コラム

歴代最多の来場者数「東京ゲームショウ2018」でも大注目。eスポーツの発展がゲームをさらにアツくする!

“共有性”と“競技性”が裾野を広げる

テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。今回は世界的に規模が拡大しているコンピュータゲームの競技・eスポーツに注目。「東京ゲームショウ」主催者が今年のイベントから展望を語る。


<eスポーツ後進国だった日本でも認知度が増加>

 今年の東京ゲームショウ(以下TGS)には、4日間合計(9/20〔木〕、21〔金〕はビジネスデイ、22〔土〕、23〔日〕は一般公開日)で歴代最大の29万8690人が来場。これほどの人々が会場に訪れた理由を、TGSを主催する一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(略称CESA)事務局長の山地康之さんに聞いた。

「まず、出展規模の拡大が大きな理由ですね。出展企業・団体、小間の数とも過去最大でした。韓国や台湾などアジア諸国からの出展が多かったこと、独立系開発者を出展対象とするインディーゲームコーナーの充実も要因だと思います」

 プラットフォーマーが好調なインディーズタイトルに積極的になっている背景もあるという。

「人気のインディーゲームコーナーは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントさんと任天堂さんにスポンサーになっていただきまして、出展タイトル数も多く、活気がありました。また、VR/ARコーナーはアミューズメント施設のような大型の筐体が置かれて賑わっていましたし、専門学校のブースも活気がありましたね。TGSを自分の才能の発表の場として捉えている学生さんが多いのではないでしょうか。特に一般公開日は、各ブースでイベントやトークショーがあるたびに、来場者の移動が起こっていました。よく『今年の目玉は?』とメディアの方に質問されましたが、すべての来場者に特定の何かをお勧めするということではなく、どの世代にもどのジャンルに興味がある方にも、幅広く楽しさを共有していただけたと思います」

 そういう意味では目玉ばかりだった今年のTGSだが、やはり特に大きく報じられたものがあった。「eスポーツ」関連の出展、イベントである。

「eスポーツのイベントは以前から行われてきましたが、今年1月に統一団体『日本eスポーツ連合(JeSU)』ができまして、その主催ステージとして“e−Sports X”を開催しました。2つのステージが設けられ、客席数は各570ありました」

 どちらのステージも常に盛況で、立ち見客が出るほどだったという。

「そこまでの観客が集まったのは、やはりeスポーツの認知度が上がったからだと思います。これまで世界各国の主要なeスポーツ大会のタイトルはPCゲームが中心だったため、PCゲームが盛んではない日本は出遅れ、後進国と呼ばれてきました。もちろん、PCゲームの有力プレーヤーも増えていますが、日本でもよく知られたPS4のタイトルや人気スマホゲームでも競技が行われたので、ファンが集まりやすかった。eスポーツにおけるプロが認定されたことで、選手の知名度がいっそう上がり、プロの技術やプレーを見たいという方も多かったと思います」

 会場では「これぞプロ」というパフォーマンスが随所で見られた。

「eスポーツはまだ発展途上段階ですので、JeSUはまず、観客を魅了する高度なパフォーマンスを発揮できるプレーヤーをプロ認定することで、選手の育成や地位向上を図っています」

<技術の開発や改良のモチベーションになる>

 そうした“魅せるプレイヤー”に、観客が支払う料金が還元される仕組みが整備されれば、名実ともプロが増えていくかもしれない。さまざまな変化が予測される中、CESAはどのようにeスポーツに関わっていこうとしているのか。

「CESAはゲームパブリッシャー(発売者)・ゲームディベロッパー(開発者)の団体ですので、開発者側・販売者側の支援をしていきたい。eスポーツの競技は、特定の企業の著作物でもありますから、その権利を守っていくことも一つですし、小さな開発会社でも大会が開けるような支援をしていければと考えています」

 eスポーツの振興は、技術や機器などゲーム産業の発展にもつながるという。

「オンライン対戦では、わずかな通信の遅延も真剣勝負に水を差してしまいます。すると混信や遅延のない通信技術、機器が求められ、それに応えようとすることが技術を進化させる。またゲームの対戦は1対1だけではなくさまざまな形式のチーム戦があって、共有性や競技性が出しやすい。eスポーツが振興すると、作り手はより競技性を高めようとするので、開発や改良のモチベーションになります。そもそも対戦は見ていて楽しいものですし、CESAとしては、eスポーツによってゲームの裾野が広がってほしいと思っています」

 ’19年10月、国民体育大会並びに全国障害者スポーツ大会の文化プログラムとして、都道府県対抗eスポーツ大会が開かれる。eスポーツの認知度は今後さらに上がっていくだろう。それが日本のゲーム文化、産業にどう影響を与え、どんな進化の原動力となるのか注目したい。


「東京ゲームショウ2018」REPORT
テーマは「新たなステージ、開幕。」。木村拓哉“主演”の「JUDGE EYES:死神の遺言」(セガゲームス)、人気シリーズ最新作「キングダム ハーツⅢ」(スクウェア・エニックス)などの話題作が出展。eスポーツの日本-オランダ国際親善マッチも活況を呈し、海外からの来場者も目立った。

eスポーツステージでは幅広いジャンルの8タイトルで熱戦が

期間中、「日本ゲーム大賞2018」各部門の発表授賞式を開催

コスプレの披露や撮影ができるエリアにイベントステージも

今回、取材したのは…

山地康之さん(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 事務局長)
’72・4・13生まれ。ゲームパブリッシャーでの勤務経験を経て、’18年4月に一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会事務局長に就任。

Interview=佐藤新

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