コラム

「ジュラシック・パーク」公開25周年! “ジュラシック”シリーズが世界に与えた衝撃と功績

最新作「ジュラシック・ワールド/炎の王国」J・A・バヨナ監督に聞く

テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。’18年は「ジュラシック・パーク」公開から25周年のメモリアルイヤー! シリーズ最新作の監督の言葉で、この映画が世界に与えた影響を紐解く。


<1作目の技術で既に大きな壁を破っていた>

 夏映画の目玉「ジュラシック・ワールド/炎の王国」の公開が迫ってきた。「ジュラシック・パーク」(’93)公開から25周年を迎える今、大人気シリーズの功績を改めて振り返る。本作はシリーズ5作目にして、「ジュラシック・ワールド」3部作の2作目にあたる。前作の監督コリン・トレボロウは製作・脚本に回り、監督を務めたのは、「怪物はささやく」(’16)などで知られるスペイン出身のJ・A・バヨナだ。

「25年前、スティーヴン・スピルバーグ監督とマイケル・クライトン(原作者)の大ファンだった僕は、その2人がタッグを組むという話にすごく興奮したよ。僕が頭の中で空想していたものが、そのままスクリーンに現れていた。しかもそれまでの特殊効果とは完全に一線を画し、まるで本物の恐竜がスクリーンにいることに、心底驚いたんだ」

 少年時代から映画に夢中だったとはいえ、それから25年後、自分が当シリーズを監督するとは思いもしなかっただろう。

「1作目の時点で、既に技術的には大きな壁を突き破っていた。もちろん、そこからもどんどん進歩してはいるけど、今は必要以上にデジタル効果を使い過ぎるきらいがあると僕は思う。だから僕がここでやりたかったのは、原点に立ち返り、アニマトロニクス(生物を模したロボットを作り撮影する技術)を使うことだった。実際に質量や手触りを伴い、そこに存在する。すると魂も宿る。アニマトロニクスと現在のデジタル技術を組み合わせることで、最高の効果を出そうとしたんだ」

 前作からお馴染みのヴェロキラプトル、ブルーを操るには最大12人を要したというが、その臨場感たるや! ブルーとクリス・プラット扮するオーウェンの再会という、シリーズのファンにはたまらない展開も待ち受ける。

「トレボロウ氏がシリーズを復活させてくれたお陰で、すごく背景の分厚い作品にできた。キャラクターはもちろん、なぜ人々がこのような状況になったかという過程もよく分かる。さらに思い出深いセリフも飛び出し、大人の観客は子どもの頃に観た感情が湧き出てくると思う。トレボロウ氏が脚本に、そうした要素をうまく抽出してくれたから、本作は観客の感情に訴える作品にできたと自負しているよ」

<人と自然、人と科学この関係を描いてきた>

 本作にはシリーズ第1作で“テーマパーク「ジュラシック・パーク」は最初から破滅に向かっている”と予見した数学者マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)も再登場。なるほど、その言葉の重みを噛み締めさせられる。

「これまでの4作は、テーマパークが存在する島の中ですべてが起きたけど、今作はその島を捨てるということに大きな意味がある。自分たちと生きる生き物として、恐竜に対する共感が初めて表れる。恐竜を助けるべきか否か――。命の価値という問題を、世界に解き放ったんだ」

 その問題に大きく関わるのが、ベンジャミン・ロックウッド(“ジュラシック・パーク”創設時、パークを建造したインジェン社社長ジョン・ハモンドのビジネスパートナーだった企業家)の孫娘・メイジーだ。子どもが何かしら大きな役割を担うのは、シリーズを通して共通している。

「もちろんファミリー・ムービーというマーケティング戦略的に、子どもの視点はひとつ大事なポイントだけど、本作に関しては、メイジーの存在が最も興味深く、かつ非常に重要だ。彼女は単なる子どもではなく、活発で利発で、恐竜たちを救済するために積極的に行動する。つまり彼女が物語を、もう一歩先へ押し進めていくんだ。観客はみな彼女のファンになると信じているよ」

 その一歩先が何なのか、ここで明記するのは差し控えるが、そのことにより、これから製作される3部作の最終章が早くも待ちきれない。さて、シリーズに関わる者として、バヨナ監督が敬意を払い、責任を持って継承したものとは――。

「エンターテインメント作品である、ということは、とても大きいし重要だ。でも同時にこのシリーズは“人と自然の関係”、“人と科学の関係”を、非常にうまく描き込んできたと思う。だから僕も、みんなが楽しめるエンターテインメントとしてアクションを大いに盛り込み、シリーズ最多最強の恐竜を思い切り出したのと同時に、“科学は何のためのものか”、“それを悪のために使う人間たちがいる”とハッキリ打ち出した。エンターテインメントとのバランスの中で、みんなが気付いてくれたらいいな、議論が始まるきっかけになればいいな…という思いを込めてね」


ジュラシックシリーズ25年の歩み
「ジュラシック・パーク」(’93)
M・クライトンの小説をS・スピルバーグが映像化。最新技術で復活させた恐竜の棲むテーマパークで、暴走した肉食恐竜が人間を襲う。
Film TM & © 1993 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved
「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(’97)
スピルバーグ監督が前作を上回るスケールで4年後を描く続編。閉鎖されたパークで増殖した恐竜を巡り、学者とハンターが衝突する。
Film TM & © 1997 Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved
「ジュラシック・パーク3」(’01)
監督は「ジュマンジ」のJ・ジョンストン。1作目のグラント博士(サム・ニール)が再びソルナ島へ。スピルバーグは本作より製作総指揮に。
Film TM & © 2001 UNIVERSAL STUDIOS and AMBLIN ENTERTAINMENT, INC. All Rights Reserved
「ジュラシック・ワールド」(’15)
後期3部作の1作目。監督はC・トレボロウ。恐竜と触れ合えるリゾート地で、凶暴な大型恐竜が脱走。敷地内の生物が危険にさらされる。
Film TM & © 2014 Universal Studios & Amblin Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
ジュラシック・ワールド/炎の王国
7/13(金)公開
テーマパーク「ジュラシック・ワールド」が恐竜たちに破壊される大惨事から3年。完全に野生化した島内で、巨大火山噴火の予兆が観測される。恐竜たちの生死を自然に委ねるか、命を懸けて救い出すか、選択を迫られる。
今回、取材したのは…
J・A・バヨナさん(映画監督)
’75年生まれ。スペイン・バルセロナ出身。2本の短編映画を発表後、「永遠のこどもたち」(’07)で長編映画監督デビュー。「インポッシブル」(’12)は世界興行収入1億8000万ドル超を記録した。近作は「怪物はささやく」(’16)。

Interview=折田千鶴子

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