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音月桂が明かす宝塚“日本物”の魅力

 365日時代劇を放送する「時代劇専門チャンネル」の企画「華麗なる宝塚歌劇の世界」で、8月17日に放送される「JIN-仁-」(12年雪組 宝塚大劇場)。現代から幕末にタイムスリップした脳外科医・南方仁が、坂本龍馬、勝海舟らと出会い、苦悩しながらも江戸の人々を救うために奔走するという物語だ。村上もとか原作の人気漫画、ドラマでも話題となった作品を宝塚らしく、ドラマチックなミュージカルにしたこの作品は、主演のトップ男役・音月桂と相手役のトップ娘役・舞羽美海にとってサヨナラ公演となった。作品への思い、宝塚“日本物”の魅力を、音月に聞いた。

──大学病院のシーンから場面は一気に幕末へ。物語は劇的なシーンから始まります。音月さんが感じるこの作品の魅力、演じる楽しさはどこにありましたか。

「まず、人物の魅力ですね。南方は人からは“神の手”と呼ばれますが、実は最愛の人を救えず、つらい気持ちを抱えている。その男が幕末で混乱しながらも人を助けることになる。彼を支える人たちとの出会い、病との戦い、タイムスリップの謎、喜び、悲しみ、すべてのシーンが絵になるし、セリフも美しい。原作のファンの期待を裏切ってはいけないという責任は十分感じていましたが、『私、この役をやったんだ! 幸せだ!』と、思い出してもうれしくなる役です」

──タイムスリップした現代人というのは、なかなかできない役です。

「そうですよね。時代になじまない現代人の感じを出すために、着物も少し“着慣れていない感”を出す。所作もちょっとずらすといった工夫をしました。現代と江戸時代と衣装の早変わりだけでなく、実はメークも少し変えているんです。映像だとそういう細かいところも見て楽しんでいただけると思います。実は私は子ども時代、祖母と「水戸黄門」(TBS系)や「暴れん坊将軍」(テレビ朝日系)を見ていたので、なんとなく袴での座り方などは分かっていたのですが、メークはまったく苦手。宝塚の下級生の頃は、メークが下手で上級生から『宇宙人』と言われたこともあったんですよ」

──メークは自分でするのが伝統なんですね。

「一度だけ上級生に教えていただいて、あとは独学です。私は15歳で、プライベートで化粧もしたことがないまま宝塚に入ったので、メークに下地がいることも知りませんでした。付けまつ毛をどこに付けたらいいとか、自分の顔立ちに似た先輩に教わったり、家に帰ってから自主トレをしたり。特に男役はもみあげを付けたり、額を四角く見せることも多いので、初めは大変でした」

──男役は殺陣も必須ですよね。「JIN-仁-」でも激しい立ち回りがあります。

「女性ばかりで控えめだと思われそうですが、殺陣は本格的。立ち回りも大きな見どころです。下級生の頃は、私も斬られ役を何度も経験しました。一回斬られても『音月、もう一回斬られろ』って何回も出ていくので、斬られ方も変えてみたり。そうすると、斬られるのが楽しくなってくる(笑)。稽古では殺陣師の先生の指導で動きますが、先輩からも教わることがたくさんあります。銀橋(オーケストラと客席の間にある通路のような舞台)では、刀の切っ先をお客さまに向けないとか、きちんと身に付けて舞台に立つ。いい伝統だと思います」

──南方を慕う武家娘の橘咲の舞羽美海さん、龍馬の早霧せいなさん、勝海舟の北翔海莉さんとキャストも充実。舞羽さんとはともにサヨナラ公演ともなりましたし、感慨深い公演になったのでは。

「ミミ(舞羽さん)は、頑張り屋さんで明るい笑顔でいつも助けてくれました。早霧は二番手として気配りがすごくできる。北翔は同期です。この公演には同期4人がそろって、プチ同窓会みたいなところもありました。同期は違う組で成長している姿に、お互い刺激されながら頑張ってきた仲間です。素晴らしい共演者に恵まれて、大好きな日本物の公演で卒業できたこと。ラストでは、私の前に客席のお客さま、後ろには後輩がずらりと並んでくれる。こんな絶景はなかったです」

──宝塚の“日本物”を見たことがない方にもお薦めしたいですね。

「宝塚は敷居が高いと思っている方、時代劇にあまり親しみのない方にも、この作品は医療ドラマ、人間ドラマ、ラブストーリーの要素もあって入りやすいと思います。ぜひ、ご覧ください!」


【プロフィール】 
音月桂(おとづき けい)
1980年6月19日生まれ。埼玉県出身。98年宝塚歌劇団に第84期生として入団。「猛き黄金の国」で入団3年目にして新人公演で主演に抜てきされて以来、雪組若手スターとして着実にキャリアを積む。2010年「ロミオとジュリエット」で雪組トップスターに就任。華やかな容姿に加え、歌、ダンス、芝居と3拍子そろった実力派トップスターと称され、2012年12月「JIN-仁-」「GOLD SPARK!」で惜しまれながら退団。
【番組情報】 
「華麗なる宝塚歌劇の世界」
時代劇専門チャンネル 
土曜 午後3:00~ほか

「夢の浮橋」(08年月組 宝塚大劇場)
8月14日 午後11:00~
「JIN-仁-」(12年雪組 宝塚大劇場)
8月17日 午後3:00~/8月28日 午後11:00~
「風の錦絵」(09年雪組 宝塚大劇場)
8月21日 午後11:00~
「睡れる月」(05年雪組 シアター・ドラマシティ)
8月24日 午後3:00~
「RYOMA-硬派・坂本龍馬!Ⅱ-」(96年花組 シアター・ドラマシティ)
8月31日 午後3:00~

取材・文/ペリー荻野 撮影/蓮尾美智子
衣装協力/agete、NE QUITTEZ PAS





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