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松本まりか、「向こうの果て」で連ドラ初主演!「映像作品を作る上で最高潮の瞬間が味わえました」2021/05/14

 WOWOWオリジナルドラマ、劇団ゴツプロ!による舞台版、幻冬舎から出版される小説版が連動するプロジェクト「向こうの果て」。そのドラマ版の主演を務める松本まりかが演じるのは、殺人犯として逮捕されたミステリアスなヒロイン・池松律子だ。日本アカデミー賞作品賞を受賞した「ミッドナイトスワン」の内田英治監督とタッグを組み、昭和を舞台にした壮絶な人間ドラマを演じる。癖のあるキャラクターを魅力的に演じ、ブレーク中の松本が連続ドラマ初主演を果たした本作で、新たな一歩を踏み出す。

――内田監督とは、松本さんが初めて出演した映画「GACHAPON!」(2004年)でもご一緒した縁があるそうですが、今回の現場はいかがでしたか?

「初主演のドラマで内田監督とご一緒できて、とてもうれしかったです。今回はクランクインからアップするまでに、シビれるような瞬間が何度かあったんです。役者とスタッフさんの集中力が1点に集中して、映像作品を作る上で最高潮の瞬間が味わえました。ちょうど『ミッドナイトスワン』が日本アカデミー賞にノミネートされる少し前から撮影が始まって、初日からすごく居心地のいいクルーだったんです。メーク、衣装、美術などで、細部に至るまで、昭和の世界観を作り上げていただいていました。今回の撮影では、私はほとんどスタッフさんや共演者の方とコミュニケーションを取らなかったんですけど、それでも“ドン!”と撮影が始まった瞬間につながって、お互いを理解し合えている感じがありました」

――重いものを背負った殺人犯という役柄を演じるために、意図的にコミュニケーションを取らなかったということですよね。現場にいる時はどんな気持ちでしたか?

「この仕事を始めてから20年、漠然といつかは主演をやってみたいとは思っていたんですが、今回は主演ができる喜びよりも、律子という役への責任の重さのが大きかったんです。私は器用ではないので、現場で急に切り替えて、明るくあいさつもできなかったですし、スタッフさんの目を見ることもできませんでした。でも、皆さんがそれを理解してくださって、あいさつしなくても、目を見なくても、それぞれのお仕事を作り上げてくれて。一か八かではありましたけど、結果として奇跡的な瞬間を生み出せたのでよかったなって思います。本当に優秀で才能あるスタッフさん、役者さんたちのおかげですね。もちろん、撮影が終わった瞬間からめちゃくちゃ笑顔で話しましたけど(笑)」

――律子は殺人容疑で逮捕されますが、律子を取り巻く男性たちが証言する彼女の印象はバラバラ。なかなかその素顔が明らかにならない難役ですよね。

「検事の津田口亮介(柿澤勇人)から見ると律子の印象は変わっていくんですが、ほかの男性たちの前では、その人との関係性によって違う顔になるだけなんです。なので、特に意識して変えたというよりは、“この人に対してはこう思っている”という演じ方でした。表面的に変えるというより、相手役の方が自然に変わらせてくれた気がします」

――律子は幼なじみ・君塚公平(松下洸平)を殺した容疑で逮捕されます。松下さんとのお芝居はいかがでしたか?

「律子と公平は特別な愛情で結びついているんですが、決して結ばれることはない関係なんです。そのもどかしさがあるので、律子は公平を真っすぐに見ることができないんですが、彼の方は真っすぐに見てくる。洸平さんのお芝居を見ていると、“そんな純粋な目で見ないで! 私の醜い顔を見ないで!”っていう気持ちになるんです。彼の温かさに耐えられないという感情を引き起こして、私を壊れさせたというか。洸平くんとは今回が“初めまして”だったんですが、律子が公平をどんなに足蹴にしても、とにかく優しく、包容してくれる信頼感がありました」

――何度か訪れたという“最高潮の瞬間”“奇跡的な瞬間”は、たとえばどんなシーンで感じましたか?

