コラム

夏井先生に怒られたい人、続出!?
「プレバト!!」の痛快な辛口添削でじわりじわりと広がる俳句ブーム

添削の裏側から気軽に俳句を楽しむ方法まで

 テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。
 今回は、じわりじわりと幅広い年齢層に広がる俳句ブームに注目。歯切れのよい辛口添削で人気の俳人、夏井いつきさんにお話を聞きました!

夏井先生の辛口添削が人気を博す「プレバト!!」

 このところ俳句が盛り上がりを見せている。遡れば俳句をめぐる大きな動きとして、’89 年に伊藤園が始めた「お〜いお茶新俳句大賞」や、’98 年から愛媛県松山市で開催されている高校生による俳句コンクール「俳句甲子園」などがあり、すでに日本の文学・文芸として定着しているとするならば、今再び見直されている、と言ったほうがいいのかもしれない。その“立役者”が、才能査定番組「プレバト!!」(TBS系)である。

 同番組は、料理や生け花、書道などさまざまなジャンルに芸能人が挑戦し、名前を伏せた状態で専門家がランク付けするというもの。そのため、初心者でも才能が開花すれば1位になったり、ベテランでも最下位になったりと波乱が起きることも多々。なかでも俳句は人気コーナーの一つで、その理由が、俳人・夏井いつきさんによる“辛口添削”だ。秀句を褒めるのはもちろん、相手がたとえ大御所であれ、残念な句に対する「つまらない」「全然ダメ!」などという清々しいほどのダメ出しと、分かりやすい添削で、まるで魔法をかけられたように素敵な俳句に生まれ変わる様子は、爽快感さえおぼえる。番組のコーナーをまとめた「超辛口先生の赤ペン俳句教室」もベストセラーに。そんな夏井さんに話を伺った。

「ちょっとずつ波は立ち始めているかな、という実感はありますね。私は『句会ライブ』という俳句教室を全国津々浦々でやっているのですが、来てくださるお客さんの数が単純に増えたことが一つ。年齢層も広がってきましたし、何より若い子たちが興味を持ち始めてくれつつあるんですよ。『俳句甲子園』とは別の、肩の力を抜いて楽しんでくれている感じの若い人たちや子どもたちが来てくれるようになりました。それは『プレバト!!』の影響以外考えられません。特にジャニーズの若い方たちが出て、例えば横尾さん(Ki-s-My-Ft2・横尾渉)なんかが、“勉強するのはかっこいい!”というようなことを叫んだりしているのもいいですよね。そういう感じで、10代、20代の人たちの気分がちょっと変わって来てるのかな、と。あとは家族で番組を見ていて、家族全員で来てくださる方もいらしたり。俳句に対して小難しいイメージを持っている方が多いけれど、番組を見て、俳句で笑えることに皆さん驚かれるみたいです。また、日本語のメカニズムに初めて気づいてくださって、日本語って面白いとか奥深いとか、そういう知的な興奮と言いますか、それがうまくセットになったのでしょうね」

 ちなみに、夏井さんに“辛口添削”をしてほしい、という人も増えているとか。

「私に直されたい、怒られたい、と(笑)。でも、番組では芸能人の方たちがけなされているからゲラゲラ笑っているけれど、実際、己が一生懸命作った句をあんなふうに添削されたら、皆さん落ち込んで帰りますよ(笑)。それで俳句から離れてしまっても困っちゃうから、いろいろ工夫してやってます(笑)。添削で一番大事なのは、作ったご本人が表現したかったことを実現して差し上げること。特にマイナスの句をゼロに持ってくるのはすごく難しい。直したところでたいした句にはならないのですが(笑)、言いたかったことを阻害している言葉はどれか、読み手に誤解をさせている諸悪の根源の言葉はどれか、ちゃんと見抜いてあげるというところは絶対外さないように、と思っています」

5音と7音のつぶやきを書き留めていくのが近道

 番組では、季節の風景などを切り取った一枚の写真と、お題を与えられて句を詠む。夏井さんの小気味よい添削を見ていると、初心者でも一句詠んでみたくなる人も多いのではないだろうか。そんな時は、何から始めるといいのか。

「実は、写真を見て俳句を詠むって案外難しいんですよ。だから皆さん、あんなに下手なの(笑)。日常の中で、5音と7音で自分のつぶやきを書き留めていくっていうのが第一歩ですね。そうすると、だんだん5と7のリズムに慣れてきて、5音と7音の言葉に敏感になる。それから、季語を体験する。こういうと大げさに思われがちですが、季語って私たちの生活の中にたくさん転がっているんですよ。汗かいた、って言ったら汗が季語、それを拭くハンカチも季語。だから歳時記を一冊手に入れるとすごく便利。この2点が一番近道です」

 こちらが「もっと気軽でいいんですね」と言うと、「それがもうフレーズになっているんですよ」と微笑む夏井さん。

「もっと気軽でいいんです、で12音でしょう? あとは頭に季語入れるだけ。例えば、『風薫るもっと気軽でいいんです』としたら、これは風が香るような気持ちのいい時に、誰かに声をかけてもらったのかな、とか、読み手は状況を勝手に想像し始めるわけです。それが俳句の面白いところなんです」

 猛暑になると言われている今夏。「暑い」と口に出してしまう前に、その暑さを17音に乗せて呟いてみてはどうだろう。いつもとは違う、ちょっぴり風流な納涼が味わえるに違いない。


夏井先生の添削にふれられるのは…
プレバト!!
7/14(木)
TBS系 毎週(木)午後7:00〜7:56
NHK俳句
7/17(日)
NHK Eテレ 午前6:35〜7:00

自分の句を夏井先生に添削してもらえるかも!?

俳句の楽しさを広める“俳句の種まき”を精力的に行っている夏井さん。愛媛県松山市は、全国で唯一俳句の公式HP「俳句ポスト365」(http://haikutown.jp/post/)を開設。選者である夏井さんに、自分が詠んだ句を見てもらえるチャンスだ。

今回、取材したのは…

夏井いつきさん
’57・5・13愛媛県生まれ。牡牛座。O型。’88年、国語教師から俳人に転身。自ら組織した俳句集団「いつき組」組長。’98年、「俳句甲子園」の立ち上げに関わる。現在、俳都松山大使を務める。

Interview=四戸咲子

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