コラム

高視聴率連発!
春風亭昇太と林家三平は「笑点」を変えるのか?

どんな噺家?
新司会&新メンバーの実力を大分析!

 テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。
 今回は、桂歌丸が勇退、春風亭昇太が新司会となり新メンバーに林家三平を迎えた「笑点」の“これから”を分析します。

新メンバー発表生放送は関東地区で最高視聴率に

 春風亭昇太が六代目司会者となり、新メンバーに林家三平が加わって、大きな話題を呼んだ「笑点」。その関心の高さは、視聴率にも表れた。桂歌丸が勇退、昇太の司会就任発表があった5/22の関東地区平均世帯視聴率は27・1%、新メンバーと今夏の「24時間テレビ」チャリティーマラソンランナーに林家たい平が決まったことの発表があった5/29が28・1%(いずれもビデオリサーチ調べ)。29日は、現在の放送時間になった’96 年4月以来、最高記録である。

 生放送での「大喜利」を終えた後の記者会見で、昇太が「始まるまではすごく緊張したが、始まってみると案外平気だった。今日の自分の出来は160点」と余裕を見せた。三平も「とにかくかまないで(問題に)手を上げられてほっとした」としながら、今年3月に局側からメンバー加入を要請されて以来、発表まで秘密にするよう厳命され、妻にもレギュラーになったことを明かしていないと緊張気味に告白。新メンバーが誰か、さまざまな憶測がなされる中、重圧は相当なものだったことをうかがわせた。

新司会、新メンバーは絶妙な人選だった

 今年、五十周年を迎えた「笑点」は、立川談志を初代司会者に’66 年5月にスタート。タイトルは、三浦綾子の当時のベストセラー小説「氷点」をもじったものだった。大喜利初代レギュラーは先代の三遊亭円楽、桂歌丸、柳亭小痴楽(後の梅橋)、三遊亭金遊(後の小円遊)、林家こん平。メンバーの平均年齢28歳、真打は談志と円楽のみ、残り四人は二つ目という新進落語家の番組であった。

 以後、司会者は前田武彦、三波伸介、円楽、歌丸へと引き継がれた。大喜利メンバーも何度かメンバー交代をしており、現在のメンバーは、’69 年に林家木久蔵(現・木久扇)、’83 年に三遊亭楽太郎(現・円楽)、林家九蔵(現・三遊亭好楽)、’88 年に三遊亭小遊三、’06 年に病気療養中のこん平の代打だったたい平と「BS笑点」の総合司会としても活躍していた昇太が新たに加わっている。

 こうした経緯を踏まえ、決定した今回の新司会、新メンバー。ふたりについて落語評論家の広瀬和生氏は「絶妙な人選」と評価する。

「もともと『笑点』は、若手落語家を中心に、アグレッシブな演芸も取り入れる革新的な番組だったのが、長く続けるうちに安定の番組へと変化しました。大変革を好まない高齢の視聴者も多いので、司会者はレギュラーからスライドするのが一番安心。昇太師匠は、明るいキャラで、盛り上げ上手。同時にフレッシュさも出せる。落語だけでなく芝居経験も豊富だからチームワークのよさも心得ている。とても司会に向いた人です」

 確かに初司会の際、昇太は「これからはいい答えにはバンバン座布団を出します」と宣言。初回からマイペースで落ち着いた司会ぶりを示した。ひとり語りの落語とは違う、他の出演者との掛け合いのうまさは、画面を通して伝わる。

林家三平は家庭が円満だから選ばれた!?

 一方、新メンバーの三平についても、広瀬氏は「こういう人はなくてはならない」という。

「『笑点』は落語の番組ではなく、バラエティー番組ですから、『この人知ってる』と視聴者がすんなり受け入れてくれること、本人のキャラが立つことがとても重要。タレントとしても活躍している三平さんには知名度もあるし、天性のキャラを持っている。お母さんや嫁などいじられるネタがいっぱいあるから(笑)、他のメンバーもやりやすいはずです」

 新メンバーに三平が選ばれた理由について、会見の場で昇太は「メンバーには家庭でいろいろある人が多い。その点、三平さんは家庭が円満。奥さんが女優さんで美人。その分、僕は不愉快でした!」といつもの独身自虐ネタで笑わせた。小遊三からは「御曹司」、好楽からは「息子の飲み友達」、木久扇からは「落語家の家育ちだから、あうんの呼吸が伝わる」、自称フィクサー、ブラック団団長の円楽は「反省会は彼のお金で(笑)」、座布団運びの山田隆夫からも「お父さんの先代三平さんには子役時代にお世話になりました。二代目を応援したい」と家族のように受け入れられた三平。実力ではなく、家庭環境で選ばれた!? と苦笑いしつつも、こうしたあたたかい雰囲気が出せるのは、この人以外にいないだろう。

新司会と新メンバーは「次の50年」の布石

「笑点」は、これまでにも「大喜利メンバーと師匠対決」、「ちびっこ大喜利」などユニークな企画を展開してきた。テレビから人気者が出ることで、落語に興味を持つ人も増やしてきた。新司会と新メンバーは「笑点の次の50年」の布石ともいえる。落語、演芸を知る入り口になりえる娯楽番組の新たなエネルギー源として、ふたりの活躍に注目したい。


新司会&新メンバーはこんな人!

春風亭昇太
 ’59年静岡出身。’82年、五代目春風亭柳昇に入門。’89年、NHK新人演芸コンクール優秀賞受賞。’92年真打昇進。’00年度、文化庁芸術祭大賞受賞。ドラマ「タイガー&ドラゴン」(’05年)に出演するなど多ジャンルで活躍。

林家三平
 ’70年東京出身。昭和の爆笑王、初代林家三平の二男で’89年に林家こん平に入門、林家いっ平として修業。’02年に真打昇進。浅草芸能大賞新人賞受賞。’09年、二代目三平を襲名。中国語落語にも力を入れ、上海などで公演。
番組情報
「笑点」
日本テレビ系  毎週(日)午後5:30~6:00

今回、取材したのは…

広瀬和生さん(「BURRN!」編集長、 落語評論家)
 ヘヴィ・メタル専門誌の編集長を務めながら、年間1500席以上の落語をナマで観る落語評論家としても活躍、著書多数。

Interview=ペリー荻野

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