「一つは、最終回の第8話で、検事の津田口と事務官の南川澄子(山野海)の取り調べを受けるシーン。そこで律子の心があらわになっていくんですが、一番いい状態で演技のやりとりができた気がします。時期的にプライベートで誰かと交流することが皆無だったので、私自身の中に、誰かとつながりたい欲求があって。柿澤くんとは現場で何も話さなかったんですが、お芝居で本当の意味での信頼関係を作れた感覚があって、“この瞬間さえあれば、もうそれでいい”と思えました。もう一つは、やはり第8話で、律子と公平が向き合う最後のシーン。そこで洸平くんのものすごいエネルギーを感じたんですよね。いつもはすごく穏やかな方なのに、こんな演技をされるのか!と驚きました」

――南川役の山野さんは、本作の脚本家でもあり、劇団ゴツプロ!による舞台版でも脚本・演出を手掛けます。山野さんとお話されたことはありますか?

「現場では一人の女優さんとして監督とコミュニケーションを取られていましたが、やはり2年かけて書かれた脚本なので、私を見て『律子がいる!』って感激してくださって。ご自身の撮影がないタイミングではよくモニターを見に行って、すごく感動していらっしゃるのを感じました」

――舞台版では律子を小泉今日子さんが演じますね。

「小泉さんとは以前『贖罪』というドラマで共演させていただいたことがあって、すごく尊敬しているし、憧れている方でもあるんです。今回の出演が決まった時、小泉さんから『ご活躍拝見してます。ほかに代わりのいない女優さんになっていると思う』というメールをいただいて、すごく力になりました。私が演じた律子には、まだどこか未熟さのようなものがあったと思うんです。でも、16歳から第一線でご活躍されてきた今日子さんは、きっと私とは違う場所に行き着かれると思うので、その場所をぜひ見せていただきたいと思っています」

――本作ではミステリアスな殺人者の役を演じましたが、今後はどんな役を演じたいですか?

「このドラマのような、昭和を舞台にした作品にまた出たいです。この時代は人々の熱量が高くて、生きることを渇望しているので、とても深みがあるんですよね。演じるには体力と精神力が必要ですが、だからこそまた挑戦したいと思いました。でも、実はめちゃくちゃ王道のラブストーリーも演じたいんです。今回の役柄はすごく重かったので、終わった後に洸平くんも『今度は普通のラブコメを一緒にやろう』と言ってくれました(笑)。最近はありがたいことに変わった役が続いているので、引き続きそういった役にも挑戦しつつ、真逆のイメージを見せたいという思いもあって。普通の女性の役も、クールな役も、コメディーでもコントでも、なんでもやりたいです」

――最近はバラエティーでも魅力が大爆発していますよね。

「バラエティーに出演する時に気を付けているのは、うそをつかないこと。私はうそをつけないタイプだし、プロの方みたいにうまいことも言えないですから(笑)。自分らしい姿を見せなければ、私がその場にいる意味がないと思っています。いつも“素の部分を出しちゃっていいのかな?”とは思っていますけど、それで笑ってもらえるならいいかなって(笑)。ちょっと恥ずかしいけど、皆さんに面白がってもらえたらいいなと思っています」

【プロフィール】

松本まりか(まつもと まりか) 
1984年9月12日生まれ。東京都出身。2000年にドラマ「六番目の小夜子」(NHK)で女優デビュー。18年放送のドラマ「ホリデイラブ」(テレビ朝日系)でブレーク。現在「最高のオバハン 中島ハルコ」(フジテレビ系)にも出演中。

【番組情報】

「WOWOWオリジナルドラマ 向こうの果て」  
5月14日スタート 
WOWOWプライム 
金曜 午後11:00~11:30(第1話無料放送) 
※WOWOWオンデマンドで同時配信。TELASAでは、各話終了後配信スタート 

取材・文/加藤恵 撮影/蓮尾美智子 ヘア&メーク/AYA(LA DONNA) スタイリング/後藤仁子  
衣装協力/スタイリング/(スタイリング/ルミネ新宿1店)[トップス、パンツ]、ジジ(ホワイトオフィス)[ピアス]、マリハ[リング]

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