スペシャルインタビュー

特集

「トットてれび」中村獅童が渥美清を熱演中
「渥美さんを演じていると泣けてくる」

 NHKの専属女優として活躍し、今もなお第一線を走り続ける黒柳徹子の半生を描くドラマ「トットてれび」。テレビの草創期を描いた前半から一転、後半は徹子と共にテレビを作り上げていた“戦友”たちとの別れが描かれます。6/11(土)放送の第6話では、恋仲にあったと噂された渥美清との知られざるエピソードを放送します。そんな温かく、切ない第6話を撮影し終えた渥美清役の中村獅童さんに直撃。「渥美さんを演じるのは怖かった」と語る獅童さんに、役に馳せる思いを伺いました。

――今作で渥美清さんを演じると聞いたときはどのような思いでしたか?

「プロデューサーからこのお話をいただいて、最初は出来ないって言いました。やっぱり怖いんですよね、渥美さんをやるっていうのは。何で僕が渥美さん役なんだろうって」。

――ご出演の決め手は何だったのでしょうか?

「お話をいただいて、“何で僕に渥美さん役が来たんだろう”“何を求めてるのかな”って想像するわけじゃないですか。「無理だと思うけど…」ってプロデューサーに言ったら、「あなたにしかできない芝居があるはずです」って言われて。そしたら、黒柳さん役の満島(ひかり)さんも、森繁久彌さん役の吉田(鋼太郎)さんも同じこと言っていましたね。みんな同じ思いなんだって思ったら、自分たちが持っている今の力で、どこまで見ている人たちに納得していただけるだけのことをできるだろうと思ったんです」。

――獅童さんご自身も、渥美さんがお好きだと伺いました。

「子どものころから好きでした。時代の象徴として、いつも渥美さんがいらしたよね。直接お会いしてお話しさせていただいたことはないのですが、僕がまだまだ歌舞伎で役が付かず並びで出てくるずっと座っている役で出演した際、客席にいらっしゃる渥美さんを見たことがあったんです。プライベートの渥美さんを一方的に見ているだけですが。みんなはビジュアルで言ったら寅さんのビジュアルしかないと思うんですが、違うんですよ。白いシャツをパリッと着て、チノパンみたいなの履いていて、騒ぎにならないぐらい服装はシンプルな服装で。だけど、渥美さんはスポットライトが当たったように、光輝いていましたね。「うわー、渥美さんが歌舞伎を観ていらっしゃる」っていうのが第一の印象でした。その数年後に亡くなってしまったけど…」。

――獅童さんからご覧になって、渥美さんの魅力ってどういうところにあると思われますか?

「渥美さんの話をするとこみ上げてくるんです。それが何かというと、理屈じゃないよね。理屈じゃないことをやるのが役者の仕事だし、やり場のない怒りとか、矛盾の中に生きて行くことが人生。僕たちは芸能という夢の中だけで生きていて、定年のある仕事とは違って理屈じゃない見えないゴールに向かって走って行く怖さもある。だけど、努力してオファーがくるからこそやらせてもらえる。輝き続ければ、一生仕事ができるかもしれない。そんなことも思うんです、渥美さんを見ていると」。

――そんな憧れの的だった渥美さんの人物像をどのように詰めていったのでしょうか?

「そこを探し出そうとしたときに、意外と簡単にすぐ出ました。第6話で描かれているのは、渥美さんが「男はつらいよ」で人気スターになる前からのお話で。コントやっていたころや生放送で苦労していたころの渥美さんとか黒柳さんとか画面越しでは知っていても、裏舞台っていうのは誰も知らないわけじゃないですか。そこをやっぱり想像して作るのが役者の仕事ですよね。「ミスキャストだと思ったけど、渥美さんって本当はこういう人だったの?」って思わせることが僕らの仕事だから、そこに生き甲斐を感じるし、醍醐味だと思いますね」。

――6/11(土)放送の第6話は徹子さんと渥美さんの友情や恋を超えた“ラブストーリー”になります。獅童さんが「男はつらいよ」を歌うシーンもありますが…。

「ドラマのエピソードは結構実話で、徹子さんとの思い出が忠実に再現されています。徹子さんと渥美さんが『男はつらいよ』を見に行ったエピソードは本当だったらしいです。僕ね、実は歌上手いんですよ。でも、渥美さんの回のときはこみ上げてきちゃって全然歌えなかった。最後は個人的な感情が入ってきちゃうよね。渥美さんってやっぱ演じていて泣けるんですよね。なんでなんだろうなと思う。それは中村獅童のリアルなのか…でもやっぱり渥美さんに思い入れがあるんだろうね」。

「渥美さんは“寅さん”という当たり役に出会って、“寅さん”として生き続けたけど、精神は『国民が辛いとき、苦しいときに寅次郎を見て』という思いでやっていたんだと思うんです」。あふれ出るように渥美さんへの思い、渥美さんが活躍していた時代への思いを語ってくれた獅童さん。熱くて、優しいまなざしに終始、感動してしまいました…。

 “テレビ”にかけた夢を描き続けてきた「トットてれび」も残すところあと2話。向田邦子、渥美清、森繁久彌が亡くなり、戦友たちを見送った徹子が最後に感じることとは? 涙なしでは見られない、ラストスパートをぜひご覧ください。

番組情報
「トットてれび」
毎週土曜 NHK総合 午後8:15~8:45
PAGE TOP