の地域ドラマ13作目に出演

博多ニュース

 2015年12月4日、11日にNHK総合テレビ九州・沖縄ブロックで午後8:00から放送する「いとの森の家」。NHK福岡放送局が毎年制作している地域ドラマの13作目だ。舞台となる福岡・糸島で、11月3日に出演者らが会見。永作博美、樹木希林、渡辺真起子、濱田ここね、制作統括の福島広明氏、演出の木寺一孝氏らが出席した。

 最初に福島氏が概要を説明。「NHK福岡が毎年取り組んでいるドラマ。県内の一つの地域を舞台にして自然、歴史、文化、風習、産業を背景に、そこに住む人の魅力とか、時には悩み、希望を描きます。今回13作目で、糸島を舞台にすることはもちろん、前後編とすることも初めてです。原作がございます。少女時代に(糸島に)住まわれた歌人で作家の東直子さん。そこへ35年後の主人公の姿を重ねました。現在と過去が交錯するような構成で、生きること、死ぬことをちょっと立ち止まって考えられるようなドラマになっています」。

 続いて木寺氏が「今春企画し、糸島の取材をしているうちに、太古の昔から(ここは)人が集まってくる場所だと気づかされました。バブル崩壊後だとか、震災後だとか、この場所に惹(ひ)かれて移住者が集まってきていると。自然に触れることで、自分を見詰め直す、生きている実感が持てる、そんなドラマができないものかと。俳優陣と天候に恵まれて、糸島の自然の息づかいみたいなものが映像に取れました。人々が少し立ち止まって、自分の人生や日常を振り返って、少しでも前に進めるようなドラマになればいいなと思っております」と語る。

 永作博美「街の中に住む一主婦の役をやらせていただいています。その主婦が幼少時代の友人に戻ってこないかと言われ、糸島に戻ってくるところから始まります。そこで、現実と過去を行ったり来たりしながら、また新たな家族の道を探していく役回りです。話をいただいたときに、みずみずしく、清々しくキラキラした内容なのに、はっきりとした鋭い現実がグサッグサッと入ってきて、その差に魅力を感じて…。そして糸島という、今回初めて存在を知ったのですが、調べていくうちに興味が芽生え、参加させていただくことになりました。天候にも恵まれて撮影は順調に進みまして、気持ちよく過ごさせてもらっています。もう終わってしまうんですけど。この作品は、過去を振り返ることでリセットするタイミングというか、きっかけを見つけるような? 作品になっているかと思います。みんなが生活している中で、助けというか、支えというか、なにかちょっとつかまれるようなものになれたらいいなと思って、あと一日がんばっていきたいと思います。ありがとうございます」。

 樹木希林「糸島の話と聞いたときに、日本の国の成り立ちの糸口になる場所だなぁと、漠然と思っていましたので。ここから中国や韓国からの文化が入ってきたんじゃなかろうか、と面白がっておりました。同時に、監督がドキュメンタリーを主にやっている人ということで、大変不安になり、後ずさりしましたが、非常に強引なことで、やっていました。結果は分かりません。見てのお楽しみということで、(濱田)ここねちゃんに譲ります」

 濱田ここね「こんにちは。加奈子の幼少期役を演じさせていただいています。東京から糸島へ引っ越してきて、クラスになじめない役なんですけど、それを自分から変えようとがんばる役どころです。役が自分にちょっと似ているところがあって、すごく演じやすく、撮影しました。初めて糸島に来たんですけど、福岡もお仕事ばかりで、プライベートであんまり来たことはないんですけど。糸島は本当にいいところで、なんか空気もきれいだし、人も優しいし、海もきれいだし、あと食べ物が本当においしいんです。味からも人の良さというものが伝わってきて。撮影がすごく楽しくて、みなさんによくしていただいて、終わるのがすごく寂しいんですけど。すべてが詰まったドラマだと思います」

 渡辺真起子「(濱田が)とても立派なあいさつがありましたので(手短に)。大人の咲子役をやらせていただきました。糸島に人が集まってくるということは、そこに迎える人がいることだと思います。温かいお言葉をいただきまして、楽しく仕事することができました。ありがとうございます」

 出演者の一人で福岡出身の中村蒼のコメントも紹介された。「今回の作品で僕は生と死について考えさせられました。個人的な意見ですが、生きていくのは大変なことが多く、うまくいかないことばかりだと思います。この作品は、そんな時、足元にたくさん転がっている幸せにしっかり気がつけるかが大切なんだな、と台本を見て思いました。僕がそう感じたように見る人もそれぞれ感じることがあると思います。糸島の素敵な景色とこの作品に込められたメッセージがみなさんに届いてほしいなと思います」

