コラム

シリーズ15年目突入!
新作「HUGっと!プリキュア」もスタート!
“トレンド対応力”こそ「プリキュア」長寿の秘訣!

長く愛されるシリーズであるために…
変化するもの、しないものとは!?

テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。
女児に大人気アニメ「プリキュア」シリーズが15年目に突入! 新作担当プロデューサーに長く愛されるための秘訣を聞いた。

<女子の憧れを集約しつつトレンドも敏感に対応>

 毎週日曜。朝から日本中の女児を魅了し続けているアニメがある。「プリキュア」シリーズだ。’04年に始まった「ふたりはプリュア」から数え、新作「HUGっと!プリキュア」は15周年を迎えるメモリアル作品。多くのキッズアニメが生まれゆく中、本作がここまで長く続いている理由はどんなところにあるのか。シリーズの新作プロデューサー、内藤圭祐氏に、新作の見どころを含め、伺った。

「魅力はやはり、女の子たちの憧れが集約されていること。そこにトレンドや子どもたちの遊んでいる様子を見学させてもらうなどして作品作りに反映させています。シリーズ開始当初は黒と白といった色が使われたりしていましたが、今の『プリキュア』のコアターゲットである3~6歳においては、年齢が1歳違うだけで好みは一括りに出来なくなる。例えばピンクはプリキュアに入門してくる3歳くらいの子には常に人気ですが、5~6歳になると嗜好が大人っぽくなるのか、紫が好まれ始めたり、昔は人気がなかった緑もパステル調のエメラルドグリーンにして取り込んだら人気を得たり。3〜6歳と言っても昔と今の子どもたちの色の好みも変化しています。そのようなデータは積極的に参考にします」

 他にも、「Yes!プリキュア5」(’07年)では携帯電話、次回作ではスマホやタブレット端末など、時代を意識したアイテムを登場させるのも忘れない。だがトレンドに順応してきた理由は他にもある。

「『プリキュア』のような女児向け作品が増えたことも一因です。そこで新規層を取り込むために魔法つかいやパティシエなど作品モチーフを取り入れるようにしたんですが、それは実はここ数年のこと。一定の成果を得たことで、新作「HUGっと!~」ではモチーフに頼らず、この世界のヒーロー・ヒロインこそがプリキュアだという原点に戻ります」

 原点回帰とはいえ、育児がテーマの次回作でも、もちろん時代は意識している。

「『プリキュア』の制作上、玩具人気を考えることは切り離せないプロセスなんですが、プリンセスやパティシエなど女子の憧れは出尽くした中、次回作を考えたとき、”お母さん“というワードが出てきました。お世話遊びグッズはいつの時代も子どもたちから大人気。そして、ときにお仕事もがんばり、赤ちゃんのお世話もこなし、子どもを守る力強さもある。”お母さん“はプリキュアのあらゆる要素を集約できると思ったんです」

「お客さん」は影響を受けやすい敏感な年頃の子どもたちなだけに、15年間変わらず気を付けていることもある。

「バトルシーンでは顔は攻撃しないとか食べ物は粗末にしないとかは大前提だと思います。子どもたちにとって一週間は長いものです。ケンカをしても極力その話数で解決するなど、早期に救いを持たせたりしています」

 女の子の夢が詰まった変身シーンもファンを惹き付ける大きな要素のひとつだ。

「子どもたちがなりきって楽しんでもらうのが肝なので、ポーズは真似しやすく。空中に浮いているなど物理的に不可能だったり、真似するのが難しすぎる動きなどはなるべく避けたいと思ってます。真似しやすさという観点は、髪型も同様に意識することが多いですね」

<「親子でプリキュア育ち」と言われる日が来るまで>

 個人的には、強く印象に残っているキャラやシーンはあるのだろうか。

「女児向けというキラキラしたイメージとは異なり、変身後に着地するときのドシンという力強さや、必殺技を放つときに両足がズリズリと後ずさるような踏ん張り方など、初代を見たときは衝撃でした。『ドラゴンボール』(’86~’89年)の監督(西尾大介氏)が担当されていたからというのはあるかもしれません(笑)」

「魔法つかいプリキュア!」(’06年)以来、新作「HUGっと!~」でテレビシリーズ2度目のプロデュース作。内藤さん自身がとくに思い出深いのは?

「『魔法つかい~』の49話で主人公たちが成長した大学生くらいの描写に半パートを費やしたこと。主人公たちが別々の道を歩んでいく結末もアリだとは思いますが、それは子どもたちにとって寂しいことでもありますので、その話数で再会はさせました。とはいえ、別々に過ごした時間と経年後を描いたのは斬新で感動したという声を多く頂きました」

プリキュア人気を語るとき、大人世代に支持されていることも見逃せない。

「制作側が大人世代を意識して作ることはあまりないんですが、子ども向けならではの優しい世界観が愛されているのかもしれないですね。親子でファンという話はよく聞きます。激しい肉弾戦などは、そうした作品を見慣れた親世代にも響いたのかもしれないし、家族の話も描かれたりする点が親子の会話に繋がっているのかもしれません」

 長寿とはいえ15年。戦隊ヒーローなどに比べれば、「親子共にプリキュアで育った」家庭はまだごく少数だ。

「そのサイクルに届くのはもう少しという感じですから、さらにシリーズが長く続くことを願いつつ、二世代で楽しめる仕掛けも取り入れていきたいです」


内藤プロデューサー注目!2大トレンドの変化とは?
イメージカラー
初代作では白×黒のイメージカラーも、「Yes!プリキュア5」(’07年)では緑髪のキュアミント、「Yes!プリキュア5GoGo!」(’08年)では水色ドレスのキュアアクア、紫髪のミルキィローズが登場。時代や年齢とともに変化する人気色を反映。

アイテム
変身アイテムも、初期のカード型から携帯電話やスマホに。また女の子の憧れアイテムであるメイク用品や香水なども投入。女児の人気上位職・パティシエは「キラキラ☆プリキュアアラモード」(’17年)で登場、お菓子作りグッズも現れた。
「HUGっと!プリキュア」
2/4 (日)スタート
テレビ朝日系 毎週日曜 午前8:30~9:00

野乃はな(声:引坂理絵)はある日、空から降ってきた赤ちゃん・はぐたん(声:多田このみ)と遭遇。はぐたんを悪の組織から守りたいという一心で、はなはプリキュアに変身する。

今回、取材したのは…

内藤圭祐さん(東映アニメーション株式会社「HUGっと!プリキュア」プロデューサー)
’07年東映アニメーション入社。’14~’15年「ワールドトリガー」のアシスタントプロデューサーに。’16年「魔法つかいプリキュア!」、’17年「映画キラキラ☆プリキュアアラモードパリッと!想い出のミルフィーユ!」を担当。

Interview=井上佳子

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