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世界的コミックアーティストのジム・リーが語る生誕80周年のバットマンの魅力2019/10/03

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 今年で生誕80周年を迎えるDCコミック・ヒーロー、バットマン。そのDCの現CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)にして共同発行人であり、自身も数々のDCキャラクターを描いてきた世界的なコミックアーティストでもあるジム・リーが来日。9月21日の「バットマンの日」には渋谷でのイベントにも出席したリーに、永遠不滅のスーパーヒーローであるバットマンの魅力などを語ってもらった。

バットマンの粘り強さには親近感がわくよ

── これだけ長きにわたってバットマンが世界中で愛され続けている理由は?

「それにはいくつかの要因があると思う。表面的なレベルで言えば、クールな名前とコスチューム、バットモービルやバットケイブみたいなガジェットなど、子どもから大人まで魅了する要素があるよね。ビジュアル的に見栄えがいいんだ。そして、より深いレベルとなると、やはりストーリーの魅力だろうね。バットマンは悲劇から生まれたキャラだけど、彼はその悲劇をむしろバネにして、ヒーローとなって悪に立ち向かう。誰しも多かれ少なかれ、なにかしらの逆境や困難に直面して、それをどう乗り越えればいいのか悩んだことはあるはず。たとえ壁にぶち当たっても諦めずに戦うという概念は、国境や時代を超えて大勢の人が共感できるものなんだ」

── あなた自身がバットマンに惹かれる理由は?

「やはり粘り強さだね。彼が活躍する場所はアメコミ界でも最悪の犯罪都市ゴッサム・シティ。たとえ悪人どもをアーカム刑務所にぶち込んでも、次の日には逃げられてしまい、また戦わねばならなくなる。それって、僕の日常とよく似ているんだ(笑)。例えば仕事のことにせよ、家族のことにせよ、常に何かを成し遂げねばならないと思いつつ、現実にはなかなか思い通りにはいかない。バットマンと同じく終わりのない戦いさ。そういう意味で個人的に親近感がわくし、僕もバットマンみたいに粘り強く頑張らねば!って思うんだ」

── バットマンには多くの映像化作品がありますが、特に好きなものは?

「ゲームソフトの『バットマン アーカム・アサイラム』は、数あるスーパーヒーロー・ゲームの中でも最高クラスの出来だと思う。ゲームというのは、ただ見ているだけじゃなくてストーリーの一部になれるし、何よりも自分がバットマンになって戦うことができるというのは楽しいよね」

── では、歴代のバットマン俳優の中で最も好きな俳優は?

「どの俳優もそれぞれに違った理由で好きだよ。マイケル・キートン(『バットマン』(1989年)など)は素晴らしいブルース・ウェイン像を演じたし、クリスチャン・ベール(『バットマン ビギンズ』(2005年)など)はそれまでにない緊張感をキャラクターにもたらした。ベン・アフレック(『バットマン vs スーパーマンジャスティスの誕生』(16年)など)のバットマンは、スーパーパワーがなくてもレンガを素手で砕きそうなくらい、肉体的に強そうだったし、圧倒的な存在感があった。あとは、忘れてはならないテレビ版『バットマン』(66~68年)のアダム・ウェスト。僕が子どもの頃は、彼こそがバットマンだった。今でも大好きさ」

── 新作映画「ジョーカー」(19年)が話題となっていますが、「バットマン」シリーズにおけるジョーカーの魅力とは?

「偉大なヴィランがいるからこそ、ヒーローが輝くという面は否定できない。それは逆もまた然りで、バットマンがいなければジョーカーの存在意義はないんだ。彼らは対照的だからこそ、お互いを必要としあっている。ジョーカーはアナーキズムや闇を象徴し、バットマンは光や秩序を象徴する。光がなければ影は存在しないし、影なければ光も存在しない。それこそが、バットマンとジョーカーの関係の本質だろうと思う」

── 今後のバットマン関連企画の予定は?

「そうだね、現時点では色々なプロジェクトが目白押しです、ということしか言えないのだけれど、どの企画もファンの皆さんが満足してくれるものと信じているよ」

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【プロフィール】

ジム・リー Jim Lee 

1964年生まれ、韓国・ソウル出身。幼少期にアメリカに移住。86年、プリンストン大学を卒業。大学卒業後はマーベルコミックスで「X-MEN」シリーズを手がけ、独立系のコミックス会社の設立などを経て、DCエンターテイメントのクリエイティブチームに参加する。アーティストとして「バットマン:ハッシュ」、「バットマン&ロビン ザ・ボーイ・ワンダー」などのコミックを手がける。2010年にDCの共同発行人に就任。DCスーパーヒーロー・ユニバースのオンラインゲーム「DC Universe Online DCUO」のエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターも務める。

【DVD情報】

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「バットマン」
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ブルーレイ 発売中 2,381円+税
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取材・文/なかざわひでゆき



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