 さらに原作者の東直子のメッセージも紹介された。「『いとの森の家』は私が小学生の時に家族で一時期住んだ糸島でのできごとを元に書いたものです。たった一年あまりのことだったんですが、随分時間の経った今でも、とても濃密に当時のことを覚えています。空が広くて、濃い緑の恵み、透き通った水の流れる、糸島の豊かな自然と深い歴史。面白いクラスメート。明るくて温かい大人たち。そして、おハルさん…。どうしてこんなにいろいろなことを覚えているのだろうと、自分自身に問い掛けるように書き始めました。原作では子どもの時代のことのみを、たんたんと味わうように書きました。ドラマ化に当たって大人になった加奈子が登場するようです。私一人の脳内から発した言葉がたくさんの人の手を経て、役者さんの体を通し、新しく生まれ変わるのですね。とても楽しみにしています」

――糸島ロケに関するエピソードを教えてください。

渡辺 空も海も山もすべていっぺんに見えて、人の笑顔がたくさんあったということが印象に残っております。温かいご歓待を、この土地から受けたんだなと感じます。
濱田 空がとてもきれいな色で…。
樹木 (濱田の出身地の)宮崎はきたないの? (会場爆笑)
濱田 いえいえ。なんか理想の風景の中にいられるって幸せだなって感じられました。
樹木 福岡と唐津を(プライベートを含めて)行ったり来たりしたんですが、呼子のイカ、糸島にはないんですよね。私はなんかおいしいものを食べ損なったの。残念。
永作 (樹木に向かって)今日、まだ時間はあります。大丈夫です、食べられます。
樹木 そう。
永作 はい。(正面に向き直って)糸島はとにかく人も木も海も何もかもが自由な感じがします。それがいて気持ちいい。そういうところが私は大好きですね。
樹木 観光協会の方がいらして、いろいろ案内してもらっているんですが、私は(ドラマ内の)家のセットを、ぜひみなさんに見てってもらいたいし、なんかあれ、ほんとにNHK、あればっかりにお金かけたから、こっちに回ってこないじゃないかと。あれはもう、もったいないくらいのできだと思いますね。

――撮影中、思い出に残った場所は?

樹木 じゃあ私からね。私は、その「いとの森の家」しかいなかったから、とても思い出深い場所でしたね。ここを貸していただけたというのが。こんなにいいロケセットというのは近来ないですね。大体、私が出てくるのは団地とか、ばっかりで。
濱田 おハルさんの家は、セリフが長いシーンとかもいっぱいあって、すごく印象に残っています。
渡辺 「ラスティック・バーン」という志摩桜井にある(店を使った)セットで仕事していたんですけど、役柄の人物の住居兼カフェという設定で、持ち主の方の愛情を込められた場所というか、そういう意味で印象に残っていますね。たくさんの古いお家を拝見するんですけど、緑と時間がかかって、そこにある何かというのを見たなあという気持ちでおります。
永作 私もハルさんの家が印象的でしたね。あそこだけ別世界で。すごいセットだと思いました。ぜひ見ていただきたいですね。そして、今言っていた「ラスティック・バーン」も居心地がよくて。それは人がきちんと作り上げてきた美しさ、力強さがあって。

――永作さんは福岡との関わりはありますか?

永作 お仕事で何度か、お邪魔しているぐらい。でも福岡は何ですかね、街がきれいだなって印象があります。それでみなさん柔らかい。あと、博多弁がとても好きで、なんか柔らかくて、気持ちいいなと。

――特に好きな言葉は?

永作 友達が「好いとおよぉ」って言っていて、なんか、その時は笑いながら聞いていたんですけど、その飾らない柔らかさが残っているんですかね、あれが異常に残っています。

――35年前の場所を訪れる役柄ですが、ご自身が行きたい場所は?

永作 自分の場合も田舎なので、家は。田舎の風景を思い出しますけど、どこかと言われれば難しいですね。

――ご自身の体験と照らし合わせるようなことは?

永作 なんか山の中とか入っていくと、思い出しますね、勝手に。家の方は湖なんですけど、茨城県の実家のすぐ裏が霞ヶ浦なんですけど、水や森がある風景は非常になじみ深いです。
樹木 あのね、博多弁が柔らかいって言ったでしょ、私の友達は中洲でクラブのママをやっているから、すごいよ博多弁。激しくて、あれもいいわよね、かっこよくて。
永作 はい。あれもいいですよね。きれがよくて。
樹木 方言って、その土地の人がしゃべると素敵よね。

――皆さんがパワーをもらえる場所やものがあれば?

