コラム

8年間愛された“朝の顔”が交代!
新たな「あさイチ」の“変化”と“不変”

チーフ・プロデューサーに聞く!
博多華丸・大吉&近江アナの起用理由と前任の“引き継ぎ”への思い

テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。
今回は、“朝の顔”として支持されてきたキャスターの交代で話題を呼んでいる情報番組「あさイチ」についてチーフPを直撃しました!

<愛されキャスター共通点は「普通の感覚」と自然体>

 この春、朝の情報番組「あさイチ」(NHK総合)のキャスターが交代し、新たなスタートを切った。番組開始から8年、朝の顔として愛されたのはV6の井ノ原快彦、有働由美子元NHKアナウンサー、柳澤秀夫解説委員。生活情報から赤裸々な性の話題までを取り上げ、視聴者の意見と真摯に向き合う姿勢が支持され、時にアブナイ(!?)本音も飛び出し、話題を集めてきた。そしてこの度の3人の番組卒業。「あさイチ」はどのように変わるのか。片山淳一チーフ・プロデューサーに話を聞いた。まずは、「あさイチ」がここまで愛される番組になった理由を、どのように考えているのだろうか。

「井ノ原さんは、とても“普通の感覚”を持っている方で、視聴者の皆さんと同じ目線で、感じた疑問や怒りをカメラの前でも“普通に”出してくれる。そこが、目指していた『視聴者に近い番組』という部分にピッタリ合ったのだと思います。柳澤さんは一流のジャーナリストですし、さまざまな分野への見識があり、番組を支えてくださいました。でも、時には話の流れを混ぜっ返したりするお茶目な部分もあって(笑)。有働さんはアナウンサーとしてのスキルが非常に高いですし、とにかく人間的にとても魅力的ですよね。3人が自然体で正直に番組に向き合ってくれたことが、視聴者の共感につながったのではないでしょうか」

 そんな3人の番組卒業を惜しむ声は続いたが、新キャスターとして博多華丸・大吉と近江友里恵アナウンサーの起用が発表されると、風向きが一変。組み合わせの意外性と、3人の好感度の高さがとにかく絶妙な人選だった。

「華丸・大吉さんは、4月からのキャスターについて検討している時に、そこにいたスタッフみんなが『この2人、いいよね。好きなんだよね』という意見だったんです。お笑い芸人さんとしてのスキルが高いのはもちろんですが、とにかく人間的に素敵な人たち、という部分が大きくて。温かみがあって人を傷つけるタイプの芸風ではないですし、前任の3人と同じく“普通の感覚”をお持ちで、番組で女性に寄り添う立場として考えた時に、マッチするだろうなと思いました。近江アナについては、『第ニの有働さん』を探すのではなく、有働さんとは全く違う人がいいなと。天然っぽさもあって自然体な人ですし、ほんわかした3人のムードも想像できました。番組スタート前にスタッフも含めて食事に行った時には、近江アナの天然っぷりに華丸・大吉さんがツッコんだりして、その時から3人の空気は出来上がっていましたね」

 前キャスターの最後の出演となった3/30(金)には、新キャスター3人がゲスト出演。“卒業”に関する演出は行われず、「引き継ぎの極意」というテーマで役立つ情報が伝えられた。服をおさがりで人にあげる際の極意は、その先を「追いかけない」こと。それに絡めて、井ノ原も“新生あさイチ”を「追いかけない」と宣言。何かと比較されやすいものだが、引き継ぐ側からのこの宣言によって、受け継ぐ側は気負うことなく、視聴者もまた受け入れやすくなったことだろう。

「最終日の企画は前キャスター3人の意向が強かったです。とくに井ノ原さんは『しっかりバトンを渡したい。視聴者の方にも、あさイチの精神は変わらないから安心して見てほしいと伝えたい』という思いがありました」

<8年前から変わらない「視聴者第一主義」>

 こうしたバトンの受け渡しもあり、“新生あさイチ”には、視聴者から激励や好意的なメッセージが寄せられた。違和感のない引き継ぎのもう一つの理由は、番組開始当初から一貫した、変わらない思いがあるからだろう。

「出演者とスタッフの共通認識として大切にしているのは、『視聴者を第一に考え、できるだけ視聴者に近い立場で物事を考える』ということです」

 生放送中、視聴者からのメールやFAXが多い日で1000通以上届く。厳しい意見が紹介され、流れを変えるような展開になることも。それだけ、視聴者の意見を大切にしているのだ。

「出演者の皆さんと視聴者が一緒に考えていくので、取り上げるテーマに最終的な結論は用意しておらず、こちらも枠にハメないようにしています。テーマを選ぶ時は視聴者のニーズを大切にしていますし、華丸・大吉さんにも『困っていたり、知りたいと思っている視聴者の皆さんの味方になってください』とだけ伝えました。キャスターが変わっても、念頭に置いている視聴者は変わらないので番組の内容は変わりません。“キャスターの普通の感覚を大事にする”というコンセプトは変わらないので、だからこそ出演する人が変われば自然と変わっていく部分もあるでしょう」

 番組を愛する気持ちと共に渡されたバトンを持って、新たな1歩を踏み出した「あさイチ」。視聴者を第一に考える根幹は変えずに、これからも柔軟に進化しながら視聴者に愛されていくことだろう。


セットも一新! 新年度は“シンプル”に
新たな門出にスタジオのセットも一新。「あさイチ」の「イチ」には「市場」という意味もあって、青を基調としたセットは、朝のさわやかなマーケットをイメージしている。「新年度なので暮らしの基本に立ち返るということで、なるべくシンプルなものにしたくて、今回はスッキリしたセットになりました。2階には回廊があって昇ることができますので、そこを使った演出も。また、あちこちに“豚”がいるので探してみてください(笑)」(片山)
「あさイチ」
4/16(月)~20(金)
NHK総合 毎週月~金曜 午前8:15~9:55
※中断ニュース、天気あり

生活情報から、社会問題・政治、エンターテインメントまで、視聴者の知りたいさまざまなテーマを徹底取材。生放送中に届くメールやFAXの声にも答えながら、最新の情報を届ける。

今回、取材したのは…

片山淳一(NHK制作局 生活・食料番組部チーフ・プロデューサー)
’67年神奈川県生まれ。’90年NHK入局。’10年から「あさイチ」のプロデューサーとなり、’13年からは「マサカメTV」の制作統括も担当。’17年6月から「あさイチ」のチーフ・プロデューサーに。

Interview=山口美奈

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