コラム

「土曜ナイトドラマ枠」でオトナな愛憎劇がスタート! 深夜ドラマヒットのカギは緻密な話題作りにあり!

SNSとの連携は必須!? 「奪い愛、冬」も手掛けた川島プロデューサーを直撃!

テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。今回は、テレビ朝日でも“攻めた”枠と話題の「土曜ナイトドラマ枠」の新ドラマ「あなたには渡さない」から、深夜ドラマヒットの秘密を探ります!


<土曜ナイトドラマが仕掛ける大人のラブ・サスペンス>

 テレビ朝日のドラマが絶好調だ。現在放送中のラインアップも水曜9時の「相棒」、木曜8時の「科捜研の女」、木曜9時の「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」という安定の高視聴率タイトルぞろい。深夜帯も相葉雅紀主演の金曜ナイトドラマ「僕とシッポと神楽坂」、さらに、11月10日から土曜ナイトドラマ「あなたには渡さない」がスタートする。

 昨年秋に誕生した土曜ナイトドラマ枠は、これまで「オトナ高校」「明日の君がもっと好き」「おっさんずラブ」「ヒモメン」を放送。中でも「おっさんずラブ」はツイッター世界トレンド1位を果たすなど社会現象となり、先日の東京ドラマアウォードでも連続ドラマ部門グランプリを受賞。“土曜ナイトドラマ”をいちやく世に知らしめた作品といえるだろう。

 同枠の最新タイトルとなる「あなたには渡さない」は、平凡な主婦だった主人公が離婚届を手に現れた夫の愛人と壮絶なバトルを繰り広げる大人の濃厚ラブ・サスペンス。ミステリーの名手・連城三紀彦の小説「隠れ菊」を原作に、木村佳乃、水野美紀が繰り広げる修羅場の連続ということで、ドラマファンの期待は高まるばかり。そこで今回は本作を手がける川島誠史プロデューサーに魅力的な深夜ドラマの作り方についてうかがった。

「とにかくこの原作は最初のつかみがすごいなと思ったんです。いきなり夫の愛人が目の前にやってきて『ご主人をいただきにまいりました』と宣言するわけですから。泥沼愛憎劇でありつつミステリーとしても緻密に張った伏線を見事に回収する作品なので、まだ始まって1年しか経っていない土曜ナイトドラマの方向性を広げる意味でもいい題材だなと。撮入前のインタビューで木村佳乃さんがみんなで力を合わせてドロドロ劇を作っていきたいとおっしゃっていた通り、すごくチーム感のある現場になっています。木村さんと対峙する水野美紀さんの安定感はもちろん、萩原聖人さん、田中哲司さんら男性陣のサポートも心強いですね」

 かつて主婦層に絶大な人気を博した昼ドラのエッセンスも感じられる本作。

「40代ともなると何事もガムシャラに突っ走るだけでは難しいですし、家族だって守らなければいけないですよね。この物語も夫を奪った相手と対立するだけでなく、時には目的のために共闘もします。単純にバチバチけんかしているだけより、そっちの方が怖いじゃないですか?」

<いいドラマを作るだけでなく、緻密な仕掛けを>

 土曜ナイトドラマ枠がスタートして1年。これまで金曜ナイトドラマ枠で「不機嫌な果実」「奪い愛、冬」を手がけてきた川島プロデューサーにとって、土曜ナイトドラマとはどういう枠なのだろう。

「テレビ朝日の全ドラマの中で一番視聴率だけでは測れない枠ですね。僕は土曜の夜って一週間働いた疲れもあるので、真剣にのめり込むよりは気楽にドラマを楽しみたい人が多いと思うんです。もちろん、いいドラマを作ることは大前提ですが、土曜ナイトドラマをやるなら、それ以外の部分でも視聴者の方の興味をひくことを用意しなければいけない。僕がそう感じたのは『不機嫌な果実』を手がけたときでした。それまではドラマだけに集中して見てほしいという意識が強くて、ツイッターを始めとするSNSとの連携をそこまで重視していなかったんですけれども、試験的に放送中に番組公式ツイッターから『このあと大変なことが起きます!』と発信したところ反響がすごくて、視聴率にもきちんと返ってきたんです。いまの時代、いいドラマを作るだけではダメ。少しでも話題にしてもらうためにこちらも緻密に仕掛けを考えなければいけないと思っています」

 プライムタイムと比べて挑戦的な作品が多いこともあり、視聴者の心をつかむと爆発的な広がりを見せる深夜ドラマ。

「『奪い愛、冬』のときは脚本の鈴木おさむさんと『とにかく5分に1回、変なことが起こるドラマにしよう』と話していました。『あなたには~』も原作がバブル期に連載された作品なので、今真面目にこんなことを言う人いないよねみたいなやりとりがあるんですが、そういうセリフは意識的に残しています。台本の打ち合わせ中も『このセリフ、バズりそうだね』みたいな話がよく出てきますね」

 百聞は一見にしかず。まずは第1話を番組公式ツイッターともども楽しもう。

「土曜ナイトドラマ枠は金曜ナイトドラマ枠に比べると放送尺が短いんです。なのでスピーディーに展開していかないと最後まで入り切らない。かといって突っ走りすぎて途中から見た人が置いてけぼりにならないようにも心懸けています。とにかく第1話の木村さんと水野さんのセリフの応酬に注目です。意識しているのは登場人物の心情を積み重ねていく怖さ。水野さんが『奪い愛、冬』で演じた森山蘭のようなキャラクターを期待されている方も、今回の水野さんはどんな演技をされるのか楽しみにしてほしいですし、木村さん演じる通子の成長を最後まで見守っていただけたらうれしいですね」


番組情報
「あなたには渡さない」
11月10日(土)スタート
テレビ朝日系 毎週土曜 午後11:15~深夜0:05

有名料亭「花ずみ」の一人息子で板長を務める旬平(萩原聖人)の妻・通子(木村佳乃)の前に、ある日突然、多衣(水野美紀)が現れ「ご主人をいただきにまいりました」と告げる。女の戦いを挑まれた通子は、料亭のおかみとして、女として変身していく。
川島Pが手掛けた恋愛ドラマ
「不機嫌な果実」(’16年)
夫に不満を持つ麻也子(栗山千明)と音楽評論家の通彦(市原隼人)の恋が周囲に影響を及ぼしていく。稲垣吾郎が潔癖症でマザコンな夫を怪演した。
「奪い愛、冬」(’17年)
婚約者と共にデザイン会社で働く光(倉科カナ)が元恋人・信(大谷亮平)と再会し惹かれ合ってしまう。強烈キャラな信の妻・蘭を水野美紀が演じて話題に。

今回、取材したのは…

川島誠史さん(テレビ朝日プロデューサー)
’77年生まれ。東京都出身。’01年にテレビ朝日入社。イベント事業部、バラエティー制作部を経て、’07年よりドラマ制作部に。主なプロデュース作品に「京都地検の女」「おみやさん」「刑事110キロ」「スペシャリスト」「BG~身辺警護人~」など。

Interview=秦野邦彦

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