樹木 なければいいんですよね? (会場爆笑)
渡辺 私は東京生まれ、東京育ちなので、やはり東京。少し寂しい気もしますけれど、風景のいい場所に行って、ビルだらけの東京に帰ったときも、やはりここが私の故郷だなって思ったりします。
永作 ここねちゃんの故郷の宮崎県にとても感動した思いがあって、そこも木が、自由に生えまくっていて、なんて力強いんだろうと思いましたね。田舎の力強い風景を見ると心休まる気がします。安心するというか。
樹木 やっぱりね、外国に行くと日本ってすごい国だなと、風景も空気も水も、それから食が。どんなに安いアレでも一定の信用度があるものが出てくる。勝手にすごい国だなとは思いますね。
濱田 私も宮崎出身なんですけど。たまに帰ると「ここねちゃんだ、がんばってね」と(声をかけられて)、それを聞くと心が温かくなるので、みなさんが応援してくださるので、私もがんばろうと。辛いときも、それを思ってがんばるようにしていて…。
樹木 (濱田に向かって)世間の目って気になる?
濱田 ちょっと気になります。
樹木 そう。(向き直って)偉いの、この子はね、礼儀正しくて、お辞儀ばっかりしてるの。ちっちゃいときから、そんなにお辞儀しなくていいのよ。子どもなんだから、もうちょっと野放図にいてって、難しい注文を出したの。でも、いいものいっぱい持っているから、これをなくならないように育ってほしいなと思います。

――好きなセリフと、そこに込めた思いを教えてください。

樹木 私はね「なんでもないことが一番大事なのよ」っていうことかな。
永作 そうですね。私も。
渡辺 私もそのセリフですね。
樹木 (濱田に向かって)人の顔色見なくていいから。
濱田 はい。「おハルさん」って呼ぶセリフが好きです。なんかお母さんに会いにいくようなセリフだなって思います。
樹木 (濱田に向かって)ちょっとやってみて。
濱田 おハルさん!
永作 (笑顔で濱田を見つめた後)それから、いろんなものが詰まった俳句がたくさん出てくるので、そこもしっかり噛みしめていただければと思います。

――みなさん、ありがとうございました。

樹木 (おもむろに立ち上がって)この前掛けなんですけど、ジブリの宮崎(駿)さんがしていたものをもらってきて、衣装に使いました。あの方の方が背が高いんで、ここ(胸の部分)を私が縮めて着ております。なかなか面白い出合いだなと思いました。

――樹木さんから願い出たんですか?

樹木 前掛けをいっぱい持っていらっしゃるようだから「どうせ(たくさんは)いらないでしょ」と言ったら「(慌てたように)ああああ。僕はいいですけど、くださった方に悪いので」と。「それじゃ忘れてください」て言っていたら…、送ってきたのよね(ニッコリ)。どこかで使えないかなと思っていたら、今回ちょうど。
永作 どこかジブリっぽいなと思っていました。

 出演者のさまざまな思いが詰まったドラマは、10月12日から会見翌日の11月5日まで、のべ17日間、全編糸島ロケで撮影された。地元エキストラの方も51人出演する。「福岡の地域ドラマで一つのセットにここまで力を入れたのは初めてです」と福島氏が語る“森の家”も注目だ。

〈あらすじ〉
 東京で満たされない日々を過ごす主婦・加奈子の元に、小4の1年間を共に過ごした親友・咲子から突然連絡が入る。ぜひ(福岡県)糸島に来てほしいというのだ。都会育ちの加奈子にとって、35年ぶりに訪れた糸島は、咲子と時を忘れて飛び回った思い出深い場所。生と死が交錯する糸島の風土を当時のように追体験していく中で、森の家に住み、自然の化身のようなオーラを放っていた老婦人“おハルさん”のことが、ふと思い出された。人知れず死刑囚との交流を続けていたおハルさん。死刑囚をどう思うか、人が死ぬとどうなるのか…。さまざまな疑問を投げかけた、神秘の森での命のレッスンが加奈子の脳裏によみがえってくる。
 そこに突然、咲子が抱える問題が突き付けられる。予想もしなかった告白に言葉を失う加奈子…。さらに、自身が転校した後、突然おハルさんが村から姿を消していた事実が知らされる。「自殺した」と心ない噂が飛び交ったというが、真実は何だったのか…。
 自分たちの生きる手がかりを見つけようと「生と死」に向き合っていたおハルさんの足跡を追う加奈子。明らかになってきたおハルさんの秘められた過去と、自分たちに託したメッセージとは…。

 また、同局の地域ドラマ12作目「ここにある幸せ」(福津市を舞台に松田翔太、宮本信子らが出演)が「東京ドラマアウォード2015」のローカルドラマ賞を獲得。11月23日月曜の午前9:05からNHK総合で、地上波としては初めて全国放送する。

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