松本幸四郎が山田太一脚本作で主演。「せりふが胸に刺さる」と意義を強調

ニュース

 NHK総合では、脚本家の山田太一氏が書き下ろした特集ドラマ「ナイフの行方」を12月22、23日(共に午後10:00)の2夜連続で放送する。凄惨(せいさん)な過去を抱える老人と、世の中に絶望してナイフを振り回す青年の奇妙な同居生活を描いた作品で、主演の松本幸四郎は、「“最近の日本人はお互いを信じ過ぎる、のんきに思えてならない”というせりふが胸に刺さりました。心のどこかで、これでいいのかと思うことがチラチラとあるはずです。自分自身を考え直すきっかけになるのでは」と作品の意義を訴えていた。

 同作品は、合気道の心得がある老人・根本拓自(松本)が、街中でナイフを振り回す青年・峰岸次男(今井翼)を組み伏せて骨折させるが、なぜか警察に突き出さず、一人暮らしの自宅へ連れて帰るところから始まる。優しさも冷たさも見せる根本だが、やがて過去の壮絶な体験が、次男を放っておけなかった理由だったことが明らかになっていく。その他、相武紗季、石橋凌、松坂慶子、津川雅彦らが共演する。

 難しい役柄を演じた松本は、「根本のような体験はありませんが、それ以上のものを経験したことはあります」と、ベテランらしい含蓄のある冗談を飛ばし、「人間はどんな目に遭ったかではなく、その時にどう決断するかだと思う。それを山田先生が根本を通して書いてくれました」と作品から感じるものが大きかったよう。

 オリジナル脚本を手掛けた山田氏は、「1970年代の学生運動に加わった人たちが、まるで世の中から消えてしまったような現状」に着想を得たことを明かし、「かつて理念を掲げながら、死んでしまったかのような男を主人公に、人間のすることの不可解さを描きたかった。僕は倫理を説いて、人を目覚めさせるようなドラマは書けない。人間は結局、個々の結び付きでしか救われることがないのでは」と作品に込めた思いを語っていた。

関連リンク
PAGE TOP